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こんにちは。幸坂かゆりと申します。 こちらは更新、案内ページです。このマガジンは2004年頃から同タイトル『ソファーの上でロマンスを』という拙ブログにて書いていた短篇を纏めています。当初、敬愛するアーティスト、大澤誉志幸さんの曲名を小説化して書くという目的を持っていたのですが、あまりにも曲が膨大なのと自分で聴き込んでいないもの、難しいと感じるもの等が多くなり、当時は毎日のように更新していましたが書けないまま放り出した形になってしまいました。 けれど、大澤誉志幸さんのタイト
真夜中、彼女に呼び出された。 呼び出しはいつも急だが、虫の知らせなのか、いつも5分程度で出掛けられるようにオレの準備が整っている時に連絡が来る。薄手のジャケットを羽織り、待ち合わせた場所まで車を走らせた。 既に彼女が待っていた。クラクションを軽く鳴らして合図を送るとすぐに助手席に滑り込むように乗り込んできた。 「久し振り。どうした? こんな時間に」 「いいじゃないの、たまには。ドライブしない?」 彼女は長年の女友達だ。シートに落ち着くやいなや、おもむろにバッグから煙
開放された、と感じた。 長時間のフライトから地面に足が着いた時、やっと大きく息を吐いた。カメラマンの大沢修は写真集で見てひと目ぼれをしたこの小さな町に足を踏み入れた。とうとう来たのだ。都会から田舎町にやって来た彼は小さな空港に流れる涼やかな風にしばし目を細めた。 すると、突然近くで男の怒声が聞こえ、驚いてそちらに目をやった。声はかなり目立っていた。周囲の人間は面倒なことに巻き込まれたくないのか無視していた。男が怒鳴りつけている相手は恋人らしい。彼女は露出度の高い服を着て
目を覚ますと、一瞬ここがどこか判らなくなった。 国際線の飛行機の中、ナナは周囲を見渡して思い出す。 こうして飛行機に乗っているのにまだ迷いがある。もう空の上だから後悔したって遅いんだけど。ナナはシートを倒してもう少しだけ浅い眠りに入った。目的地まではまだ時間がかかる。 それは突然だった。 土日祝日等とは縁のない仕事をしているナナに五月のゴールデンウィークは頭になかった。いつものように健やかに眠り、朝になり、新聞を取りに郵便受けを見に行くと見た事のない封書がナナ宛
夜はバー、朝になるとカフェに入れ替わるこの店で、熱いだけのコーヒーを飲みながら視界が揺れる窓を見る。雨なんて、うんざりだ。 家にも帰らず、うだうだと何時間も店に入り浸る俺はなんてだらしないんだろう。憂鬱な気分を雨のせいにして昨日は仕事を休んだ。その後この店で酒を飲み、多分テーブルに突っ伏して眠り込んでいる間に店のスタッフが清掃も終えたのだろう。 いつの間にか夜が明けたらしく店内はカフェに早変わりしていた。外は曇っているが朝と言うだけで充分眩しくて瞼の奥がズキズキする。
つい、癖でポケットに手を突っ込んでしまう。そこに携帯電話はないとわかっているのに。仕事用のものはある。プライベートで使う方だ。家に置いて来てしまったのだろうか。少し焦ったが、もしこのまま見つからなかったら彩子に鳴らしてもらうまでだ。 彩子は僕の妻だ。 派手さはないが柔和で大人しくて、いつも美味しい夕食を作って待っていてくれる。しかし仕事を終えて家に戻ると、部屋の中の雰囲気が違った。いつもならするはずの料理のいい匂いもしない。とにかく彩子がいない。何度も呼んだが返事もない