ヴァージニアディーン
あれは。朝早くのこと。ゆっくりと、道を歩き、少し肌寒い季節の移り変わる気配を感じ、透明なハートで、追想に浸る乙女が、一人。
流れゆくのは、サラ・ヴォーン。アフターアワーズ。
酔いしれる美貌のディーンは、ジャズを聴く。
煙草は控えめに、シダーウッドで、いきましょう。
歌姫うたう。青春の歌を思い出す。
きっと。流れる、アヴェ・マリア。
頬を伝う涙。
きっと、思い出すリルケの歌の一節を。
それから、手をつなぎ、すっと鼻先を撫で、気取ったそぶりで、酔いしれるディーン。
深酒ご無用。マリアとディーン。
キスキスキス。
乙女なあなたは薔薇園に行く。
ディーンが薔薇をぽきりと折って、棘を払い、そっと、口にくわえる。そしてうっとりアヴェ・マリア、片膝をつくディーン。美しい透き通るようなその御手をとる。手の甲に、口づけをして、薔薇を捧げる。マリアは、うっとりとした目で、涙ぐみ、薔薇の花を空に掲げる。ゆっくりと、ゆっくりと、ダンス。スローなフロー。魂の鮮烈な色をした太陽果実。
歌えよ、乙女。
闘え、戦士。
乙女の愛を受けるに値する者は守る者だけ。
傷つける者から、棘を払うように戦え、戦士よ。乙女のために。
命令しまっす💛。おねがいしまっす💗。えらんでくだいさいっす。自由と孤独を。