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さおとめさん

友達をつくるのが苦手だ。昔からそうで今もそう。なんというか、関係を築くのが下手くそで、距離感のとり方とか、縮め方がいまだにどうすれば正解なのかわからない。正解なんてない、というのが答えなのかもしれないけれど、上手い人(?)を見ているとやっぱりどこかに『正解』があるんじゃないかと思ってしまう。わからないから結局受け身がちになって、誰かが(気を遣って)声をかけてくれるのをそわそわしながら待ったりすることになるのだけれど、声をかけてくれた人へもどう対応すれば良いのかわからなくて、あるかどうかもわからない『正解』を探しているうちに会話が尻すぼみで終わってしまう。ごくまれに、本当に運が良ければ友達になれることもあるけれど、こんなに受け身で面倒な奴なくせに(?)(だからか?)厄介なのは執着心みたいなものはちゃんと自分のなかにあるということだ。
『1人でも大丈夫です』みたいな風を装うことが歳を重ねるごとに段々と上手になったし、実際、案外1人でも大丈夫な性分だったようで、1人でいることはそんなに苦にはならなかった。ただSNSで偶然みかける誰かの『友人がくれた誕生日プレゼント』だとか、『幼なじみとごはん』みたいな投稿に心がちくちくするときが今でもたまにある。投稿したひとは当たり前だけどなにも悪くなくて、完全に私のほうの問題で、そのちくちのスイッチはPMSだったり、仕事で小さなミスを連発してしまったりとかいうそんな些細なことだったりする。
ちくちく、の正体はたぶん、嫉妬とか焦燥感とか不安感だったりするんだろう。
本当に数少ないけれど、私のことを友達だと思ってくれている人はいて、でもその人の友達は当然私だけではなくて、だから私とは別の人と親しくしている様子とか、友達と友達が私抜きで楽しそうにしているところを見かけたりすると『もしかしてもう自分は要らないんじゃないだろうか』とか『もうこれから誘ってもらえなくなるんじゃないか』『こっちのやり方が正解だったんだろうか』という不安と、『私も早くそこまで関係性を持っていかなくては』『同じようにしなくては』という焦燥や『私の方が先に知り合っていたのに』とかそんな考えがぐるぐると頭の中を廻って、自分の中の執着心がグロテスクに輪郭を持ってしまって、そんな自分に、ウッ…となる…数日したらそんなことはなにも気にならなくなるし、なんでこんなことでウジウジしてたんだろうと自分でも思うことはわかりきっているのに、どうしたって避けて通れなくて、そんなことの繰り返しだ。
解決策は見つけられないままでその波が去っていくまでどうにか折り合いをつけてやり過ごすしかなくて、これからもずっとこんな感じでいくしかないのかなと諦めていた。

ソロ活で出会った人と再会する確率は99.99%ないけれど、たった一度、数時間の出会いが思い出に残る気がする。

[ソロ活女子のススメ]S3-#1


『ソロ活女子のススメ』というドラマの、五月女さんのモノローグだったと思う(たぶん)。そのことばを聞いたとき、「あ、それでいいんだ」「いいな、素敵だな」と、思った。この言葉の本当の意図とは違っていると思うのだけれど、そんな付き合い方でも大丈夫、というかアリなんだ。そう思うとどこか張りつめていたものが、ふっと解けていく気がした。
誰かがしているようにこまめに連絡を取り続けたり、一生の友達になれたりはしないかもしれないけれど、その時々での出会いを噛みしめて、大切にしていければ良いな、と、『ひとり』をマイペースに満喫している五月女さんの姿をみながら思った。

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