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Joylin
2019年6月7日 01:01
「…さっきのじーさん、何やってん……」止まった車のなかで、サトシがつぶやく。みんな思っていることだったが、誰も応えられるはずもない。放心状態だった。しばらく沈黙が続いた。やがて、ハルが涙声でつぶやく。「あのトンネル…なんかわからへんけど…やばい気配がいっぱいしてた…トンネル入ったときから、ずっと見られてた……車のなかに入ろうとしてて…」それ以上は言葉にならないのか、ハルは押し黙って
2019年6月7日 00:37
この季節になるといつも思い出す。私が大学3年生だったころ、バイトのみんなで行った肝試しのことを。当時のバイト先で、男女六人で仲が良かった。私、バンギャのハル、かわいい系のユミ、インテリのケン、野球好きのユウ、お調子者のサトシの六人で過ごすことが多かった。春には花見に行き、夏にはビアガーデン、秋はフットサル、冬はスノボに行くのが恒例。それ以外にも、仕事終わりにはしょっちゅう飲みに行って、大
2018年7月29日 06:47
しつけに厳しかった母から言いつけられていたことのひとつに、「部屋の戸を閉めて寝ること」というのがあった。よくわからないルールだったが、そういうものなのだろうと律儀に従っていた。私としても、狭い家のなかで戸を一枚隔てるだけでも、自分の空間が守られるような気がして、都合がよかった。ある日、母が夜勤に出ることになり、私はひとりで夜を過ごすことになった。小学2、3年生のころだったと思う。当時からどこ
2018年7月28日 02:24
私が3歳か4歳だったころ、曾祖母が亡くなった。遺影で初めて顔を見た(たぶん覚えていないだけで、曾祖母に会ったことくらいはあっただろう)曾祖母の死を理解できていなかった私は、通夜の早々に眠ってしまい、母は眠る私を車に乗せ帰宅することにした。ここからは、後になって母から聞いた話だ。曾祖母の家は自宅から遠い内陸部にあり、行くにも帰るにも山をいくつか越えなくてはならない。方向音痴な母は、カーナビ