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『百年の孤独』の作者が頭にのっけてるのは何の本?

なぜか今、あの『百年の孤独』が文庫化して
どえらい売れてるみたいですね。

じぶんは大学生の頃にこの本を読んで
それはもう、すごい衝撃を受けて
この感動をシェアしたい!語り合いたい!と
周りに熱心に布教したのですが
誰一人として読んでくれませんでした。

まあそんなことは於いといて、
少なからぬひとが気になってることがありますよね。
この文庫本の表紙をめくると
頭に本をのっけた、おもしろオジサンの
白黒写真があらわれます。

コロンビアを代表するノーベル賞作家。晩年は認知症に苦しめられたという。

何を隠そう、このひとが
『百年の孤独』の作者、ガルシア=マルケス。
はじめてこの写真を見たとき、
ぼくはおもいました、

何の本をかぶってるんだろう?と。

印刷物に載ってる写真だと見にくいのですが
大きい写真だとすぐわかります。

なんとも言えない表情でカメラを見つめるおもしろオジサン。https://i0.wp.com/literariness.org/wp-content/uploads/2016/03/1397809446_marquez.jpg

これを見ると、
大文字で
GABRIEL GARCÍA MÁRQUEZ
CIEN AÑOS DE SOLEDAD
と書いてあります。
つまり『百年の孤独』、
じぶんの本を頭にのっけていたんですね。

この本です。

ガルシア=マルケスが頭にのっけてる本。https://d26jxt5097u8sr.cloudfront.net/s3fs-public/styles/width_2400/public/2022-09/one%20hundred%20years%20of%20solitude%20cover.jpg

面の取れた青い矩形のなかに
ベル、太陽や月、星、悪魔に骸骨といった
オーナメント(装飾的な活字)が散りばめられていて、
青と赤と黒という配色も相まって
独特な雰囲気を醸してます。
(これらの装飾が本の内容とはぜんぜん関係がない
というところも芸術点が高くて良いですよね)

ちなみにこの表紙デザイン、
初版だと言われることがあるんですが
それは間違いで、本当は第2版からです。
というのもデザインを担当したビセンテ・ロホが
期日を守れなかったからで、
初版は出版社のスタッフが間に合わせで作ったという。

初版の表紙デザイン。https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/a/a0/Cien_a%C3%B1os_de_soledad_%28book_cover%2C_1967%29.jpg

なのでガルシア=マルケスが頭にのっけてるのは
初版ではなく第2版以降のものなんですが、
作者の写真に使われてることもあって、
「『百年の孤独』といえばこれ」
という印象があるひとも多いかもしれません。

ちなみにちなみに
これは何の役にも立たないトリビアですが、
ビセンテ・ロホが担当したこの表紙のタイトル、
"SOLEDAD" の "E" が逆になってるんですね。
これは意図的にそういうデザインにしてたらしいんですが
エクアドルの書店員が誤植だとおもって
届いた本をぜんぶ手書きで修正したという
おもしろエピソードが残ってます。

意図的なデザインだったのに、エクアドルの店員が逆さの"E"をひとつひとつ手書きで修正したという。https://especiales.semana.com/cien-anos-de-soledad/imagenes/50datos/dato9.png

そうおもって、今回の文庫版の表紙デザインをよくよく見てみると……

あっ……

あっ……!

あーーーっ!!!

デザイナーさんの、なんという芸の細かさ。本屋さんで気づいて鳥肌が立ちました。

はい、というわけで
本編とはまったく関係のない話でしたが、
こんなことを知ってると
ガルシア=マルケスの写真を見るたびに
フフッと笑みがこぼれるかもしれませんね。

以上、にらたでした。

参考にしたサイト:

2024/07/10追記:

公式からもタネ明かしがありましたね。
公式さん、note読んでくれたのかなと嬉しくなりました。
(いや、それはさすがに自意識過剰すぎるか)

https://x.com/shinchobunko/status/1810873682950283412


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