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コロナ禍で変わる企業広報とメディアリレーション:オンラインセミナーからの気づき

はじめに

8月30日に開催されたオンラインセミナー「IT系メディアの側から見る企業広報への本音」に参加しました。
この記事では、15年以上BtoBのPRを手がけている私が、このセミナーから得た気づきと自己反省についてシェアします。

★ セミナーレポートはメディア解剖連載で後日公開される予定です。

コロナ禍で変わったメディアリレーション

コロナ禍がもたらした影響は多岐にわたりますが、企業広報においてもその影響は少なくありません。特に、オンラインが主体となり、人と人との対面の機会が減少したことで、メディアリレーションのあり方にも変化が見られます。これにより、人と人とのコミュニケーションの部分が格段に減ったと感じています。

メリットとデメリット

一方で、メールやSNS、プレスリリースなどでのコミュニケーションが増えたことは、特に子育てや介護などで外出が難しい人々にとっては意外とありがたい変化でもあります。

私自身、子育て中であり、コロナ禍の数年前にフリーランスになったということもあり、会社所属時代に比べ、外部との情報交換が減り、不安を感じていましがたが、対面でなくてもコミュニケーションが取れるという新しい風潮を生んだことで、やりやすくなったと感じることも増えました。
でも、メディアの方とメールやチャットでやり取りしても、相手の背景が見えないと、どう対応していいのか分からない場面が多いのも事実です。
例えば、"こうして欲しい"とメールで指示されても、相手が誰であるか知らないと、その言葉の真意が掴みづらいですよね。

例えばの例を考えてみました(自作なのでニュアンスが伝わりにくいかも)

例:顔の見える広報と顔の見えない広報

顔の見える広報: XX会社のXXさん
XX会社のXXさんとは、何度も対面で会っている関係です。ある日、XXさんから「新製品のプレスリリースを出す予定なんですが、どういった切り口がいいと思いますか?」とメールが来ました。XXさんの今までのプレスリリースや対応を知っているので、「この部分は強調した方がいい」とすぐにアドバイスできました。

顔の見えない広報: YY会社のYYさん
一方、YY会社のYYさんからは突然、「⚪︎⚪︎さんの書いた記事を読みました。新製品のプレスリリースを出します、興味ありますか?」とメールが来ました。おそらくテンプレートでいくつものメディアにお送りしている定型文のようです。結果として、その後のコミュニケーションは続かず、有意義な関係構築には至りませんでした。

広報活動においても「人と人との関係」が非常に重要であるということです。相手を理解し、相手が何を求めているのかを把握することで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

例:提案の受け入れ方が異なる二人のメディア記者

XXマガジンの⚪︎⚪︎さん
XXマガジンの⚪︎⚪︎さんは、企画の提案を非常に喜びます。ある時、新しいテクノロジートレンドに関する特集を考えていたところ、⚪︎⚪︎さんから「何か面白い企画はありませんか?」と連絡が来ました。私たちはすぐに「AIの影響による業界変化」というテーマで企画提案をしました。⚪︎⚪︎さんは非常に喜び、特集を組んでもらうことができ、また何か思いついたら提案して欲しいと言われました。

SSビジネスの△△さん
一方、SSビジネスの△△さんは、企画そのものよりも「どのような視点で取り上げるか」に興味を持っています。私たちは以前、△△さんに「環境に優しいビジネスモデル」についての企画を提案したことがあります。しかし、△△さんは「それだけではなく、どのような切り口でそのテーマを扱うのか?」と質問してきました。結局、一緒にディスカッションを重ね、別の視点での記事が作成され、新たな切り口を開拓することができました。

相手の好みやスタイルに合わせて提案をするためには、その人となりについて、もう一歩知っておく必要がありそうです。また、その一方で企画を喜ぶ人もいれば、ディスカッションを重視する人もいます。その違いを理解し、柔軟に対応する能力が求められます。

また、セミナーで取り上げられた話題の中には、メディア関係者から「電話は控えてほしい」という要望や、「イベントの告知を何度も再送すると逆効果」という意見がありました。ただ、これらのコメントをそのまま受け止めるのではなく、状況や相手の性格や状態に応じて柔軟に対応することが重要だと思います。

例えば、特定の記者がこの時期に海外出張中である場合、メールを確認できていない可能性も考慮し、一度だけリマインドメールを送るといったアプローチが有効かもしれません。また、チャットツールでの頻繁なるプレスリリースの連絡は迷惑になる可能性がある場合は、情報を簡潔にまとめて1度だけメールで送るといった工夫も考えられます。

要するに、一律の対応ではなく、個々の状況やニーズに合わせてコミュニケーションを取ることで、より良い関係を築くことができると考えています。

悪循環を防ぐために、「知ったつもり」にならない

メディアと広報のお互いが「知ったつもり」でいると、提案が上手く刺さらないことがあります。深い部分まで理解できていないと、有意義なディスカッションがしにくくなります。
人と人とのコミュニケーションは、対面か非対面かに関わらず、もっと丁寧に行うべきだと感じました。

信頼関係を作るのって難しいですが、大切なのは、相手を好きになること、そして相手にも好意を持ってもらうことです。これが、真の関係構築の第一歩です。相手の興味や考え方を探りながら、関係を築いていくことが大切です。ただの連絡事項やマーケティングメールではなく、人としてのコミュニケーションを重視しましょう。

まとめ

最も基本となる一番大事なことは、相手に対する「リスペクト」と「相手に対する好意」が必要だと私は考えています。
その人がどんなことに興味があって、どんな考え方の方なのかを探りながら、関係を作ってみてではどうでしょうか。相手の好みや追いかけている業界がわかったからといって、それだけで一方的な連絡や企画提案をするのであれば、あなたがやる必要はないかもしれません。

最後に:自分への反省と自戒をこめて

この記事を通じて、私自身も多くの反省点が見えてきました。特に、相手とのコミュニケーションにおいては、まだまだ改善の余地があると痛感しています。これからは、相手の立場や興味をより深く理解し、それを反映した真のコミュニケーションを心がけたいと思います。

また、業界や自社、競合他社、トレンドについても、日々の業務に追われるあいだに見落としていた点が多々ありました。これを機に、より一層その知識を深め、有意義なディスカッションができるよう努力していこうと思います。

最後に、この記事が皆様にとって何らかの形で参考になれば幸いです。そして、それが皆様との新たなコミュニケーションの一歩となることを、心より願っています。

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