癒しを求めて、森を歩くということ。
実はわたし、ココロが疲れた時には森を歩くようにしています。
最近、別に何か困ったことがあるわけでもないんですけどね。小さなストレスが積みあがって溜まってきているような感覚があるんです。
それをプワァーッと吐き出せたらいいなあというわけで、先日、神奈川県大井町のビオトピア(BIOTOPIA)というところに行きました。
今年4月にオープンしたばかりの「未病(※つまるところ健康づくりですよ)」をテーマにした施設でして。運動したり身体にいいもの食べたりできるわけです。
で、わたしがちょっと行きたいなと思ったのは、施設の中にハイキングコースみたいなところがあって。それが「森林セラピーロード」なるものに認定されていて(全国63か所)、なんか歩くと癒される? みたいな? 売りでやってるらしいので。なんだそりゃと思い、休日に行ってみることにしたのです。
「森林セラピーロード」っていうのは、産官学でつくったNPO法人の森林セラピーソサエティっていう団体が、実験などして認定しているらしいです。都会とその場所とで比較検査したうえで認定するんですって。
で、歩いてみましたところ、
富士山の景観がすごく良かったです。それから、いちょうが黄色く色づいていたらまた見事なんだろうなあということを感じました。足元が整備されてる半舗装の山道を歩いたなあ、という感覚です。
で、言いにくいのですが、別に歩いてみて特別な癒しを感じたことは無かったですね(笑)。
鎌倉の天園ハイキングコースとかの方が、よっぽどルートも長いし起伏もあって運動になるし、いいんじゃないかなと思いました。
けれど! それ違うよ、自分にセルフツッコミです。
森林セラピーで認定して「ここはスゴイ癒しだぜ!」ってPRして、人を呼び込みたいわけなのですから、自然そのままで素晴らしいところ(鎌倉の森)は、違うのでしょうね(申請すれば通るのかもしれないですけど)。
都会の人が、かるーく歩けて森を感じて「癒された~」っていう気分になれるぐらいの。30分ぐらいで歩けるルートがいいのだと思われます。
よくよく考えたら、人の手が入っていない(=あまり整備もされていない)森の道を認定してもしょうがないですよね。認定して、癒されたい都会人が大量に押しかけても大変ですよ(笑)。
そんなわけで。「チョー癒された~!」みたいなことは無かったですけど、かるーく森の中を歩くことができて良かったですよ。過度な期待はしてはいけないというやつです。
あと、ほとんど人と逢わず独りだったので、黙々と森の中を歩いていると感じるのは「森の領域に侵入している感」ですね。
大げさですけど「もののけ姫」でアシタカが森に入っていく感覚に近いアレです(笑)。
靴で地面を踏むと、いろんなものを踏みつけている音がします。そして虫がいろいろ飛びます。かさかさと脇の茂みの中を何かが移動していく音がします。わたしが来たから、ネズミか蛇か何かがいそいそと離れていったんでしょう。
歩いていると蜘蛛の巣があったりして。それを払いつつも、「ああわたしがここを歩かなければ蜘蛛もこのまま巣を張ったままでいれたのに」とか思います。
森に侵入して、そこの生き物を邪魔しているような罪悪感を最初は感じるわけなのですけども、しばらくすると「今だけじゃなくて、普段から自分は他者を邪魔して生きているのだな」と考えが変わっていきます。
普段、都会に住んで生きているわけですけども、森の中にいるときと変わらないんですよね。人間は生きるために必ず他者と関わるわけなのですから。言い換えれば、必ず、他者の邪魔をして生きているわけです。
「邪魔」っていうと、ネガティヴな意味にとられがちなのでさらに言い換えると、「人間は、必ず他人に関与して生きている」ということなのかな、と。
なるほど。そういうもんなんだから、そう生きるしかないよね、って。
観念して、他人に関与して生きていくしかないですよ(笑)。もうしょうがない。
森を歩いていると、そんな気持ちになります。もしかすると、それがわたしにとっての癒しなのかもしれません。
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