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短編 / 掌編

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#スピッツ

歩む

 校舎を出る際、陽射しが少し傾き、それでもなお残る暑さに面食らった。今日は誰とも話をする気分になれず、早退するかのような早さで玄関を出た。何となく外の空気が無性に吸いたかった。  ゆっくり一人で歩いていた僕のリュックに、後ろから誰かがぶつかって来た。中学生の頃、3年間同じクラスで仲が良かった歩(あゆむ)だ。今の高校でも偶然同じクラスになった。 「あ、ごめん。」 「おう。」 「もう帰るの? 早いね。」 「歩も……」  随分早く帰るんだな、と言おうとしたが止めた。 「ああ、うん