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これが本当の「信頼できない語り手」/木嶋佳苗『礼賛』

年末に「映画すみっコぐらし」や「Fate/Grand Order」の第二部5章、「おっさんずラブ in the sky」の最終回、「STAR WARS/スカイウォーカーの夜明け」と、なかなか重めの作品を一気に摂取したので、年末年始は軽めのコンテンツを摂取したいと思ってたら、図書館から「順番回ってきたで」ときたのがこの本である。
ステーキ食べたあとにカツ丼たべるくらい重すぎる。

とはいえ図書館で借りてしまった以上、2週間以内に摂取しなければいけないので読みました。

著者の木嶋佳苗氏について(Wikipedia)。

自伝小説とはいえ、殺人罪3件、詐欺・窃盗罪7件で起訴されてる人が書いて、明らかに嘘だろな部分はあるものの、「これは本当かもしれない……?」と思わせ、同情すら誘う部分もあり、一体どこまで信じていいやら、信じちゃいけないやら混乱してくる作品。

ただ、著者本人の文章力がすさまじいせいか、とても読みやすかった。気づいたら読了してた。

本書に信頼できる部分があるとするなら、圧倒的文章力で描かれる食べ物の描写。作中に出てくる食べ物が全部おいしそう。
特に幼少の頃参加したという、ヤマギシ会(作中ではヤマザト会)の子供楽園村で新鮮な野菜や卵を食べるシーンがあまりにおいしそうで、自分も購入できる店舗を検索してしまった(ネットスーパーあるけど、個人情報登録がためらわれたのでやめた)。

あと、父親の影響やハイソサエティな男性達との交際を通じて身に着けた教養もすごい。

10代の頃から交際相手の男性を自分よりだいぶ年上で尚且つお金持ちばかりに絞っているのは、同い年の女の子と同じ土俵で若い男を取り合うのは不利と悟っているのかもしれない。なるほどブルーオーシャン戦略じゃねーの。

ただ、逮捕直前まで10年以上付き合ってた男性があまりお金持ちでもないってのが面白い。

事件には殆ど触れられてないし、全く信頼できない内容ですが、普通にボリューム相当の面白さがあったので、オススメです!


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