廃都探検日記 vol.001「伝説の焼き芋屋」

僕の姉さんは優しく、まだ幼い僕を冒険に連れて行ってくれる。今日は新宿の廃ビル屋上から、国道20号線を覗いていた。

『いしやぁ~きいもぉ~おいしいよ~』

「おっ早速きたなっ!”伝説の焼き芋屋”!」

ザラついた音声の方向、焼き芋屋台が走るのが見えた。推定時速666km。荷台を屋台に改装しただけの唯の軽トラックにしか見えないそれは、新宿駅跡の方から僕たちの方へ、不自然な静けさで爆走する。それが僕達のいるビルを横切った、その時。

『KABOOOOOON!』

姉さんが事前に仕掛けてあったTNTが起爆!焼き芋屋に爆風が直撃!「いえーっ!ビンゴ!」とお姉さんはガッツポーズ。だが次の瞬間、立ち込める煙の中から、主翼を展開した焼き芋屋がスクランブル発進めいて飛翔する!

「まあこうなりますよねー、んじゃあとは任した!」

「うん、任された」

僕は背中のエンジン機構を開闢する、即座に起動、灰色の空へと飛び立った!

【続く】

#小説 #逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

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