泣いた赤鬼
泣いた赤鬼の話を知ったのは日本昔話だった。
それをテープに録音したものを聞かされてわたしは寝かされていた。
泣いた赤鬼が始まると胸がドキドキして寝れなかった。
青鬼が悪者になってあげるからと言って本当にそうしてくれて、赤鬼の元を去って行った後、本当に辛かった。
苦手な話だったと言ってもいい。
それからわたしは絵本も何も読んでいないから。
そのテープの記憶で書いている。
大人になって江國香織さんのエッセイに
泣いた赤鬼で初めて切ないという感情を知った
と書いてあって、そうかこれだ!と思ったのだった。
切ない、という語彙力がなかったけれどまさにそれだった。
郷愁とか、黄昏とか、夕陽とか、今日の終わりは人生の終わりみたいな気持ち。
だから今でも夕方に鳴く鳩の声が苦手だ。
カラスの声も帰っていく羽音も好きじゃない。
終わり、を感じさせるものは苦手だ。
旅行で1番楽しいのは行く前だ。
出てしまったら終わりを感じないではいられなくなるから。
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