見出し画像

家族の話②

実家には両親と祖母、兄がいるという話の続き。

数回書いたが、母は物心ついた頃からフルタイムの会社員だった。
田舎から電車で40分ほどの地方都市で、英会話教室の先生から管理職になり、バリバリに働いていた。

今でこそフルタイム勤務のお母さんは珍しくないが、当時の自分の周りにはそんな人は滅多におらず、「寂しいな」と思ったこともなくはない。
そんな母の背中を見て「私は絶対専業主婦になる。子どもが帰ってきたらお帰りと言ってあげられるようになる」と漠然とした夢を描いていたが、この親にしてこの子あり、という感じで私も仕事大好き人間になった。

ただ、自宅で子供を迎える、子どものそばにいるというのは、在宅ワークのおかげで叶って言えるのでありがたいなと思う。

母と私は、そんな感じでヨソとはちょっと違う親子関係だった気がする。母親業の半分、もしくはそれ以上を自身の母、私の祖母が担っていた分、婿養子で単身赴任、悪い言葉を選べばまさに「空気」だった父親の代わりもしてくれていた。
私にとって母は、お母さん!というより年の離れた友達、信頼できる上司、そんなポジションだと今でも思う。

空気とは言ったが、もちろん父にも感謝している。
私が都会の私立大学に通えたのも、両親がマジメにコツコツ働いてくれたおかげだ。

ここ10年くらいは、朝6時に起きて7時に出社、18時に退勤してその後買い物をして夕飯の支度やら家事やらを1人でこなすという鬼のようなスケジュールをこなしていた。

そんな母も定年を迎え、再雇用で時短勤務となり、先月からは更に短いパート社員となった。
理由は父親の病気だったり、年で疲れるだったり色々だが、とにかく何十年もフルタイム勤務、祖母が倒れてからは主婦業もこなしながら生き抜いてきた母を、私は尊敬している。

母は働くだけでなく、休みになると色々なところにも連れいってくれた。今も私の息子たちを公園やドライブや買い物に連れ出してくれて、とても助かっている。
私はインドアだが、母も、うちの夫もアクティブな人なので子どもたちは幸せだろう。

還暦をちょっとすぎた母は、疲れやすく、涙もろく、そしてあまり怒らなくなった。親も年を取ったんだなと、ふと感じることがある。
訳あって地元にUターンしたが、こうして親の近くにいられるのはありがたいことだと思う。

近距離別居の実家だが、しょっちゅう会っているので長男は「ボクんちは8人家族だよね」と言う。それを聞いて、母は嬉しそうに笑っている。
とはいえ今も元気で、やはり仕事が大好きな母なので、無理のない範囲で、社会に出て生きがいややりがいを感じてほしい。家にいる時間が長くなった分、ご飯を作ってくれたりアイロンをかけてくれたりするのはありがたいので、私はその分仕事を頑張ろうと思う。

子どもたちも、保育園と幼稚園にいった。手がかからなくなるとお金がかかるし、上の世代はどんどん老いていく。
我が家では今、ちょっとした世代交代が起こっているのかもしれない。

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?