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「他人に興味がない」と言うのに、なぜか他人にやさしい人。その理由を考えてみた

最近読んだネット記事で、こんな意見がありました。

同窓会に誘ってもらったんです。仲の良い友人からの誘いなので「大人数が億劫。1対1ならいいのに」と返しました。同窓会に出て近況を語り合うくらいなら、家でネットフリックス見てたくて。他人に興味が持てなくなってきたような気がします。

この記事を読んで、「分かるなぁ」と思いました。

実は先日、同世代の友人2人と食事したときも「年々、他人に興味がなくなっていく」という話が出まして。

私は40代でフリーランスとして活動していますが、友人は会社員の子もいば、専業主婦でパートで働いている子もおり、属性はみんなバラバラ。

そんな2人とこの話題で盛り上がったときに、ある矛盾を感じたんですよね。

だって「他人に興味がない」という友人らは、けっこう他人のことを考えている人たちだから。

他人の迷惑にならぬようさりげない気遣いをし、他人が楽しめるような企画を立て、他人が過ごしやすいように考えている。他人に興味がないのに、はたから見たら他人にやさしい。

これは一体どういうことなのか、ちょっと考えてみました。

興味がなくなった理由

みなさん、友だちの誕生日、何人覚えていますか?

昔は「〇月〇日!」と即答できたのに、今は親友の誕生日すら危うくなっている。今の私はそんな状況です。

単純に記憶力が落ちたから、といえるところを「私って、他人に興味がなくなってきたのかも…」と意味づけしてしまうのは、相手に対する申し訳なさからくるとして

今回の「他人に興味がなくなった」理由を真剣に考えてみると、

「何かと自分を比較する機会が少なくなったから」

ではないかと思うんです。

学生のころは、否応なく「比較される環境」にいます。そして学校を卒業し、社会に出ると、ほかの人よりも優秀な存在になるよう評価が続きます。

恋人ができれば、さも結婚がゴールと急かされ、友人の「結婚」「出産」連絡に遅れをとっているような複雑な感情と対面する。

そんな「比較人生」の嵐が一通り過ぎ去ったミドル世代の私たちは、時代が変わった影響も受けて、今はもう比較する対象がなくなったような気がします。

良くも悪くも、比較できるモノがなくなり、自分に目を向けるようになった。そのことで「他人に興味がなくなった」ように感じられるのではないか。

そんなふうに思いました。

「他人に興味を持たなければ」という刷り込み

もうひとつお伝えしたいのは「他人に興味を持って接しましょう」という刷り込みがある人も多いのではないか、ということ。

よくいいますよね。

「相手と話すときは、相手に興味を持ってのぞみましょう」と。

その言葉を聞いたときに、私はこう思いました。「無理です」と。

まだよく分からない相手とか、そもそもちょっと苦手な相手とか。あとは、このあと2度と会わないだろうな、という相手。そんな相手に興味を持つことは難しいことです。

興味は自然に湧き出るものだと私は思っています。だから、「よしっ。私は興味を持つよ。今からこの人に興味を持つんだから。無理じゃない、私はできるんだから。興味を持てる、さあ持つぞ!」と勢いこむものでは、おそらくありません。

自然に興味が持てたらそれはすこぶるラッキーなことであって、もし興味が持てなくても自然なことで、特に問題はありません。

それは、他人に興味が持てなくてもコミュニケーションは十分にとれるからです。

「こんにちは」「おつかれさまです」なんてあいさつはいくらでもできるし「いや~、連日猛暑ですよね~」「ほんとほんと」くらいのお天気話もできるし、「お昼、何食べました?」「そばですね」「いいですね~、そば」くらいまでなら、ギリギリいけます。

仕事の話はさておき、日常会話は、それで十分ではないでしょうか。

たぶん、これまでの生活の中で「他人に興味を持たなければ」という意識がどこかに根付いている人ほど「他人に興味がない私」という発想になりやすいのかもしれないな~と感じています。

興味がないのではなく、他人を尊重している

冒頭の友人2人と話しながら思ったことは、他人に興味がないと言っているのに、他人にやさしいこの2人の共通点は

「他人を尊重しているところだな」

と思いました。

生きることに正解・不正解などないことを、これまでの経験から知っている。

だからあえて広げない話もあるし、自分の意見をいわないこともある。

「他人に興味がない」という人は、自分が与えるものなど何もなく「その人にはその人の道があるだけ」と悟っているのではないでしょうか。

本人は「他人に興味がない」とネガティブに話すけれど、その裏側には人を人として尊重している人がたくさんいるのかもしれません。




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