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ソファーの上でロマンスを

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2004~2006 Novels Archive 大澤誉志幸さんの音楽から想起した物語。
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2023年6月の記事一覧

次のCurveまで

 真夜中、彼女に呼び出された。  呼び出しはいつも急だが、虫の知らせなのか、いつも5分程度で出掛けられるようにオレの準備が整っている時に連絡が来る。薄手のジャケットを羽織り、待ち合わせた場所まで車を走らせた。  既に彼女が待っていた。クラクションを軽く鳴らして合図を送るとすぐに助手席に滑り込むように乗り込んできた。 「久し振り。どうした? こんな時間に」 「いいじゃないの、たまには。ドライブしない?」  彼女は長年の女友達だ。シートに落ち着くやいなや、おもむろにバッグから煙

City of tiny lights

 今夜は彼が尊敬してやまないシンガー、サミー・ラヴィアンのライブの日だ。サミーは素晴らしくソウルフルな歌声を持つ黒人のシンガーでこの小さな街に来るのは本当に久し振りだった。柔らかな楽曲から時に毒のあるものまで様々な表情で歌う魅力的なシンガーだ。 それなのに、彼はさっきから苛ついて煙草を何本も揉み消していた。開演時間は午後7時。しかしもう6時半を回っていたので会場に急がなければ間に合わない。チケットは持っている。だが待ち合わせている彼女が来ない。だからこんなにも苛ついてい

深層のプール

 仕事を終え、帰宅した加奈子は思わず家の鍵を乱暴にテーブルに置いた。  最近、自分を遠ざけるような態度を取る婚約者、浩樹に不信感と軽い怒りを抱いていた。浩樹は優しい人だ。以前なら会えない日には連絡をくれていた。けれど最近は特に「忙しい」と言う言葉が増え、その度に謝ってくるものの加奈子が連絡を入れないと浩樹から返事は来ず、時間だけが過ぎて行った。今日も約束を破った浩樹に謝られたが、忙しいと言っていることもあり、責めるのも躊躇われたため、消化不良のままだった。  気になった加奈