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衛生管理者のおしごと

こんにちは。ぷらいむです。

今年度、衛生管理者として登録されました。
職場巡視する…など、何となく知っていたものの、実際に行動するとなると

何をしていいか分からない…

というのが正直なところ。
ですので、今回のnoteでは衛生管理者のお仕事について整理したいと思います。


衛生管理者とは?

衛生管理者は、労働安全衛生法に根拠があります。

(衛生管理者)
第十二条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

労働安全衛生法

業種を問わず、従業員が50人以上の事業場(拠点)ごとに選任が義務づけられており、以下のとおり、事業場(拠点)の人数規模に応じて衛生管理者の選任人数も変わってきます。

  • 常時     50人以上   200人以下:1人

  • 常時   201人以上   500人以下:2人

  • 常時   501人以上1,000人以下:3人

  • 常時1,001人以上2,000人以下:4人

  • 常時2,001人以上3,000人以下:5人

  • 常時3,001人以上                    :6人

なお、選任したらその事業場(拠点)の所轄労働基準監督署に報告が必要になります。

参考
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
※上記サービスはオンライン申請ではないので要注意。

具体的な業務内容

衛生管理者は、総括安全衛生管理者が行う業務のうち、衛生に関する技術事項を管理する役割があります。

(総括安全衛生管理者)
第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの

労働安全衛生法

これらの衛生に関する技術事項と言われても、正直、これだけだと分からん!と思って調べていたところ、東京労働局のサイトに具体的な職務について記載がありました。

各項目について、どんなことが必要か考えてみます。

① 健康に異常のある者の発見及び処置

労働者の健康管理にあたる業務です。

日常では急病人やけが人が出た場合の応急処理を行うため、救急車の要請や同行者の取り決め、エスカレーションルートなどを予め決めておくと良いでしょう。
同行者を衛生管理者とするケースもありますが、その時の状況を的確に医師に伝えられるよう同行者は上司を前提にした方が良いと考えます。

また、法定の健康診断を確実に受診できるようフォローする役割もあります。

② 作業環境の衛生上の調査

作業環境の管理は、安全衛生の3管理の一つです。

執務室や作業場所の明るさや温度・湿度、換気、騒音、振動、物が乱雑に置かれて転倒の原因にならないかなどチェックしていきます。
また、化学物質や粉じんなどの有害物質を扱う職場、現場作業などの危険度の高い職場については、リスクを特定しながら日常管理を進めていきます。

これらは、作業環境測定の結果も活用していくと良いでしょう。

③ 作業条件、施設等の衛生上の改善

作業条件や従業員が在韓する施設に健康を損なうような問題がある場合は、改善を図ります(関係部署に改善を促すことを含む。)

例えば、最近、喫煙は受動喫煙防止がルール化されていますが、喫煙室近くの執務にタバコのにおいが強く感じられる場合は排気装置を設置するなど対策を図ります。

また、コロナ、インフルエンザ、ノロウィルスなどの感染症について、執務室や公共で使用する場の感染防止対策を図ることが挙げられます。

④ 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備

労働衛生保護具とは、呼吸用保護具、化学防護手袋、化学防護服、保護めがねを指します。(※)
これらの労働衛生保護具や応急処置用の救急箱やAED、担架などが設置されているか、有効期限のものか確認します。

※法改正により、2,023年4月から化学物質管理について「化学物質管理者」や「保護具責任者」の権限が拡大されました。自社の使用状況により、役割分担を整理しておくとスムーズです。

⑤ 衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項

従業員に対する衛生教育や情報提供を行い、健康リテラシーを上げていく業務です。

健康相談が業務になっていますが、医学的な専門知識がないので「解決する」というよりも産業医や専門の医療機関等につなぐ「交通整理」というスタンスがトラブル防止の観点からも良いと思います。

⑥ 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び異動に関する統計の作成

安全衛生では、労災の頻度を表す「度数率」や災害の重さを表す「強度率」といった統計数字が見られてきましたが、安全衛生活動のPDCAをまわしていく時に、数値でものをみるのは大事になります。

また、2018年12月に発表されたISO30414(人的資本の情報開示のためのガイドライン)においても安全衛生の項目(「けがによって失われた時間」「労災の数」「業務中の死亡者数」「研修に参加した社員の割合」)が含まれています。
人的資本の観点からも統計をとっておくことが求められています。

参考
度数率、強度率、年千人率|職場のあんぜんサイト
ISO30414|日本の人事部

⑦ その事業の労働者が行なう作業が他の事業の労働者が行なう作業と同一の場所において行われる場合における衛生に関し必要な措置

これは何を言っているかというと、そこの場で働いている人は社内の人でも社外の人でも安全や健康を守りましょうということです。

例えば、建設工事では1次請け、2次請け…と社外の人と事業を行っています。一緒に働いていればそこの従業員にも安全を配慮しましょうということです。

業務委託は職業安定法のルールによって自社の従業員との切り分けを明確にすることが求められていますが、安全衛生については自社の従業員と同じように配慮することが求められています。

⑧ その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

①~⑦に関する課題や実施の記録を残しておきます。

一般的な記録する項目は以下のとおり。

  • 作業内容

  • 指示・是正事項、指示先

  • 措置結果

  • 連絡欄

  • その他(延べ労働者数、労働時間、病欠者(氏名、人数、理由など)、健康診断の実施など)

内容によっては衛生委員会(安全衛生委員会)にかけて審議を行い、改善につなげていきます。

なお、書類の保存期限は設けられていないので各社でルールを決めていく必要があります。
(健康診断に揃えて5年にしておくのが良いと考えます。)

⑨ 週1回以上の定期巡視

衛生管理者は、労働安全衛生法11条の規定により週1回以上の事業場の巡視が義務付けられています。

(衛生管理者の定期巡視及び権限の付与)
第十一条 衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。

労働安全衛生法

目的は、事業場(拠点)の設備や作業方法の衛生面に問題はないか現場を確認し未然防止の努めることにあります。

何をチェックしていくかというと、前述の①~⑦に関する項目になりますが、事務所衛生基準規則(事務所則)や関連するガイドラインなどをベースに基準を設けていくと客観的な評価ができるようになります。

なお、産業医の職場巡視を「毎月1回以上」から「2月いないごとに1回以上」に変更できる要件の一つに衛生管理者の職場巡視があります。

※ 事業主が産業医に提供する一定の情報とは
事業主が産業医に提供する一定の情報とは、以下のものを指します。
1.衛生管理者が少なくとも毎週一回行う作業場等の巡視の結果
2.労衛生委員会等の調査審議を経て、事業者が産業医に提供したもの
3.休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が100時間を超えた労働者の氏名および当該労働者に係る超えた時間に関する情報

産業医の職場巡視は専属か委嘱かによっても変わってくるかと思いますが、いざという時に要件を満たしておけるよう適切に職場巡視を実行しておくと良いと思います。

おわりに

衛生管理者の仕事を具体的にみていくと、現場で働く人に深く関わっていくことが分かりました。
少人数の規模で一人でやるのは大変だという印象…
だから、従業員の規模数に応じて選任する人数が変わっていくんですね。

事業場(拠点)に複数の衛生管理者が選任される場合、エリアで分けるのか、業務で分けるのか、輪番にするのかなど役割分担を決めておくことが大事だと思いました。

従業員が安全に健康に働ける環境は、仕事で成果を出していくための土台となります。
実施の負荷を減らしつつ、法の求めることを実現していくよう創意工夫が必要ですね。

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