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『英会話イメージリンク習得法』

著者:遠藤雅義
発行所:英会話エクスプレス出版
発行日:2013/11/25

今回は遠藤雅義氏の『英会話イメージリンク習得法』。著者は認知言語学を専門に、英語関連書籍の執筆や教材の開発を行っています。著書に『英会話イメージトレース体得法』もありますが、こちらも合わせて英語の理解がぐーんと上がりました。名著です。

目からウロコの英文法解釈

本書は英語の構成の概略に始まり、どう勉強すればよいのか、そして私たちが知るいわゆる英文法の説明と続く。
英文法は独自の解釈、というかそんな文法はないと、これまで学校で習ってきた英文法を切り捨てている。
しかし、この著者の解説が面白く、かつ納得がいく。
むしろ「そういうことか!」とスッキリすることが多かった。

なるほどと思った点をいくつか挙げてみよう。

  • Be動詞は「イコール」を表す(SVCに限らず)

  • 一般動詞は「矢印」を表す

  • 現在形は今目の前の静的な状態を述べる、現在進行形は今目の前の動的な状態を述べる

  • 過去分詞は過去の行為によってもたらされた完全な状態

  • 話し手は常に現在から物事を眺めている

  • 静的なSubjectと静的なObjectの間を動的なVerbがつないでいる

  • 疑問文のDoは聞き手を引っ張る役目

  • 冠詞は枠作り

などなど。
まだ、英語を聞いたり読んだりしても、自然とこれらの考えにならず、これらの内容を当てはめるのに一瞬考えるが、以前よりは理解速度が上がったと感じる。

疑問文のDoは聞き手を引っ張る矢印

前述の中から"一般動詞は「矢印」を表す"を見てみよう。

一般動詞のイメージは「左から右へ向かう矢印」で、その矢印に動詞のニュアンスが加えられます。

この左から右に向かう矢印という表現。
よく英語は左から右に読み返らずに読めと言われるが、その根拠は早く読めるからではなく、英語とはそういうものだからということ。
これはもう一つの"疑問文のDoは聞き手を引っ張る役目"も合わせて、なるほどと思ったところ。
疑問文の「Do」は、目の前にいる聞き手をDo以下の文章に向かわせる矢印ということ。
だから「Do」が前に出てくるのだと。

という感じで、他にも今までの文法書になかった視点で、イラストを交えながら英語のイメージを教えてくれる。
たぶん、この記事も文書だけでよく分からないと思うので、是非英語を今一度と思う人は読んでみるとよい。

日本語は枠から中心、英語は中心から周辺

もう一つ、こちらは『英会話イメージトレース体得法』から。
「イメージをなぞって身につける英語発想」という文言に惹かれ読んでみたが、いきなり「日本語」そのものの説明が長々と続き、いったい英語のイメージトレースはいつ出てくるのだろうと思う展開。

しかし、この日本語の説明が今までに考えたこともなく面白かった。

日本語の世界では「周辺」で述べられることが文脈に影響を及ぼす

確かに「I went to the school yesterday」を日本語で訳すと「昨日、学校に行った」にな る。
「昨日」がまず先に来るのだ。
日本語は周辺情報を先に述べて、段々と範囲を狭めながら核心に近づいていく言語だと。

  • 「昨日」という時間軸

  • 「学校」という場所指定

  • 「行った」という言いたいこと

確かにぃ~!
そして、このことが影響して日本人が英語を話そうとする時、いきなり「Yesterday, 」と始めてしまうのだと。

今、海外から来たインターン生のエンジニアの面倒を見ているのだが、その時にふとこのことが頭をよぎった。
日本の会社はドキュメントを書いて、レビューをして、それから実装。
つまり、最初に枠を設定して、その枠内でモノを作っていく仕事のやり方。
一方海外では、作って直しの繰り返し。
Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグの「Done is better than perfect」の世界。
日本の仕事のやり方って、もしかしたら日本語の構造に引っ張られているのかなと思うと、それぞれの国の言葉を理解するというのは、その国で生きていくために非常に重要なことなのだとも思う。


何気なく手に取った、しかもUnlimitedだったからという理由で手に取っただけだったが、英語の理解を数段上げてくれた名著だった。
英語のイメージがいまいち掴めていないという方は是非この2冊を読んでみるとよいだろう。

  • 『英会話イメージリンク習得法』

  • 『英会話イメージリンク習得法』


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