『経営者を育てるアドラーの教え』#4
「すいません」ではなく「ありがとう」で伝わること
「ヨイ出し」という言葉は聞いたことが無いかもしれません。
以下は、ゲシュタルトの欠けた円として有名なものですが、みなさんどこに目が行きますか?
多くの方が線が途切れた場所に目を留めるのではないでしょうか?
人間の行動は良い点が95%、駄目な点が5%と言われます。
5%を見てダメ出しをするのではなく、95%を見てヨイ出しをしましょうという話です。
数字だけ見ると、良い点が95%を占めているならヨイ出しの方が簡単に思えますが、日常では逆なことが多いのは、面白い点でもあります。
では、ヨイ出しとは何をすればよいかというと、当たり前で目立たない、建設的な側面を積極的に探し、その行動に対して肯定的な言葉をかけること。
アドラー心理学でよく出てくる「勇気づけ」を行うことですね。
勇気づけとは以下の心構えで相手に接すること。
100%自分にコントロール権があるとしたら相手のために何をすべきか?
これから先、自分が本当に心から望むことは何か?
相手の長所を活かせる場所はどこか?
相手の立場・視点に立った時にどう考えられるか?
今対処すべき人間関係・仕組みの課題は何か?
相手を変えようとするのではなく、まず自分を変える。
これがアドラー心理学の基礎で、私が好きな禅の思想と似ていると思うところです。
ところで、冒頭の引用の「ダメだしは『広辞苑』に載っているけれどヨイ出しは載っていない」は興味深かったです。
私たち日本人は何かをしてもらったときに「すいません」ということが多い。
楽天で多くの外国籍の方と接していると、こういうときに返ってくる言葉は"Thank you"です。
日本語のお手間を取らせてすいませんという相手への気遣い、謙虚な気持ちからの言葉も美しいです。
しかし、ありがとうという言葉は、相手の行為が有り難かったという想いを素直に伝えられる点で相手へのヨイ出しになります。
日本人が「すいません」ではなく「ありがとう」を多用するようになると、「ヨイ出し」という言葉が『広辞苑』に載る日もくるかもしれませんね。
今日、あなたは誰に対して「ありがとう」を伝えますか?
著者:岩井 俊憲
発行所:致知出版社
発行日:2020/02/25
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