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中学受験の基礎知識 塾選び

中学受験をする際に、決して無視できない『塾』についての話です。
大手集団塾に入塾させようと考えた時に、知っておいた方が良い基本事項を何回かに分けて書いていきます。

どの『塾』を選んだかによって、中学受験の家庭での取り組み方が大きく違ってきます。
どのような基準で選ぶのがベターでしょうか?

どんな受験をするのかは決まっていますか?

世の中のサービスや物品で誰にでも合うものは存在しません。『塾』だって同じです。
まずは、塾を選ぶ前に、自分たちがどんな中学受験をしたいのかということをしっかり考えることが大切です。
これがないと塾を選ぶ基準がないことになってしまいます。
必死になって難関校を目指す家庭と無理なく自分たちに合った中堅校を目指す家庭ではスタンスが違います。
親のサポートの程度や経済的な負担がどこまでできるのかもそれぞれだと思います。
また、どんなスケジュールで通塾するのかということやお住まいの場所も無視できない条件になってきます。

大手集団塾のレベル感

中学受験の対象となる中学校を難関、上位、中堅、一般と4つのカテゴリーに分けた場合にそれぞれの塾の合格実績の割合ですが、日能研と四谷大塚は中堅以下が5割以上と多く、SAPIXは圧倒的に難関と上位で7割占められ、早稲田アカデミーは難関と上位で5割、栄光ゼミナールは8割が中堅以下となります。
合格者はどこの塾も延べ人数で公表していますが、テキストの内容的にもこの割合は塾生のレベル感を示す指標にはなりそうです。

大手集団塾を選ぶ際の比較ポイント

日能研、四谷大塚、SAPIX、早稲田アカデミー、栄光ゼミナールについての比較をします。
実際に通っている塾はひとつですので、他の塾の情報は友人の話や雑誌や書籍、各塾のHPから集めています。

 ① 合格実績

志望する学校にその塾が対応しているかということを見極める材料です。
特に最難関校の合格者数を見る際にしっておいた方が良い注意事項があります。
私立中学は、合格を出しても実際に入学しないであろう人数を加味して、定員よりも少し多目に合格者を発表します。
大手集団塾の難関合格者の数を全部足し合わせると、合格者数を遥かに上回ります。
例えば、HPで公式に発表がある開成中学の2020年度合格者は定員300名に対して合格者397名でした。
SAPIX 286名、早稲アカ 111名、日能研 38名、栄光ゼミ 16名です。これらを足すと451名になります。
(同じグループ企業の四谷大塚と早稲アカは、連結決算のような合格者数になっていますので、四谷大塚をカウントから外しました)
公式合格者よりも54名も上回っています。
大手でなくとも合格者を発表している塾もありますので、1人で複数の塾にカウントされているお子さんが数十人程度いるということが読み取れます。
大手塾を掛け持ちできるのかと疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、これは4年生からの平常カリキュラムの通常授業ではなく、6年生で行われるスポット的な志望校特訓は掛け持ちをすることで可能になります。
塾のパンフレットやチラシに大きく表示されてるような中学の実績を見る際にはこのことを考慮しておくことが必要です。
これは中小塾でもほぼ同じだと考えられます。最難関中学名を冠にした対策講座などは、難関上位校の合格実績をカウントするのにはもってこいな企画です。

合格実績について、ある難関校の入学者が、組分けや月例テストの成績優秀者名が載っている塾の会報誌と入学後の生徒名簿を比べて、本当は何人だったのかを調べてみたところという話を聞いたことがあります。
当時、約70名の実績を計上していた塾で、レギュラー(通常授業をとった)生は約30名程度だったそうです。
毎年似たような割合かもしれません……。

合格実績の数字からの印象としては、難関上位校へ進学する生徒が、圧倒的に多いのがSAPIXという傾向が見えてきます。

 ② 通塾スケジュール

概ね学年が上がると時間数は増えていきます。

4年生
週に2回の塾が多いですが、四谷大塚は3回です。
開始時刻は16時50分か17時になることが多いです。
授業時間は2時間半から3時間となり、塾でお弁当を持参する塾としない塾での差であるように思えます。

5年生
概ね週に3回となります。
開始時刻は4年時とほぼ同じです。
授業時間も4年生とほぼ同じです。四谷大塚が他塾と比べると1時間長いようです。土曜日に授業が割り当てられている塾は、早稲田アカデミー、四谷大塚です。
土曜日は平日に較べると、授業時間は長めです。

6年生
週3回から4回となります。9月からはSAPIX、四谷大塚で日曜日にも講座が始まります。
平日の授業時間は5年生と同じ塾が多いですが、SAPIXは1時間長くなります。日曜日のSAPIXの授業時間は9時から18時45分までと拘束時間が長くなります。

四谷大塚がトータルの授業時間が長いように見えます。
日能研は6年生の通塾時間が色々なオプションが用意されているためか詳細がわかりませんでした。
お弁当の有無でいえば、SAPIX以外はお弁当が必要ですが、SAPIXでも日曜日はお弁当持参となります。

 ③ 授業料

授業料は時間数が多くなるために、学年が高くなるごとに高額になっていきます。
通常の月謝としては、
4年生 2万900円〜4万1800円
5年生 2万6334円〜5万5000円
6年生 3万2076円〜5万9950円
日能研が安く、SAPIXが高い印象になります。
塾によっては特待制度があり、無料になる場合もあります。

進学塾の場合は、その他の講習が準備されていることもあり、断ることができない場合もあります。
春期、夏期、冬期などがあり、6年生の夏では13万円〜18万円前後のお金が掛かります。
早稲田アカデミーは夏期講習とは別に合宿があります。
6年生になると、志望校特訓もあり、これは数十万円となることもあります。
そのほかに、模試の料金が別途加算されることもあります。

 ④ シラバス テキスト

シラバスはHP上で開示する塾も多くなりました。
同じ範囲の中学受験に対応するので、大きく差はないようにみられます。
単元はほぼどの塾も同じように網羅されています。

テキストについては、塾生が全員同じテキストを使う塾とクラスによって違うものを用いる塾とがありますので、徐々に成績を上げていこうと考えているご家庭には注意が必要になります。

四谷大塚と早稲田アカデミーは『予習シリーズ』を使っています。
これは塾外生も通販で入手が可能です。
2012年に大幅改訂がありましたが2021年度に改訂がされるというアナウンスがあったようです。
早稲田アカデミーはそのほかにもテキストがあり、所属しているクラスによっても使うテキストが異なります。

SAPIXは全て塾生に同じホチキス留めのプリントがテキストとして授業毎に配布されます。
テキスト部分に関しては、この数年改訂はないように思われますが、演習問題の部分は直近数年分の入試問題を取り入れてかなり変更されているようです。

同じ塾の校舎や所属クラスによる違い

これまでは塾全体に関することを書いていますが、同じ塾であっても校舎によってのばらつきがあることがあります。
日能研に関しては、本部系と関東系と経営の違いによって方針も違い、雰囲気にも違いがあるとのこと。

校舎の規模や校舎長の方針などが影響していることがあり、校舎長は他校舎へ異動となることもあり、ガラッと雰囲気が変わったという話もよく耳にします。
また、同じ校舎内でも上位クラスと下位クラスでは、使っている教材が違ってしまったり、取り扱う問題数が違うこともあります。
入塾を考えている校舎での体験授業があればいいのですが、クラスによる差については、実際に所属したことでしか見えてこないものもあります。
クラスは頻繁にアップダウンがあり、構成する生徒が入れ替わります。
また、学年ごとの雰囲気の違いというものも、ありますので、新4年生で一斉にスタートした時に、初めてわかるというのが現状です。

慎重に塾選び校舎選びをしたいと考えたご家庭では、入塾をカリキュラムスタートの2月ではなく、体験がわりに春期講習で判断したという話を聞いたことがありました。
しかし、塾のクラスは頻繁に変わる場合もありますので、あまり神経質になる必要もないかもしれません。

合う合わないは観覚的なもので、なかなか文章にするのが難しいです。
たった数人のお子さんが影響を与えている場合もあります。

でも、最終判断をする前には、お通いになるその塾の校舎には足を運んだ方が良いと思います。


オススメの塾選びの参考書籍




この記事は、私の体験したことをもとに書いています。
必ずしも、全ての方に当てはまるわけではないと思いますし、かなり主観が含まれていますので、時間経過によって、あるいは一般的な観点からは、正確性に欠ける部分もあるかも知れません。
こんな話もあるんだな程度に読んで頂ければ助かります。
何かの決定に際しては、こちらで書かれた情報は参考程度に考えていただき、自己判断でお願いいたします。
また、お勧めした書籍やグッズを使用する場合は効果についての責任を負えませんのでご容赦ください。
ご質問がある方は、コメントやメッセージをいただけたらと思います。




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