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課題がいろいろ。

産科クリニック所属のドゥーラとして活動し始めて5ヶ月が経った。
やってみたら案の定課題が山積しているので、まとまらなくてもいいからとりあえず書き出してみようと思う。
(このプロセスも後の人々のためになると信じて)

勤務時間の問題


私の知っている欧米スタイルのバースドゥーラはクライアントとの個人契約なので、お産当日に立ち会うだけでなく、産前から面談とかをしてクライアントのバースプランを打ち合わせしたり、クライアントが目指すお産に近づくように情報を提供することも仕事の一環とする(細かいことをいうとドゥーラ自身が指導をするというよりは専門家に紹介するとか信頼できる情報を紹介するのが仕事)。
そしてお産が始まったらクライアント自身から連絡をもらってお産に立ち会う。契約したクライアントの臨月には24時間オンコールだ。もし自分が都合が悪くて行けなかったらバックアップの人を用意することを義務付けられている(DONAの場合)。地域のドゥーラ同士でチームを組んでお互い様で支え合っているようだ。

でも今私が実践できているのは病院の1スタッフとしてのドゥーラなので、患者さんとの個人契約スタイルではない。私が勤務している時間内にお産があればその場で初めて会う患者さんに簡単に説明をして了解をもらって立ち会うという形で介入させてもらっている。
バースドゥーラが世の中に広まってほしいと感じたきっかけは私の場合自分の出産だったわけで、子供がいるんですよね。小学生2人と、保育園生1人。今後ドゥーラを知ったりやりたいと感じる人も子供がいる可能性は低くない。助産師さんだとご自身に子供がいなくても目指す方・お仕事されている方が山ほどいるので母数が増えればまた変わってくるのかなと思うけど。(実際私が初めて会ったドゥーラの先生は当時まだ子供がいなかった)
子供がいる自分の生活との兼ね合いを考えると勤務時間が決まっているのはかなりメリットがある。というか、決まってないと正直困る。クライアントさんのお産が始まって呼ばれた時にぱっと飛び出せるように子供を預けられる相手がいるかどうか。いつ終わるかわからないお産に「ゆっくりでも大丈夫」と心から言えるような環境か。いやほんとは言いたいよ。最後までいるから一緒に頑張ろうねって。むしろそれを言わないと意味がないんじゃないかと思うほど、継続的なサポートこそがバースドゥーラの肝なんだと痛感している。っていうか、あなたのお産が終わるまで継続的なサポートをしますよって約束すること自体でドゥーラのできることの半分以上をしているとすら思う。
現状「終わる時間が決まっている」中で中途半端な約束をしたくないので(いちど寄り掛かってもらっておいていちばん大変な時に「がんばってね!応援してるからね!!」って帰ることほど残酷なことはないと思うと、約束できない)それがしんどい。たまに帰る時間に制限がない日があって、そんな時にお産についていると変な話だけど本当に幸せに感じる。

まーこれはとりあえずこの形でやってみようと思って実行していて、体験するというプロセスをやっているわけだから無駄ではない、これがベストだというつもりもないけど、もうちょっと味わおう。
でも今書いていて本当にお産の最後までいたいなって自分が考えていることがよくわかった。最後までいるからねって言えないドゥーラのどこに意味があるのかと思うよね。
ちなみに立ち合わせてもらう患者さんの中にも当然いろんな方がいて、素直に話を聞いてくれて甘え上手なおかあさんもいれば、他人に対して慎重なおかあさんもいたりする。波長が合えばもちろん嬉しいし、いい循環が起きてる気もする。けど、きっとそういう方は気配り上手だろうから私に気を遣ったりしてるってこともあるんだろうなーとか。コミュ障だからわからん。むずいよー。

他職種スタッフとの連携

ドゥーラとして仕事するとき関わる人は産婦さんだけではない。クリニックに所属していようがフリーランスだろうが他職種との協働が大切だ。
まずは、助産師さんとの連携について。
ドゥーラは、助産師さんと比べて患者さんと過ごす時間が圧倒的に長い。それは、助産師さんたちが他の業務(他の方のお産の進行も担当しているとか、産後の方のケアをしているとか、帝王切開の手伝いに入っているとか、いろいろ)もしているからで、一方ドゥーラは1人の人にビッタリとついていることこそが仕事だから、そういうものだ。
助産師さんたちもひとりの産婦さんにしっかり付き添えたらと思っている人もいる。けど、その時の病棟全体の中で自分がするべき動きを見極めて割り切って仕事されているので、言葉を選ばずに表現するとある意味ドゥーラは「ずるい」存在になってしまう。患者さんとの信頼関係が密になりやすいし、分娩の進行を知ったり進めたりするために助産師さんが行う内診は患者さんに「痛い」と言われてしまう。ここでドゥーラが取るべきスタンスは助産師さんを立てるということだとわかってきた。
いや、すごい尊敬しているし、自分は産婦さんと助産師さん両方のお手伝いでありたいと思ってて考えとかは全然変わってないんだけど、もっとそれを分かりやすく表現しなきゃいけなかったんだなと。
助産師さんが患者さんと関わる貴重な時間はドゥーラは少し身を引くように心がけて席を外すとか、関わりの中で助産師さんをたてるような言葉を加えてみたりとか、助産師さんと情報を共有してみたりとか、ほんとねえ、コミュ障じゃなかったら「そんなことやってなかったの!?」って言われそうなことなんだと思うんだけど、してこなかったんですよ。やらないといけない。やる。よくない。
あと若い助産師さんが一生懸命担当されているフレッシュな空気に比べてドゥーラがどっしり患者さんと関わっているとドゥーラの方に患者さんの信頼が寄ってしまうケースがあって、若い助産師さんからするとやりにくくなってしまうという声があって。それはあるだろうなと思うので、今はまだベテラン感が出てない方がお産を担当されるときは引き気味で介入するようにしてみたり。よっぽど痛みが強くてさすってほしい、押してほしい時に人手として登場するようにしてみているけど、これもいずれコミュニケーションをうまくとって(私の方が歳上なんだもんなあ)お互いうまく連携できるようになっていきたい。という課題。
こちらは勤務時間云々よりも取り組みようがあることなので、がんばろう。

そしてドゥーラという職種に対する院内の理解について。
ドゥーラという職種はもともと院内になかったので「看護助手」という肩書きになっている。看護補助、看護助手さんというのが(シロウト時代は恥ずかしながら知らなかったけど)病院にはいて、看護師免許がいらない範囲の診察補助とか、掃除とか、手術や診察に使う器械の滅菌作業とか、備品の補充など縁の下の力持ち的な仕事(以下「助手業務」とする)を請け負っている。
私はドゥーラだけどお産がいいタイミングで勤務中に発生するとも限らないので、そういった時は助手業務を行なっている。

すると「助手なのに助手業務しないでお産の人にずっとついてる」事態が発生する。
入職時に他職種のみなさんに業務内容やスタンスなどをきちんとお伝えできればいい(よかった)のだけど、あまりそれがうまくいかなくて私が肩書き通りの助手業務をおろそかにしていると理解している方が一部に出てしまったのは痛手だった。

なにしろ忙しく仕事している病棟のみなさんの中にシロウト同然の人が入っているので私自身もどれくらい主張して良いかビビってしまったし(っていうかいまだにビビってる)他職種のみなさんもドゥーラが一体何する人なのか、お産中の大事な患者さんにどう関わって何を言う人なのかわからないところから関わっていくのでそこがお互いストレスというか、負荷になる部分なのかなと思う。
一応、初めの頃に資料を作って渡したりはしたけど、勉強会みたいに質問を受けながらお互いにコミュニケーションをとれる形でお伝えできる機会を今からでも作らないといけないかなあと思う。

当時からまた少しメンバーも変わったし勉強会ができるように資料を作ってみようかな。

他にも、ドゥーラとしてのスキルの問題とか、お産当日から関わることによってクライアントのことを掴みきれない、あるいは信頼関係の構築から始まること、無痛分娩の方にはドゥーラはいらないんじゃないの?と考えている助産師さんからドゥーラの介入を避けられたりとか、その辺も課題。あとは産婦さんの主体性、産科的暴力にも取り組みたいけどまずは目の前の課題だな。

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