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【プリズンライターズ】再犯率が減らない理由を考えてみた Vol.2 お金篇①

再犯率が減らない理由を考えてみた。『お金篇①』です。
刑務所や受刑者のお金にまつわるあれこれを、「支出」「収入」に分けて話したいと思います。
お金の問題が解消されるだけで、再犯率の1/3ぐらいはガサッと減らせるんじゃないかと、個人的には思っています。

刑務所のお金の使い方

 刑務所が使っているお金の財源は、皆さんが払ってくれている税金だと言うのは、今更なお話です。この大切な税金を使わせて頂いていると言うのに、私の知る限り、刑務所ほどナメた使い方をしているところはないと思います。「願せん」と呼ばれる受刑者が申し出を行うための用紙があるのですが、どう考えても1枚にまとめられるようなものを、何かと理由をつけて何枚にも分けさせ紙を平気で無駄にしています。それだけに留らず、どう考えても他に使い方があるだろうと言うことも平気でします。公的機関なので、予算割り当てがあって、それを余らせてしまうと次年度の予算が減るから使い切りたいのは百歩譲ってわからなくはないのですが、、、。

これが刑務所の「THE無駄使い」
 これは私のいる刑務所でのことです。例により予算の使い切りもあってか、近年の酷暑対策のつもりだったのでしょう、各自部屋で所持するアイスノンが支給されました。しかし、部屋に冷蔵庫などがあるわけがないので、当然冷やせません。考えられる唯一の手段の水で冷やす方法は、節水を理由に禁じられていました。冷やせないアイスノンを一体どうしろと言うのでしょうか?結局受刑者たちに使う者がほとんどいないまま夏が終わり、回収されました。翌年、保管状況がよくなかったために、大部分のものにカビを発生させ、カビを洗い落としたり、生えていなかったものを再利用することをせずに全て処分したそうです。ただお金をドブに捨てたのと同じです。少し考えれば、冷却シートを配っていた方が、ずっと生きた対策になっていたはずです。

膨れあがっている医療費の原因は薬代
 受刑者の高齢化が進んでいるため、医療費が増加しているのはたしかでしょう。高齢者が増えれば、投薬量も増えて、、、は当然かもしれません。ですが、これは何もかも受刑者の責任にしてしまう刑務所の十八番の1つです。この薬代も、適切な投薬の仕方を行っていれば、1~2割近くは薬代は削れるはずだと思います。

おかしな薬の更新
薬の更新は1ヶ月に1回行われています。塗り薬は半分近く、1/3ぐらい残っているのに新品になったり、逆に新品にならずそのままで足りなくなっても次の更新までもらえなかったりと言うことがあります。飲み薬は、何かあってもすぐに対応しないくせに、更新時に残っていようものなら投薬数を勝手に減らしたり、なんなら止めようとさえしたりします。だからと言って隠し持っていたりすると罰を受けてしまうので、残りを捨ててでも一定数を維持して自衛しようとする受刑者が出てきてしまっているのは事実です。自衛とは言え、決してよいと認めることはできません、、、。

薬代を抑えていくための対策
 ただシンプルに更新の方法を見直せばすぐに変わると思います。塗り薬については、残っていても新しくせず、更新日を1回すぎていたらいつでも新しくするようにすればいいだけです。飲み薬は、残っているからと言って量をいじろうとするのではなく、一定数を保てるように使用分の補充のみを行えばいいのです。投薬量の問題はそれはそれで別で本人と話し合うようにすればよいのです。一重に医務課の職員が手を抜かずに対応すれば、十分に薬代は削れていくはずです。

刑務所の無駄な使い方を改めさせるには
 予算不足、損金と思われる支出の発生時に、その全ての不足等分を、所長をはじめとする決定権を有する幹部、管理職の階級の職員の給与又は賞与から天引きしてしまえばよいのです。そもそも諸々の理由はあるのでしょうが、予算に対して何の決定も行っていない受刑者にシワ寄せが全ていっているだけと言うのがおかしいはずです。本来なら予算不足などを引きおこす決定をした者たちがペナルティを負うべきはずです。それをいつまでも受刑者にだけ押しつけているから、いつまでたっても税金を使っていると言う責任感を持てないと思うのです。失策が全て決定者の身に直結させれば、嫌でも真剣になるのではないのでしょうか?ついでに言うと、再犯率が下がらないと言うのも言いかえれば、刑務所の怠慢だと言う部分もあるのではないでしょうか?なのに何のペナルティも負わす、ただ偉そうに税金から賞与をもらい続けていると言うのは、、、ちょっとおかしくないですか?

受刑者の支出事情
 受刑者の「支出」と聞いて、「刑務所にいて、お金を使うことがあるのか?」と思われた方がいるかもしれません。刑務所から支給してもらえる日用品等を総じて「官物」と呼ばれているものがあり、これを利用すればたしかにお金を使わず生活はできますが、それはある程度までです。そもそも「官物」は税金でまかなわれているものなので、生活で必要なもの全てはカバーできていませんし、もらえる限にだって限度があります。例えば、切手や便せんなどの交通手段は買わなければならないものですし、刊紙や石けんは足りなくなってしまう代表です。なので、どうしてもある程度までなんです。

知っていますか?刑務所の物の値段
 値段は全て定価です。会計の処理上と言うこともあって定価です。「定価なら、、、」と思われた方、まだ早いです。どう見ても百均で売っているもの、もしくは量販店でワゴンで投け売りされているものを定価で買わされているのです。なので、社会の皆さんが100円ぐらいでしか買ったことのないようなものを、受刑者は定価ゆえに500円近く出して買わされていたりするのです。十分な収入があっての上でなら仕方ありませんが、小学生のおこずかいにも負けかねない収入しかない受刑者に、そのようなものを定価で売るのは、どう考えてもバランスがおかしすぎます。

物品の仕入先について
 昔は矯正協会と言うところだけだったようなのですが、今では他の業者から委託することができているようです。その業者も受刑者にとってよいところが選ばれているわけではなく、刑務所にとって都合のよいところになっているとのことだそうです。それ故か、刑務所製のものがちらほら売られていたりします。受刑者の造ったものを受刑者に売りつけても、お金が全ったく循環しないマッチポンプなだけです、、、。それだけでなく、商品のメーカーチェンジもちょくちょくあり、これがまた定価の高い謎のメーカーになるばかりです、、、。社会で売れていないものを押しつけられている気分です。

百均や量販店からで十分
 どう見ても百均で売っているもの、もしくは量販店でワゴンで投げ売りされていたりする謎のメーカーものなら、業者委託ができるんだったら百均や量販店からで十分なのです。軽く触れましたが、量販店の価格変動は会計処理上問題が出ると言うのなら、百均系一択でもよいのです。今の百均系業者はプライベートブランドで100~300円ぐらいの定価ものがあるだけでなく、品質としてかなり優秀なものが多いです。品揃えも刑務所レベルであれば十分カバーしきれるでしょう。実は刑務所によっては、百均の製品を請け負っているところもあるぐらいなので、依頼するためのパイプがあるはずなのです。そうしないのは、刑務所にとって都合のいいところと言うだけあって、何かよからぬ癒着があるからではないか?と疑いを持ってしまうのは私だけでしょうか?

支出が減ることによるメリット
 まず、家族などからお金を差し入れてもらっている人も、その家族などにかけている負担を減らす一助にはなるでしょう。何と言っても一番大きいのは、作業報奨金と言う雀の涙ほどの収入で生活している受刑者が、負担の減る分少しでも多くお金を貯められるでしょうし、その分で資格取得のための費用にすることができるかもしれません。資格の取得は社会復帰に役立ち、それは再犯率を減らすことにもつながっていくはずです。

支出の改善もとても大切
 「収支」と言う言葉があるように、「収入」と「支出」は2つで1つのものだと私は思います。なのに、「収入」についてはよく目を向けられているとは思うのですが、「支出」については悲しいほど聞きません、、、。刑務所のお金の使い方を少し変えるだけで、もっと更生や社会復帰に役立つものがたくさんあるはずです。受刑者の更生と言う役割に対しての自覚と、税金と言うものを使わせてもらっていると言う責任感を刑務所がもっと持てば、お金の使い方ももっと変わって来ると思うのですが、、、。もっと真剣にお金の使い方も考えて欲しいものです。

 刑務所にいても「支出」はついてまわります。社会復帰に役立てようと資格を取ろうと思えば、「支出」の大きさは特に感じさせられます。「支出」を抑えるための手段がたくさんあるはずで、それらが何も考えられていないと言うのは、更生していくための健全な状況だとは言えないと思うのです、、、。私は社会の人に刑務所のおかしさを知ってもらい、更生していくに健全な状態になるように「それはおかしいだろう!」と声を上げてもらえるための一助に、私の書いたものがなれば幸いに思います、、、。
 次回『お金篇②』で「収入」についてのお話をします。ではそれまでまた、、、。


【PRISON WRITERS】投稿へのサポートに関して/ 心が動いた投稿にサポートして頂けると有り難いです。お預かりしたお金は受刑者本人に届けます。受刑者は、工場作業で受け取る僅かな報奨金の1/2を日用品の購入に充てています。衣食住が保障されているとはいえ、大変励みになります。