胸オペ体験記〜後編〜
胸オペ体験記の後編です。本当に終わるのかな。
前編と後編はこちら
注意)若干オペのことや体のことについて触れますので、なるべくマイルドに書きますが、苦手な方はご注意ください。
外したティクビは戻ってくるのです
僕の場合は術式的に、胸を大きく切る手術だったので、ティクビを一回外す必要がありました。
どうせ外すので、ティクビも一緒に小さくしてくれました。
術前に説明を受けた時、
「えっ、一回取ったティクビって戻ってくるの?現代医療すげえな」と思ったもんです。
ただ、たまーーーーに戻らない人がいるとも聞いていたので、術後2ヶ月くらいまで気が抜けませんでした。
術後に執刀医の先生が、今の僕の状態を説明してくれました。
イケメン医「胸の下から脇の下くらいまで縫ってるので、手を上にあげないでね。あと、今胸の周りにバンドがされてるけど、これはキツめにしめて。あと、風呂はこのドレーンが取れるまで入れないので、体拭いてもらってね。今、脇の下から、ドレーンっていう血を抜くための管が入ってるけど1週間くらいで血が出なくなると思うから、そしたら退院です」
僕「わかりました」
イケメンドクターは颯爽と去って行きました。
首からぶら下がる小さな袋
改めて、自分の胸を見下ろしたところ。
「ん・・・?何これ?」
首から小さな袋がぶら下がってて、その中になんか入ってる・・・
よく見てみると、僕の脇のドレーンに繋がっていて、抜かれた血が入っていました。
なるほど、この小袋に血を貯めるのか。
僕は手術後2日目くらいから立って歩けたのですが、いつも、この僕の血が入った小袋を首からぶら下げて歩いていました。
自分の血を小さな袋に入れて首からぶら下げて生活するのって生まれて初めての体験で、おそらくこれで最後です。
海外ドラマ「ヴァンパイア・ダイアリーズ」の見過ぎなんですけど、今ドラキュラがこの病棟に来てたら僕をみた瞬間に理性を失って、一番最初に死ぬなとか色々妄想してました。
あと、海外ドラマ「ブラックリスト」を見ていたので、入院してる病院にテロリストがくる夢も見ました。
定期的に看護師さんが紙コップを持って来て、溜まった血を回収してくれる瞬間が最も気まずいひと時でした。
術後の様子について
だいたい、毎日熱を測るのですが、術後は37度とか38度くらいの熱が出ます。別に大してしんどくないけど、頭がぼーっとします。
あと、やっぱ動くとそれなりに痛むので、寝転がったり起きたりするのがめっちゃ辛くて、ベッドのリクライニング機能にめっちゃくちゃ感謝しました。
リクライニング機能がない時代の入院患者さんってマジ地獄だったと思います。
そんなことを考えてると、ドライな担当看護師さんがきて、熱を測ってくれました。
いつもドライなのに、僕が熱出てる時は
「うーん、ちょっと熱高いですね・・・心配です」
と心配してくれるので、危うく恋の病まで併発しかける羽目に。
でも僕は硬派なので
「いや、大したことないっスよ」とスカしてました。
ドラ師さんに心配されるなら、熱出てもいいかな・・・と思うくらいには元気でした。
まあでも、熱出た時に限って、ドラ師さんは来ないんですけどね。
3日目くらいには、友達と電話したり、家族と電話したり、仕事したりできていました。笑うと傷が痛むので、笑いすぎには注意してください。
血管が綺麗に出てる人が羨ましい
手術から数日経ったとき、
点滴を変えるタイミングで、液を流し込む時に若干痛むようになりました。
僕のポムポムプリンのような腕が、さらにポム度を増しているのです。
その時、某アイドルグループのエースに似た看護師さんが、対応してくれたのですが、
「もしかして、点滴外れてるかも・・・」と言い、何度か僕の腕をポムポムしたのち、おもむろに廊下に駆け出していき
そして、大きな声でこう言いました。
ドル師「たつをさん、漏れてました!!!!!」
先輩「漏れてましたか!!!!!」
や、やめてくれ・・・
同室のみなさん、安心してください
ちゃんと点滴ですから!!!
その後、ドル師さんが点滴を刺し直してくれました。
僕の腕をなんどもトントントントンヒノの二トンしたが、全く出て来ない血管に心が折れたのか、「すみません・・・」と言いながら手の甲にさすことに。
謝る必要は全くないのです。サンリオキャラのような腕をしている僕が悪いのですから。
ドレーンを抜く
友達や家族とLINE電話したり、ひたすら海外ドラマを見たり、同期の2人がお見舞いに来てくれたり、仕事したり・・・いろんなことがあった入院生活も、いよいよ大詰め。
血液もほとんど出なくなったので、ドレーンを抜くことに。
ずっと生活を共にして来た、血液の小袋とも、ここでお別れです。
イケメン医「じゃあ抜きますよーーー」
僕「ハイ(痛いのかな・・・ドキドキ)」
ドレーン「ドゥルルルルルルン」
僕(えっ・・・・・・・ドレーン長っっっ!)
僕はてっきり、ドレーンは5センチ〜10センチくらいだと思っていたので、30センチくらいあるドレーンをみて、めっちゃびっくりしました。
僕(こ、こんなもんが入っとったんか・・・)
イケメン医「はーい、じゃあもう片方も抜きますよーーー」
僕「はい」
ドレーン「ドゥルルルルルルン」
僕「・・・意外と、全然痛くないんですね」
イケメン医「すごい痛いっていう人もいるんですけどねー。何が違うのかは、はっきりわかってません」
僕「そうなんですね」
管がない&胸がない&小袋がないで、めちゃくちゃ肩や胸が軽かったです。
最終日
そして、最終日。
僕は病院の服を脱いで私服に着替えました。
体を上から見ると、胸に隠れて見えなかったお腹が、見えるようになり、
横から見ると、まっすぐな胸板が。
胸が・・・・!!!!ない!!!!!!
言葉にならない感情が込み上げて来て、一人で病室で小声で
「ウォオオオオオオオオ」とはしゃぎました。
鼻の奥がツンとしたのを覚えています。
いろんなリスクがあるし、痛みがないわけじゃないけれど、やってよかった。心からそう思うくらい、「胸がないこと」の喜びは大きいです。
Tシャツやシャツを着るたびに、ため息が出ていたけれど、今は本当に喜びしかありません。
これにて、僕の胸オペ体験記は終了です!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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