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『老いる勇気』#52

歳を重ねてこそ物事を深く味わえる

著者:岸見一郎
発行所:PHP文庫
発行日:2020/03/26 初版

ベストセラー『嫌われる勇気』の著者が歳を重ねることの意味について書いた本。

一貫して主張されていることは「今ここに生きる」ということ。
これは『嫌われる勇気』の中でも比喩として語られていたダンスの例が再掲されている。
ダンスは踊っている一瞬一瞬が楽しいのであって、曲を全部踊り切ったから楽しいわけではないと。
人生も死ぬ時になって初めて「幸せな人生だった」と思う必要はない。
今ここ、この瞬間が幸せだと思うべきで、今をどう生きるかを問うことが大事。

2つ目の主張として、できない事は「できない」と言う。
そもそも、「できない」とは不完全な自分を受け入れられないということ。
理想とのギャップからの引き算でモノゴトを測るから、できないことを受け入れられない。これは自分のことでも他人のことでも。
そうではなく、ちょっとでも「できること」の積み重ねで理想に近づいて行けばいい。
今できることを認めれば、それでいい。

本書では筆者が歳を重ねたり、病気になったりした経験、また親の介護の経験から人生をどう見ていくのかについて語られている。

今日は確かに生きているけれど、その先に明日があるとは限らない。明日という日は来るかもしれないけれど、そこに自分は存在しないかもしれないのです。

だからこそ、今をどう生きるかを自分に問い、今ここに執着することが必要だと説いています。

自分の中で一番心に残ったことは、アドラーの説く人生の進化を以下のように説明していたところ。

誰かと比べて「上か、下か」という物差しで測るのではなく、現状を変えるために一歩前に踏み出すということです。

クライアントの人生を前に進めることを、コーチングをするうえで心掛けています。
しかし、「成功」が必ずしも人生の幸せではない。
クライアントの有能感をただ満たすためだけのコーチングに陥ることなく、その先にあるクライアントにとっての幸せとは何かを、一緒に追い求めていきたい。

※ 有能感・・・年収や役職、人気などで得られる満足感


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