話すのが苦手なんじゃない。安心できないから、話したくないんだ。
こんにちは、ライターのすだと申します。
2020年は、SNS生活に片足半分突っ込んだ年になりました。そして、一年を通して感じたのは
「自分のことを話したくない人など、いない」
ということでした。
私は話すのが苦手だから……
SNSで言いたいことなんかないよ…
そういう人も、きちんと話を聞いてくれる相手がいて、安心できる場所なら「話したい」と思うんじゃないか。
そんなふうに思ったので「SNSの今後の在り方」について、お正月から考えてみました。
見てくれる人だけが見ている
2020年5月から本格的に始めたツイッター。2020年11月から始めた、気軽に音声配信ができるstand.fm(スタエフ)。
これらをSNSのひとつと呼ぶなら、思ったことがあります。
それは、SNSは「リアルと同じだ」ということです。
いやいや、リアルでは言えない、胸の内を吐き出せる場所がSNSなんですけど。そんな意見もありそうです。はい、実際そうですよね。
ちょっと困ったこと、少しムカッときたこと、なんでだろう?と疑問に感じたこと、やるせなかったこと。話題には出しにくい、日々の思い。そんなことを発信できるのが、SNSの魅力のひとつでもあります。
ただ、地上にあるSNSをスカイダイビング直前のヘリコプターから見下ろしたとしたら、全体的には「リアルと同じだなぁ」と思うんです。
実際に積極的な発信を続け、たくさんの人とやり取りをしてみたところ、実生活の人とのかかわりと、さほど違いがありませんでした。
「SNSは特別でも、なんでもなかった」
のです。
例えば、通りすがりに「いいね」をしてくれる人、「コメント」をくれる人に対し、ありがたいなと思います。自分もその人のプロフィールを見にいったりします。
ただ何もなければ、その人のことを忘れてしまいます。
これって、一度話してそのまま会うことのない人、つながってはいるけれど連絡をとっていない人、すごく短い期間だけかかわった人。リアルでも存在するそんな人たちと、似ているなぁ…… と最初に思いました。
一方、何度も「いいね」をしてくれたり、自分の投稿をリツイートしてくれたり、「コメント」をくれると「あ、〇〇さん…… 私もコメントしよ」と好印象を覚え、積極的に自分も動こうという気持ちになります。
そして自分から動いたことで「私はこの人のために動いた」と認識し、記憶が長期間残りやすくなる気がします。
「会えば会うほど好きになる」
という言葉がありますよね。
SNSでは実際に会うことは稀かと思うので「かかわれば、かかわるほど好きになる」ということでしょうか。
やり取りすればするほど、その人に対して親密感を抱くのは、現実世界も同じです。
また初めての方に「はじめまして」という。朝なら「おはようございます」と挨拶する。素敵だと思ったから「素敵ですね」とコメントする。これもリアルと何らかわりないように思います。
SNSは別の次元にあり、天国にも地獄にもなりえる、と思っていた2020年5月の私は、2021年1月をむかえ
「リアルと同じやないかい」
と思っているのです。
「話したい」欲望は、誰もが持っている
2020年11月から使いはじめた、音声配信アプリ「stand.fm(スタエフ)」。
こちらも、2ヵ月使ってみて感じたことがありました。
それが
「人は話したいんだな」
ということでした。
音声配信アプリであるスタエフには「自分のことを話したい人」がたくさんいるイメージを持たれる方もいるかもしれません。
私が実際に使ってみて感じたのは
「私の話を聞きたいと思う人なんか、いるのだろうか」
と感じている人も、多いなということでした。
自分では収録せず、LIVE配信もせず、聞くことを楽しむ「聞き専」の人もたくさんいます。けれど、そんな人とLIVEなどでお話すると「本当はここで話してみたいし、LIVEもやってみたい」といいます。ただ、なんとなく「それをするのは怖い」のだそうです。
スタエフには、雑談といわれるような「おしゃべり」を配信するチャンネルもたくさんあります。
仲良し友人2人でおしゃべりするチャンネル、あるある話を語るチャンネル、その日あったことを報告するチャンネル、ささいな気になることをテーマにみんなで発表し合うチャンネル。
そうした音声を聞いてみて思ったのは「話したい欲」というものは、きっと誰にでもあるのだろうなぁということでした。
また自身のビジネス、知識や経験を生かした内容で、継続的に音声配信をされている人もたくさんいます。そんな人たちは、とにかく誰かの役に立つ情報を届けようとしてくれます。
そのほうが配信側も話す内容をまとめやすく、聞いている人もはっきりとした目的を持って聞きたい話が聞けるので、効率的かつ、満足感を得やすいですよね。
でも、そういう人ほど「私のプライベートな話なんて、なんの役にも立たないしな」と思っているように感じるときがあります。本当は、お仕事に関係ない話もしてみたい、と思っているんじゃないのかな…… と。
「本当はもっと話したい。けれど、できない」
そう感じるのは「そこで話すことに、まだ安心できない」、そんな思いがあるのかもしれません。
スタエフのような音声配信アプリでは、聞いてくれる人はいるけれど、自分の目の前にはいません。
相手がどんな顔で聞いているか、どんなことを感じているかは分からない。だから、余計なことは気にしなくていい。
相手の反応を気にするあまり「私は話さない」を選び、「おもしろい話などできない」とため息をつき、「伝え方が分からない」と戸惑っていた人にとってスタエフは、身軽に話ができる場所になるのではないかなぁという気がしています。
2021年、SNSと「みんな」はどうなる
SNSを使う目的は、どんどん細分化されていきそうです。
自身のお仕事を露出していく方、
趣味で使われている方、
メモ帳代わりに使っている方、
知識をアウトプットする場所にする方、
代弁者を探している方、
それもそれぞれが100%ではなくて、いろんな要素を10%ずつくらい含ませ、複合的に使われていくように思います。
目的に特化して、その人の生活に合わせた使い方で。
便利でワクワクして、ときに思わぬサプライズと、感情にさざ波を立ててくれる存在。SNSは今の私にとって、そんな存在です。
SNSが安心できる場所になるのかどうかは、わかりません。
「どんな場所なのか」は、自分がどこにいるのか、何をいうのか、時代の状況によっても変わっていきます。
だから「安心できない」人は、話したいけど、話せないままかもしれません。
ただ
人は誰しも話したい
という仮説が正しいなら。
さまざまな理由から自分を閉じこめてきた人にとって、リアルと変わらないにもかかわらず、話したいことがなくても話していいと思える。
SNSがそんな場所になっていったらいいな、と思います。
ここまで一個人が発信できる世界になったのなら、自分を後押ししてくれるツールとして身近な存在になっていけばいいな。
みかん食べながら、そんなふうに思った寝正月でした。
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