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幻想の森


それらは確かに生きている

ただ静かに身を投げ出し

水の音に耳を澄ませば

森の王者の息により

その身は清らかな水晶となり


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アクリル樹脂絵具 B3サイズボード     絵と文 sanae mizuno 1990

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この作品は、とあるコンテストで入賞した作品です。写真は当時作品に添えていた詩のようなもの。

この頃の私は20代で、父親の病が拡張型心筋症という難病だとわかって看病する時間がどんどん増えていった時でした。父は若い頃からどうしようもない暴れん坊でもありましたから、おとなしく入院もせず、入った時にもお医者様と話が合わず、言うことを聞くわけも無くすぐに飛び出してきてしまいます。そもそも信じられないことかもしれませんが、大正14年静岡の生まれだという父の戸籍は手元になかったのです。住民票が無いということです。よって社会保険や国民健康保険保険というものは持っていないわけでして、病院代も全負担で実費。戸籍の閲覧や取り寄せにも拒み続けた父が最後に首を縦に振ったのは、難病指定により身体障害者に認定されることが決まった時。

自分の思った通りにしか動かない父に関わる周りの人はいつも大変でした。私は、発作ばかりの戦いのような24時間の中で、ほんの少しだけ父が眠れる時間の、その夜中にいつも描いていました。またこのお話は別のところで。

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