アポカリプス・ワーカー
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アポカリプス・ワーカー

 ガランゴウン、塔の上で俺は旧時代的な滑車を回し、白色のレンガを地上から運び込み続けている。汗を拭いふと空を仰ぐと、相も変わらず彗星が飛び交い、倉吉平野に林立する白い聖塔達を赤く照らしていた。

 「慈悲ーッ!」「働く意思はありアアーッ!」

 その時、純白の天使が薄汚い求職者2人を攫っていく光景が目に映る。可哀想に、だが俺も他人事じゃない。6時のベルが鳴り響き、俺はこの教会建設現場を解雇された。他の労働者が詰まってるから仕方ないが、早く新しい仕事を見つけねばあの求職者と同じ運命を辿るだろう。

 ……全ては22世紀初頭、人類が労働を放棄した事に端を発する。人類の生存と社会運営に関する全業務をAI・ロボットが担う世界で、人々はただ享楽の内に生きる存在へと堕落して行ったのだった。

 故に世界の終末への要件は満たされた。2年前、太陽が消え邪神共が一斉に目覚めたあの日、神はただ1つの慈悲を与え給うた。堕落の一切を捨て、天に信仰と労働を捧げよ、と。

 冗談じゃない、労働の苦なき未来が約束されていた俺は深く絶望した。だが、2年も経ちこの現状に嫌でも慣れてしまったし、なにより地獄行きは最悪だしで今日までズルズル生きてしまってる。現場を後にした俺はナノ・フォンで求人情報を検索する。幸い世界の終末にあってもインターネットは健在だ。

 だが求人が空いて無い、この辺境も随分求職者が殺到してしまったらしい。西へ向かうか……駄目だ、レベル6の邪神警報が出ている。マズい、このままでは今度こそ死だ。焦る俺の網膜に1つの求人が飛び込んで来た。

 『倉吉第3農業プラント襲撃者募集 ※AI破壊はカルマを発生しません』

 なるほど、システム管理会社が滅び、なおも稼働を続ける為に手の付けようがない産業プラントは少なくない。そこのAI共から職を強奪しようという訳か。

 仕方ない、天使や邪神と事を構えるよりマシだ。早速俺は指定場所へのナビ開始を命じた。

【続く】

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