ChatGPTがもたらすプレゼンに必要なNEOスキルセット
ChatGPTはプレゼンテーションを変えるのか?
誰しもが注目しているけれども、教育現場や企業に行くと程度差はあれよくわからないという方もたくさんお見えになります。
一方で、一部の方はもうすでに聞き飽きてきたかもしれない。
ChatGPT。
もちろん、プレゼンテーションも大きく変化することは間違い無いのですが、一体何が変わってしまうのでしょうか?
プレゼンテーションクリエイターの立場で考察をしてみました。
変わる3つのポイント
1.思考ショートカット
これまではうんうん唸って絞り出していたのが嘘みたいにショートカットされます。
時短。
時間短縮です。
前提条件をしっかりと入力することで色々と提案してくれます。
ですが・・・。
意外とつまらない。
それなりにできるのはできるのですが、どこかで読んだことあるな〜という何かしら既視感があるので面白みに欠けてしまいます。
例えるならば、ピカソの絵を模写したような絵画です。
一見面白そうなんだけれども、どこかで見たことがあるような感覚。
つまり、感情が動きづらいものが生み出されるのが2023年5月時点のChatGPT。
2.♾️クイックレコメンド
とにかくレコメンドが尽きません。
終わりなきレコメンド。
聞けば無限に出てくる。
何度も出てくる。
微妙に変化させながら出てくる。
しかもクイックにレコメンドしてくれる。
10個といえば10個のレコメンドを出してくる。
でも単純に繰り返すとおんなじ事を何度も出してくるので聞き方は変えないと変わりません。
ま、そりゃそうですよね。
実はこの♾️クイックレコメンドで確かに聞けば答えてくれるものの
正確性に欠けます。
本当かどうかはやはりダブル・トリプルチェックが必要になるのが2023年5月時点のChatGPT。
3.スキルスキップ
いよいよ著作権フリーの画像もAIが生成してくれるようになりました。
ということは、必要な画像や動画は探すから作るへと変わったのです。
しかも自分で作るのではなくAIが作ってくれる。
これはとても画期的。
時短だけでなく専門スキルの習得を必須としなくなったのです。
つまり、スキル習得をスキップして良いという「スキルスキップ」が起こってしまいました。
特殊なソフトをインストールして使いこなせるようになる必要がない。
英語をマスターしなくても翻訳してくれるポケトークのようなスキルスキップツールなのです。
つまり制作時間の短縮だけでなく、制作に必要な特殊スキルの習得時間の短縮が起きたのです。
もちろん、新たにプロンプトをどのように入力するのかというスキルは必要となりましたから、スキップできるスキルがある反面、新たに習得する必要のあるスキルが誕生したとも言えます。
とはいえ、これまでの様々なスキルを統合してChatGPTで代替可能となりそうなのが2023年5月の現状です。
このChatGPTで色々と変わるポイントを踏まえて、プレゼンテーションの作り方の観点から3段階で表現してみたいと思います。
プレゼンを3段階に分けてみると
ここでは、プレゼンテーションを3つの段階に分けて表現してみます。
プレゼン1.0(内製)
シナリオ:自分で考える
エビデンス:自分で集める
画像:自分で集める
全て自分でやるという完全内製化の作業です。
これは時間と手間がかかりますしセンスも問われます。
どこまでこだわるかによって作成時間にも差が生じます。
プレゼン2.0(外注)
シナリオ:プロが考える
エビデンス:プロが集める
画像:プロが集める
外注することでクオリティが担保できます。
コストはかかりますがより良いものを作成してより多くの人に訴えるような企業での外注が多いのが特徴です。
プレゼン3.0(ChatGPT)
シナリオ AIが作成(レコメンド)
エビデンス AIが探す(レコメンド)
画像 AIが作成(レコメンド)
これからのプレゼン3.0は自分+AIの補助というスタイルが主流になると思います。著作権、肖像権などもクリアになり、より作成時間の短縮が見込まれます。
こうなってくるとより重要なことが明確になってきます。
それは、1.0でも2.0であっても、もちろん3.0でも必要不可欠なものです。
それがプレゼン制作において変わらないものです。
次に変わらないものについて整理してみましょう。
変わらないポイントは決めること
どんなにAIのレコメンドが出てきても最後に選ぶのは自分自身です。
アウトプットの最後の確認作業は自分で「これでいこう!」と決める判断が必要です。
こうなってくると、何を基準に「これでいこう!」と決めるのかについて自分自身の軸を持つ必要があります。
ですが、この判断軸を持つことって人によっては意外と難しいことだったりします。勤めている会社の社風によっても違いますし、もちろん人によっても違います。
これまでの生きてきた人生観などもあるでしょうし、多様性が叫ばれている現代においては自分が良いと思ったことが他者から見ても良いと思われる確率は10年前よりも著しく下がっています。
この判断軸に正解はないにしても、何かしら拠り所となるような指標的なものはないでしょうか?
判断軸
この判断軸は人によって様々だと思いますが、あえてプレゼンテーションクリエイターであり書家である前田鎌利としてアーティストの立場でお伝えすると、
判断軸とは
時間+コスト+美意識
だと考えています。
時間
時間は有限。いつまでに完結させる必要があるのか?という時間軸があります。
質を上げることとタイムリミットまでに仕上げるという課題は昔から存在していますが、ChatGPTは無限に付き合ってくれる壁打ちパートナーです。
とはいえ、ChatGPTが、答えを決めてくれるわけではありません。
時間を決めてプレゼン資料を作るという作業は変わらず、その中でどこまで自分がゴールとの折り合いをつけるかが勝負となります。
コスト
ここでいうコストは費用対効果です。
新たなツールを手にいれる人類はそれに見合った効果が得られるかどうかをこれまでの重視してトレードオフを行ってきました。
ChatGPTに、AIにどれくらいコストを投下しても自分の中で時間短縮効果やクオリティアップ効果など様々な観点からの費用対効果が得られているという実感が重要です。
美意識
そして最も重要なのが個々人に委ねられた最後の領域である美意識です。
美意識は個々人によって異なるのが当たり前です。
AIが作り出してきたものに美を見出すことも当然できます。その美を感じる意識として私たちはより多くのものを見て、感じて、知ることで感性を高めていくことにこそこれからは時間を割くべきだと考えます。
美意識を高めるために芸術作品を見て学ぶ時間を可能な限り増やすことをお勧めします。
アーティストの思考 by松永エリック・匡史教授
先日、青山学院大学の松永エリック・匡史教授と対談した際にアーティストの思考を研究しているエリックさんから教わったのは
いかに聴衆がアーティストに寄り添うか
ということでした。
アート作品をより深く理解するためには、そのアートの背景やアーティストそのものについて知ること、寄り添うことがさらにアートを深く理解したり感じたりすることができるということでした。
アート作品を見て感じろ!ではなく、アーティストはその作品についてコンセプトを語る義務があり、鑑賞者はそれを享受する機会がある。
つまり、これからのアートは一座建立であり、お互いがそのアート作品を目にした際により良き時間と場所を享受し合うことが伝わることになるというものだと理解させていただきました。
伝える側が傲慢にならず、
伝えてもらう側も伝わらないのは伝え手が悪いと偉ぶることなく、
お互いに寄り添うという心構えが醸成することが重要なのです。
アーティストの思考はそもそも相手に共感を求めていません。
求めていないものだからこそ、伝えることによって相手が作家や作品に寄り添う姿勢が重要になってきます。
これはいわゆるアーティストの指名を行っているのと同じ状況かもしれません。
言い換えると、作家のセルフブランディングができていることが前提となります。
つまり、セルフブランディングができていれば、勝てるプレゼンになる確率が高いというのが現時点での結論です。
さらにこれからのAIの進展でプレゼンテーションが進化することが想定されます。僕はその未来が楽しみでしょうがない。
なぜなら、世界中の誰もが手軽に勝てるプレゼンテーションクリエイターになれるチャンスがあるからだ。
勝てるプレゼンターが多数出ることはそれぞれの夢が実現していくことです。
より良き未来が一歩近づくAIのプレゼンであり続けますように。
担当記事:プレキョウ 代表理事 前田鎌利
次回6月14日の伝×伝は~直感的理解・ユニバーサルな伝え方~と題して、櫻田潤さんをゲストとしてお招きしてお話頂きます!
ぜひ皆様お越しくださいませ!!
https://presen.or.jp/2023/05/4950/
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