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米リベラルアーツ大で学ぶデザイン思考

デザイン思考」。響きはかっこいいし、何だか良さそうではあるけれど、実際どうやって使うのか分からない。
私の大学では、デザイン思考が直感的に身につくための施設と授業が、この数年で整備されました。私のいるリベラルアーツ・カレッジで一番人気な授業がこれです。

「Human Centered Design」
略してHCD。「デザイン思考」を学ぶクラスです。

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クラス定員が25人と決まっている中、3倍以上の応募があり、私は履修時その25人に入れませんでした。
ですが熱列な「ラブレター」を何通も教授に送り、授業に押しかけ、発言までたくさんしたところ、

「I have to say you made a compelling case, I will welcome you as the 26th member(仕方ない。26番目のメンバーとして歓迎するよ)」

と受け入れてもらえました!

このクラスについて何回かに分けてシェア出来ればと思います!

1) イントロ&「Emphasize 共感する」← 今ここ
2)「 Observe 観察」・「Engage インタビュー」
3) デザインプロジェクト①
4) デザインプロジェクト②
5) オンラインで行うデザイン思考授業
6) デザインプロジェクト③
7) Lab: 特別授業

まず、教授の紹介から。

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彼はFidelity(フィデリティ:世界有数資産運用グループ)のボストン本社で25年間、UX(ユーザー・エクスペリエンス)デザインを設計していました。
私の大学に来る直前(2016年)まで、スタンフォード大学のd.Schoolで教えていました。
「創造力を育てるための拠点」をキャンパスに創ることを思い立った私の大学が、彼をその施設の初代ヘッドディレクターとして呼びました。
FidelityのWebサイトを1996年に最初にデザインしたのも彼です!

とーっっても気さくで、朗らかな教授です。私は大学では全ての教授を「Professor 〇〇〇」と呼ぶのですが、彼だけは唯一、ファーストネームで呼んでいます。私がこのブログを書くことについても、すごく協力的です。

さて。
クラスでは、1学期内に3つの「Design Project」をします。
3つの「Problem」が出され、その問題を解くための「Solution」をデザインします。
このクラスのモットーが、

Fall in love with the PROBLEM, not the solution

です。問題解決をする際によく陥ってしまうミスに「1つの解決法を気に入ってしまい、とらわれてしまうこと」があります。
そうではなく「問題そのものを愛し、解決法はあくまでも後に来る」という姿勢が重要だと教授は言います。私はさっそく最初のDesign Projectでこのミスに陥りそうに....!(その3でお話します)

1番最初の授業では「このクラスから何を得たいか」を皆で考えました。
私が得たかったのは「他人と取り組むことを楽しむスキル」でした。

私は人が大好きですが、グループ作業に少し苦手意識があります。自分以外の人がやる気がなかったり、思うように協力してくれないとストレスを感じてしまうからです。

そんな私は、専攻でもあるComputer Scienceのクラスで「このプログラミングはペアでやってもいいよ!」と教授に言われても「いえ、結構です」と返すことが度々ありました。

そんなんじゃこの先やっていけない!だからこのクラスを通して、他人とworkすることを楽しむスキルを身に付けたい、と思ったのです。

ちなみに!クラスメイトに多かったのが「他人をListenするスキル」でした。自分のアイディアを数多く出すのも重要だけど、他人のアイディアに耳を傾けることを学びたい、ということです。

クラスではMoleskin社のノートが配られ「手でメモを書く」ことが義務づけされています。
ノートは教授が目を通し、Post-itにフィードバックを書いてくれます。

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(クラスが開始して1ヶ月後にもらったフィードバック)


クラスの1時間目は

「Empathize 共感する」とは

Empathize 共感する」が大事なことはなんとなく分かるけど・・・実際どうしたら良いのか分からない、というのが私を含め生徒たちの最初の感想でした。

教授は「Empathizeを3つのステップで考える」と言いました。

まず Observe 観察し、
次に Engage インタビュー
そして Immerse 体験します。
(※ Engageは「関わる・ふれあう」と訳されますが、デザイン思考の考えでは「インタビュー」することによって人との関わりが実現されます。だから「Engage=インタビュー」です)

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(初日の授業のスケッチたち。キーワードがたくさん出てきましたが、これらは、のちのち説明できたらと思います)


さて、さっそく出された最初の宿題です。↓↓↓ 

① 一度も訪れたことのない場所に行き、最低30分過ごして、ただ観察する。
② よく行く場所に行き、最低30分過ごして、ただ観察する。

「Empathize 共感」に必要な3つのステップの1つめ「Observe 観察する」宿題です。

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次回はこのObserve(観察)、Engage(インタビュー)のやりかたをシェアします!(その2に続く)

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