陣痛室こそ、そばにいてほしい。

今回のコロナ禍で妊娠・出産することになったみなさん、普段の生活でも一段と気を配ったりしていろいろと不便していることは多いと思うのですが、病院での制限についても通常とは違う点がありますよね。

「妊婦健診も付き添いはなしで」
（パートナーの方にエコー見てもらうのお互いに楽しみだったし、パパになる実感湧かせるのに一役買ってたよね～）

「産後入院中も家族の面会なし、普段は家族も一緒に過ごせる病室ですが今は家族は入れません」
（まだ小さい上の子が一緒に泊まれるということで病院選んだ方もいるのでは？）

そして私がいちばん気になっているのはズバリ
「出産時の立ち会いは制限を設けています」。

たとえば、パートナーの方だけOKで他の親族とかはダメですよ、とか。だけならまだいい。
立ち会いは全面的にダメという施設もあるし、時期的に（コロナ禍の最初の頃は医療機関も手探りで今は大丈夫な施設でも当時は全面的に立ち会い禁止になっていたなど）希望していても全く立ち会いができなかったパパもいるのではないかなと思います。

それでも立ち会いはあってほしいという声を受けてかどうか、近頃いくつか見聞きしているのは「出産間近になったらご主人をお呼びします」パターン。つまり、もう間もなく産まれますよ！という（多くの場合は陣痛室から分娩室に移る）タイミングでスタッフさんがパートナーを分娩室に入れてくれるというオペレーション。

出産の大変さを少しでも見てほしいママたち、産まれる瞬間だけでも家族で迎えたいみなさん、そして立ち会いさせてあげたくても陣痛室もOKにするとコロナ対策として不十分になってしまうのではないかと考える医療施設側の事情と。

状況を鑑みてそこが落とし所になっているんだろうなというのは重々承知しつつ、それでも叫びたい。

陣痛室こそ、そばにいてほしいのよ！！！！

他の記事でもちょろちょろ触れているけれど、陣痛がしんどいときに腰をさすってくれるイメージの助産師さんたちは、実はずっと一緒にいてくれるわけではないんです。

腰をさするのだけが助産師さんの仕事ではなくて、今まさにお産が進んでる他の産婦さんが複数いる場合があるし、産後入院中のお母さんの様子を見たり、指導することがあったり、モリモリ盛りだくさんの仕事がある中で分娩の介助をしているわけで。いてあげたいなと思ってもいられないという助産師さんたちはいっぱいいます。状況が許せばいてくれることももちろんありますよ。

破水なり陣痛なりで「これはお産始まってますね」と入院して、陣痛室に入った産婦さん。助産師さんは陣痛室での様子を時々見に来てくれて、モニターはついてるから詰所で遠隔で見守ってくれているけど【お産が問題なく進行していれば】必ずしもずっとそばにいてくれるわけではないんです。
そして、お産が問題なく進行しているということと、痛いとか不安というのは別の話、なんです。

コロナ前は、陣痛室にパートナーの方も入れる施設だったら（役に立つかどうかは別だけど）一緒にいてくれる人がいて心の支えになったりならなかったり（笑）したと思うのだけど、出産間近の瞬間までほんとにひとりぼっちの状況で不安いっぱいの産婦さんいっぱいいるんじゃないかなあ、そうやって産んだママたちいっぱいいるんじゃないかなあと思うと本当に悔しい。
サポートしてくれる人がいるかどうかでママの出産体験がポジティブになるかどうかは変わってくるという研究もあります。

コロナ前から「パパは分娩室だけです」の施設自体はけっこうあったりするんだけどね。

でも産まれる間近、全開大から娩出なんて経産婦さんとかすっごい早い人だと10分とかだし、2日3日がかりで産む人でも最後の数時間とか。そんな方は大体疲れ切ってしまってたりする。分娩室は、ラストスパートの一瞬なんですよ。人生最大級に究極的な状況で会う産婦さんとパートナーの温度差も気になる。それまでのロングアンドワインディングロードを支えてほしいよね～～

というわけで、分娩施設の立ち会いのお約束がどうなってるかというのはコロナでもコロナじゃなくてもぜひチェックしてほしい。実際の予定日である半年後どうなってるかわからないけど、今どうやってるかでその施設の向き合い方は伺えると思います。さらには分娩室には入れます、と言われたときに「じゃあOK」と思えるかどうかはその妊婦さんや家族次第ではあるのだけど、初めてとかで不安の強い妊婦さんだったらそれだけで安心するのはまだ早いかなと思います。

悔しいけどコロナ相手にここで文句をいってもみなさんの立ち会い禁止が解除になるわけではないので、この状況の中でできることをまたの機会に考えることにしましょう。