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仔牛に食物繊維を与えてみるとどうなるのか

獣医の先生曰く
「腸管発達には、粉末状の食物繊維によって、発酵が必要」
という話があったらしい。
(人づての話なので、どこまでの正確性があるのかはわからないのだが)


この言葉を考察してみよう。

まず、牛の場合、食物繊維というと粗飼料だろう。

イタリアングラスやチモシー、アルファルファなどを与えたり、
稲わらを与えたりすることもあるだろう。

これらの粗飼料は、
ルーメンにおいて、ルーメン微生物叢が分解する事で、
・揮発性脂肪酸(いわゆるVFA)を作る
・菌体タンパク質を作る
ともいわれている。


しかし、今回は仔牛
その上、離乳後から100日齢くらいまでを対象とするらしい。


さあ、問題だ
そもそも、何週齢で離乳させるかがまず定かじゃない。

《ホルスタイン種雌仔牛の早期離乳方法の検討》
というのを島根県立畜産試験場が2002年に行ったらしい。

https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/gijutsu/chikusan/report/kenkyuu_houkoku.data/35_13-16_2002.pdf?site=sp

これによると、5週齢または4週齢で離乳を試みている。
つまり、35日齢と42日齢で離乳させていることになるのだ。


しかしながら、黒毛和種仔牛の離乳は、6ヶ月齢から7ヶ月齢
と書いてあるものもあれば、

https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/tohoku_news56-57p10.pdf

超早期離乳ということで、56日齢、つまり8週齢で黒毛和種仔牛を離乳させる方法もあるらしい。


つまり、早期離乳させた場合に、
腸管発達の為に食物繊維を、ということになるのだろうか。



そして、2つ目が食物繊維ということだ。
水溶性を指すのか、不溶性を指すのか、という問題がある。

水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維は全くの別物だ


水溶性も、不溶性も、大腸発酵の餌にならないわけではない。
しかし、大腸発酵というのであれば、
どちらかというと水溶性食物繊維の機能であろう。


しかし、それでも問題になるのが、仔牛ということなのだ。
成牛になればルーメンで粗飼料(不溶性食物繊維)を発酵させて、
エネルギーにすることが出来る。

子牛はまだ、ルーメンが発達していないが、
ルーメンの発達にはスターター給与が必須でもある。

http://okayama.lin.gr.jp/tosyo/r03wagukyogikaikensyu.pdf


もし、スターターを与えなければ、という実験もあったので、
気になる方はそちらをご覧いただきたい。


スターター、濃厚飼料によって、
VFAが作られ、ルーメンが発達すると言われているのである。

つまり、不溶性食物繊維がどのような形でルーメンや大腸において、
発達していくかということについては、
まだまだ検証が足りていないのかもしれない。


それでも、微粉にした不溶性食物繊維によって、
仔牛のルーメン発達がされたという資料もあったので、
どういったものを与えると仔牛が健康に育って、
大きくなれる下地が出来るのか知りたいところである。


それにしても、採算割れするほど仔牛の取引価格が下がって、
サプリメントである混合飼料やプレミックスを使えるような
市場環境じゃないことだけは確かだと思う。

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