City of tiny lights
今夜は彼が尊敬してやまないシンガー、サミー・ラヴィアンのライブの日だ。サミーは素晴らしくソウルフルな歌声を持つ黒人のシンガーでこの小さな街に来るのは本当に久し振りだった。柔らかな楽曲から時に毒のあるものまで様々な表情で歌う魅力的なシンガーだ。
それなのに、彼はさっきから苛ついて煙草を何本も揉み消していた。開演時間は午後7時。しかしもう6時半を回っていたので会場に急がなければ間に合わない。チケットは持っている。だが待ち合わせている彼女が来ない。だからこんなにも苛ついてい