乳化剤って、いろんなことに使われるのよ?ってお話
前回、〖1つのものにいくつもの名前があるって、めんどくさい〗
というnoteを書いた。
で、今回も最初は似たような話なのだが、
乳化剤というのをご存じだろうか?
乳化剤とは、混ざりにくいものを均一に混合する為に、
乳化させることを助ける物質が、”乳化剤”なのだ。
で、乳化剤と界面活性剤は、目的が一緒で、
なんなら成分すら一緒である。
ものすごく端的に表現するなら、
・乳化剤→食品など
・界面活性剤→洗剤、シャンプーなど
という区分けのように感じる。
で、畜産でも乳化剤は様々な使われ方をするが、
非常に厄介なのが、
『乳化剤』
と
『乳化作用のあるもの』
に分けられるのだ。
「飼料添加物」としての『乳化剤』となるのは、
・グリセリン脂肪酸エステル
・ショ糖脂肪酸エステル
・ソルビタン脂肪酸エステル
・ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
・ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル
の5種に限られる。
なので、
「飼料添加物」としての『乳化剤』だと、
・グリセリン脂肪酸エステル
https://www.shintoa.co.jp/wp-content/uploads/Myvatex.pdf
などがある。
では、『乳化作用のあるもの』はというと、
様々なものがあり、
・酵素処理レシチンを使用したもの
・菌により分解したもの
なんかがある。
ここまでは、乳化剤と界面活性剤の大枠について
ここからは、畜産向けサプリメントや飼料で乳化剤・界面活性剤がどのような使われ方をするのか
(殺菌目的の界面活性剤については、専門外かつ勉強中なので勘弁いただきたい)
先に挙げた、「飼料添加物」の乳化剤の登録は、
『飼料の品質の低下の防止』の為に、乳化剤を登録している。
で、『飼料の品質の低下の防止』とは、どういうことかというと、
粉状のものをペレット成型する際に、
油脂の分散性向上や、ペレット割れ防止を目的にしているのだろう。
せっかくペレットに加工したのに、それが割れてしまっては意味がない。
それを予防する為に、乳化剤は登録されたのだろう。
しかし、乳化剤の利点としては『飼料の品質の低下の防止』だけではない。
飼料にも人間の弁当などと同じく、エネルギー量として、
カロリーなどは表示されており、
そのカロリーを上昇させるのに動物性油脂を加えてりするのだが、
その量を減らすことが、乳化剤で出来るのだ。
だからこそ、油を多く入れているような飼料では特に、
乳化剤を入れることのメリットは大きい。
飼料にも、使う乳化剤によっても、異なるのだが、
MEという代謝エネルギー量を50下げる事が出来たりする。
つまり、使う動物性油脂を減らすことが出来るので、
コスト削減になるのだ。
乳化剤のメリットはコスト削減だけではなく、
水でビタミンを与えたいとなったときに、
ビタミンA・D・Eといったものは、油に溶けている状態なので、
水には混ざらず、分離してしまう。
分離させないために、乳化剤を使用している製品もある。
乳化剤のメリットはまだまだあって、
食品残さを利用して飼料にするリキッドフィードという方法では、
しばしば粘性が高くなりすぎてしまい、配管を通らないという問題が発生
それを防止する為に、乳化剤を使うという手もある。
澱粉独特の粘り気を減少させる方法はあるのだが、
高い上に、入手しにくいということもあり、乳化剤という手段も選択肢だ。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/siryo/attach/pdf/ecofeed-5.pdf
上のリンクは、農林水産省の作成した、
「食品残さの飼料利用に係る規制について」だが、この資料の中に、
”肉を扱う事業所等から排出された食品循環資源を原材料とする飼料は、
攪拌しながら90℃60分以上又はこれと同等以上の加熱処理を行うこと”
としている。
しかし、これをすることで、強い粘性が出るようだ。
乳化剤はミセルを形成する際に、ミセルの中に油脂成分を取り込む他、
抗生物質の成分も取り込むことで、より抗生物質の効果を高めてくれるといった、可能性も示唆されていたりする。
ミセルの中には油脂成分や抗生物質だけではなく、
卵の黄身の赤さを決める色素成分も取り込むことが出来る。
そうする事で、黄身をもっと明るくしたり、黄身の色のばらつきを減らすといった可能性もある。
目的によって、乳化剤の使い方は異なる。
・ペレット化した時に、崩れにくくしたい
・高い動物性油脂などを減らすことで、コストを削減したい
・抗生物質や色素がもっと利用されやすくしたい
・リキッド飼料を作る時に、流動性を良くしたい
などがある。
乳化剤・界面活性剤も本当に奥が深い…
勉強し続けなければ!!
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