「なに焦ってるの?」と言われがちな人は何に焦ってるのか
何かにつけて焦りがちな人っていますよね。
デパートで買い物中、こっちはもっといろんな買い物がしたいのに、急に「早く行こう」って急かしだす人。
仕事中、こっちは腰を据えて作業してるのに、頻繁に「まだですか」って確認してくる人。
はてさて、そういう人達は一体なにをそんなに焦っているのでしょうか。
時限爆弾のタイムリミットでも迫ってるわけ?
はい。実はそうなんです。
彼らは頭の中に時限爆弾を抱えていて、その導火線が短くなると焦りだすんです。
だとするとその時限爆弾とは一体なんなのか。
今日はそのことについてお話しできればと思います。
――いつもお読みいただきありがとうございます。
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私は、SE業務に携わることを通じて、AIの台頭で仕事がなくなってしまうことを戦々恐々しております、エンジニアの中島と申します。
この 絶対バグらないシステム作ろうぜの会 では、バグの出ないシステム・問題を起こさないチーム運営・AIには作れない設計論などのコラムを、なるだけ面白く・分かりやすくお伝えする主旨で記事を配信しております。
今週は、何かにつけて焦ってる人が、焦ってる理由について。
1. 頭の中の時限爆弾: 集中力
まぁ、なんのことはない。
冒頭で記載した時限爆弾ってのは、単純に集中力のことです。
仕事でも遊びでもなんでも、集中力が切れてしまうと人間は何もできなくなりますよね。
ミスを連発して周囲の人に迷惑をかけ、なにもかもが理解できなくなり、自分自身ですら何をどうしてるのか分からなくなる。
『集中力が切れる』って、そういうことです。
ただし今回話題にするのは、普通の人の一般的な集中力ではなく、性格的にADHD傾向がある人達の集中力の話となります。
ADHDの人達ではありません。
『ADHDではないが、性格的に少しそういう傾向がある人達』です。
ネットで “ADHDとは” とかで検索すると様々な症状・症例が出てくると思います。
が、実はこのADHDなる状態には、原因が1つしかありません。
ADHDとは:
・集中力が乱高下する特性を持っている状態のこと
です。
ただ通常多くの素人さんは『集中力が乱高下している状態』をビジュアルでイメージできないため、素人向け記事の症状・症例欄には分かりやすいように表面的な症例が列挙されています。
ですがADHDの本質は、集中力が乱高下するところにあります。
(以下、性格的にそういう傾向がある人のことを『集中力が乱れがちな人』と称します)
2. 集中力のリミットが短いと起こること
そして今日のポイントもここになります。
集中力のタイムリミットは誰にでもあります。
ですが集中力が乱れがちな人は、そのリミットが短くなります。
にもかかわらず、別に病気じゃないので周囲に分かってもらえません。
多くの人は、集中力を『自分でコントロールしている』意識はありません。
従って、『集中力をコントロールできない』という状態をイメージすることもできません。
集中力が乱れがちな人は集中力が乱高下するわけですから、切れるときも本当に突然です。
通常であれば、集中度80くらいの状態が1時間くらいの時間をかけて徐々に 60 ⇒ 40 と下がっていくところ、
これが乱高下する人は、最初から集中度120とかでガッツリ集中した上、タイムリミットを境に電池が切れるように突然 30 や 20 まで急激に下がったりします。
周囲からは単に熱しやすく冷めやすいだけのように見えますが、本人からしたらこれはとても疲れます。
そうなることが当たり前になっている本人は、集中力とは “切れたらまともに動くこともできなくなるのが当たり前” だったりします。
ですから集中力が切れかけたら、本当に急いで休憩しないといけません。
またそういう人は、“集中力とは突然切れるもの” と思い込んでいますので、周囲の人達が焦らない理由も理解できません。
とはいえ本人も、“自分が集中力のタイムリミットと戦っている” という意識自体はありません。
ですから、自分が焦ってる理由を自分でも言葉にできず、でももうすぐ動けなくなることを分かって欲しくて、「早くしよう」「まだですか」となるわけです。
大人の場合、本人にも集中力の乱高下と戦ってきた歴史がそれなりにあるので、もうすぐ集中が切れるときは「あ、そろそろかな」という感覚は多少あったりもします。
ですが本当に突然切れるので、本人が自覚できるのも時間切れの10分前、5分前とかだったりします。
これが、焦りがちな人が本当に突然焦りだすカラクリです。
3. 集中力は伸ばすことができる
ただそのような人でも、集中力が比較的長く持つケースもあります。
それは、自分が好きなことをしているときです。
ADHDの症状の1つで、『好きなことになると、身体の限界をぶっちぎって過度に集中し続けてしまう』という症状があります。
集中状態が異常という意味で乱高下の一種で、《過集中》といいます。
ここでポイントになるのは、世の中『弱いADHD傾向くらい誰にでもある』ということ。
つまり好きなことに過集中してしまう現象は、誰にでも起こりえるのです。
実際、たとえば東大に入学するような高校生は、1日あたりの平均自己学習時間が10時間~20時間にもなることが統計的に知られています。
人間の集中力の限界は一般に2時間とされていますから、それと比べるとあきらかに限界をぶっちぎってしまっています。
このような過度な集中状態を毎日維持し続けることは直感的には不可能であり、彼らが特異体質を持っているからこそできるように感じます。
ですが過集中はあくまでADHDの症状の一端。
だとすると日本中の全ての東大生はみんな元ADHDだった人達で、それを巧く克服して利用した人だけが東大に入れることになってしまうわけです。
しかも過集中という症状はADHDであれば誰にでも起こるわけではなく、鬱傾向よりも躁傾向の方が強い人だけに起こります。
個人的な肌感では、ADHDの人のうち100人に1人もない印象です。
なおかつ東大に入れる生徒とは、自身の興味の方向性がたまたま勉強に向いた人のうち、東大という学校に魅力を感じていて、かつ経済的にもそれなりの手段がとれる人のみなわけです。
そのような環境的な変数も全て加味すると、それらの生徒全員が元ADHDと考えるのは、どう考えても数が合いません。
やはり、『体調に支障をきたさない正しい過集中は実在する』のであり、『それは訓練で獲得可能』なのです。
だとすると、その《正しい過集中》とやらは、どうやってやればいいんでしょうか。
4. 集中力の伸ばし方
STEP1. 今やってることを、自分が好きなことと結びつける
過集中は “好きなことをやっている” ときにだけ起こります。
嫌いなことをやってるときは起こりません。
だとすると、集中すべきことが目の前にあった場合、それを自分が好きなことと結びつけられれば、今までよりも長く集中できることになります。
たとえば “趣味に活かすために仕事の能力を伸ばす” という意識を持つ案が考えられます。
趣味のプログラミングを楽しむために仕事も頑張る。
人生は楽しむためにあるのであり、仕事はそのための前準備にすぎない。
そういう考え方だってありなんじゃないでしょうか。
STEP2. 集中できる環境を整える
集中をするためには、相応の環境が必要です。
「成果を出せ! 早く出せ!」と耳元で叫ぶ上司が常にそばにいる環境では、落ち着いて集中していられるわけがありません。
落ち着ける環境を自分で作りにいくのも大事です。
STEP3. 集中したい物事以外をやらなくていい環境を作る
環境的に集中できるオフィスだったとしても、頻繁に横やり・割り込み作業が入るようでは、実際には集中は無理でしょう。
集中すべきときは、そういったものをシャットアウトする決断も必要です。
STEP4. 正しい体調管理・基礎体力作りをする
集中状態というのは、一般に体力を消耗するものです。
物事にうまく集中できない人の原因の1つとしては、やはり『集中するだけの体力がない』ケースだって当然あるでしょう。
もし仮に、「体を動かしてないのだから、集中するのに体力など不要。その気さえあれば人間は無限に集中していられるはず」と主張する人がいれば、それが誤っていることは誰にでも直感的に分かります。
やはり集中には体力を使うのです。
体力を使うのであれば、必然的に体調管理・基礎体力作りは必要なのです。
STEP5. 正しい“休憩”を学ぶ
ADHDの過集中(正しくない方の過集中)の場合だと、脳にかなりのダメージがあります。
それが原因で亡くなる方も実際にいます。
ということは、過集中とまではいかない軽い集中でも、
“集中をすれば、その度合いに応じたダメージが脳に発生する”
ことになります。
つまり、ダメージを定期的に回復させる手段がないと、適切な集中状態は維持できないのです。
1時間おき、1週間おきなどの定期的な休みは、正しく集中し続けるためにやはり必要なのです。
STEP1. ~ 5. の方法は、いずれも1つ1つがかなり難しく、やろうと思ってすぐできることは少ないでしょう。
東大に入るような学生さんは、これらの5つの対策を、家族ぐるみで一丸となってやっていることがほとんどです。
ですのでこの『集中力を鍛える』という点に関して、もしあなたが孤立無援で孤軍奮闘している状況なら、それは大きなハンデかもしれません。
ですが、5つ中1つでもできれば、できた分だけ集中力は伸びます。
別に5つ全てが完璧である必要はないのです。
今すぐは無理でも『10年かけてがんばる』くらいの長いスパンで考えていけば、いつか何とかはなるんじゃないかなと、私なんかは思うわけです。
ではまた。
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