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NPOがブランディングを意識する4つのタイミングとはーシミンズシーズさんのブランディング支援事例/NPO広報友の会-「シェアするBar」より

NPO広報友の会では、「NPO広報仲間にシェアしたい!」というトピックで話し合うオンラインイベントを年4回ほど開催しています。

2024年7月27日(土)に開催した「シェアするBar」では、中間支援のNPO法人「シミンズシーズ」の事務局長で「かわのまちほいくえん」の園長でありNPOのブランディング支援も手掛ける柏木輝恵さんをお招きし、シミンズシーズさんのブランディング支援事例をシェアいただきました。
当日は、NPOのブランディングに興味のあるNPO職員やデザイナーさん、研修ファシリテーターさんたちが集まってお話を伺いましたよ。

シミンズシーズがNPOのブランディングを手掛けるようになった経緯は?

シミンズシーズはもともと、2001年に「シーズ加古川」としてスタートした団体。加古川市内の市民活動団体のネットワーク化から始め、様々な活動を手掛けて10年目に差し掛かった頃、職員研修で招いた講師の方に「シーズってどんな意味が込められているの?」「加古川だけで活動しているの?」「ロゴはどうして緑なの?」等の質問をされる機会があったそう。

その時、団体として自信をもって答えられなかったことに危機感を持ち、法人名やロゴも含めて自団体をリブランディングしようという動きが団体内に生まれました。

その際、外部のデザイナーさんの力も借りてワークショップ形式で対話を繰り返し、「何のために何をする団体なのか」ということを考え抜き、ミッション・ビジョンを策定。団体名も「シーズ加古川」から「シミンズシーズ」と名称を変更し、ロゴも現在のモノになったのだそう。

「シーズ(種)」から、楽しいを経て自律していく“進化論”の誕生

その後、一連のワークショップやアウトプットについて周囲の職員に感想を聞いたところ「イメージしやすくなり、自信がついた」「誇りを持てるようになった」「可能性が広がった」「みんなやったらいいのに」と大好評だったとか。

この自団体のリブランディングの経験によって、ブランディングとはNPO団体にとって必要・重要な事だと柏木さんは確信。

それ以来、柏木さんはブランディングに関心を持つようになり、さまざまなブランディングの研修を受けたりリサーチをするなかで、柏木さんが気になる企業ブランディングを複数手掛けていたのがパラドックスだと判明しました。

「生きてる理由を誇りを持って語れる社会へ」と掲げていたパラドックスにビビビッと来て、ブランディングディレクターの鈴木祐介さんに突撃(問い合わせ)。「企業もNPOも「志」が真ん中にあるのは変わらない」とアドバイスしてくれた鈴木さんの監修で「NPOのための想いを伝わる言葉にするワークブック」をプロデュースするに至ったのだそう。

NPOのための想いを伝わる言葉にするワークブック。509円は安い!!

NPOにブランディングが必要な理由

「人が集まらない、育たない、資金が集まらない」はNPO運営相談のあるあるですが、話をよくよく聞いてみると、とても素晴らしい活動をしていて、感動することもしばしば。なのに、伝わりにくいー。その理由を柏木さんはこう話します。

数字では測りにくい=抽象的概念的なことを目指すことが多い

わかりづらいからいろんな言い方で伝えようとする

一貫性がないからさらに伝わらない

…よくわからない

「だからこそNPOにこそブランディングが必要だと思うんです」と柏木さんは話してくださいました。

NPOがブランディングを考えるべき4つのタイミング

企業もそうですが、NPOがブランディングを考えるのによいタイミングが4つあると柏木さんは言います。

1.創業期
2.拡大期
3.変革期
4.継承期

の4つのそれぞれのタイミングにおける支援の事例を具体的なNPOのお名前を挙げてシェアしてくださいました。(詳細は当日参加してくださった方のみの公開です)

参考:拡大期のブランディング支援の例
シミンズシーズの支援を受けた和歌山のフリースクール「つくるがっこうイホルラ舎」さん。ご夫婦二人だけでやっていたフリースクール、ボランティアさんを増やす「拡大期」の事例です。
シミンズシーズさんがどんな支援をしてくださったのか、イホルラ舎の方へインタビューした動画を公開していますので、良かったらご覧ください。

ブランディング支援をするときに大切にすべきこととは?

また、柏木さんがブランディング支援をするときに、個人的に大事にしていることとして下記を挙げてくださいました。

1.団体みんなの納得感
アウトプットが支援先の団体の人たちで紡ぎ出したものになるように、無理強いをしないこと。「場を進行するファシリテーターが持つ暴力性を意識するようにしている」とのこと。

2.普段語られている言葉を使う
団体・組織は“人”の集合体であること、そこに集う人たちが語る言葉が団体・組織の文化を作ってることを踏まえ、表現を勝手に変えないようにしているのだそう。

これを聞いて参加者からは「みんなの納得感を大事にすると、時間が足りなくなりませんか?」「団体でよく使う言葉だと、外部からわかりにくくなることはないですか?」「できあがったミッション・ビジョンを、団体全体にしっかり浸透させるための工夫は?」など、質問が続出。そのどれにも、優しく「なるほど~」な回答をしていただきました!(回答が気になる方は、シミンズシーズさんに講義や研修などのご依頼をしてみてください☺)

参加者の感想と柏木さんからのアドバイス

あっっという間の2時間。参加者の方からは、今回のお話に対してたくさん質問や感想いただき、そのすべてに柏木さんから丁寧なアドバイスもいただきました。

ちょうど支援している団体が理念構築のタイミングなのですが、メンバーの方がそれぞれ思ってることが違ってたり、意思疎通ができてなかったというとこがあったりしたので、自分ごととしてお話を聞かせてもらいました。たいへん参考になりました!

兵庫のフリーのデザイナーさん

→(柏木さんからのアドバイス)ブランディングの前にチームビルティングが必要だと思う場合は、話をできる関係性を作るところから始める必要があるかもしれませんね。

団体のブランディングについて、シミンズシーズさん流のプロセスが素敵だと思ってて、これをいつか何処かでやってみたいなと思ってます。デザイナーの次のキャリアってこれかもしれないな、とも。まずは小さいところで実践したいと思います。

大阪のNPOのデザイナー

→(柏木さんからのアドバイス)最初は周りの人の話を聞いて、相手の気持ちの整理を手伝うことから初めてもいいかもですね☺「話しながら書きましょうか」というアプローチもいいですね。

ちょうど今、非常勤としてかかわっている団体のブランディングを見直しているところ。自分と合わないと感じるところが出てきていて、今後どうかかわるのかが問われているのかと感じた。

大阪のNPO職員

→(柏木さんからのアドバイス)リブランディングをして見えてなかったものが見えてくることで、合わなくなってくる人は出てきてしまうもの。それは団体にとってもその人にとっても健全だと思います☺

前回のNPO広報友の会の広報合宿に参加したり、今日の話を聞いて、自分の所属するNPO団体が理念構築しないといけないフェーズだと感じているが、それは自分だけしか感じていない。どう団体にブランティングの必要性を感じてもらうのか…自分だけでは難しいと感じている。

大阪のNPO職員

→(柏木さんからのアドバイス)代表の方がブランディングの必要性を感じていないけれど、間に立つ人が必要性を感じていることは多いと思います。
過去にうまく言った事例としては、キーマンに「ブランディングの講座に一緒に行こう」と誘って行ってみたら、そこからトントンといったとかもありました。職員研修や小さな勉強会から始めてもいいかもしれませんね☺

等々、どんなことを相談しても、しっかり受け止め、適切でやさしいヒントをくださる柏木さんに、世話人一同、感謝感激でした!


最後に柏木さんからは、

ブランディングは皆さんの関わりたい思いを表現するツールや手法の1つでしかないと思っています。
ただ、枠が見えてくると、却って人は自由になれる。 どんどん動いていける。自分ごとになっていく。 いろんなテクニックはあるかもしれないけど、そのプロセスで本質的に大事なのは対話をしていくことだと思います。

といったメッセージをいただきました!(柏木さん、お忙しい中本当にありがとうございました!)

※シミンズシーズさんの支援に興味のある方は、https://npo-seeds.jp/ をご覧ください。まちづくり、チームビルディング、組織開発など、興味深い事例がたくさん掲載されています!


…と、このような感じでNPO広報を考えたり勉強したりする機会を持っています。「シェアするBar」は年に4回程度夜に、、オンラインランチは毎月最終水曜日のお昼に開催しています。

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2024年のイベント・オンラインランチ日程

2024年のイベントは下記の日程で行う予定です。

2024年8月28日(水) オンラインランチ
2024年9月25日(水) オンラインランチ
2024年10月30日(水) オンラインランチ
2024年11月27日(水) オンラインランチ
2024年12月25日(水) オンラインランチ

ご予定に入れておいていただけると嬉しいです!

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NPO広報友の会とは?
NPOの広報力を高めたい人・NPO広報に関わる人たちのサードプレイス。ゆるやかなつながりと切磋琢磨の場をつくり、ありたい未来に近づける力をチャージする集まりを目指しています。会のご紹介はこちら

世話人について
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マキノスミヨ(ビッグイシュー・オンライン 共同編集長):Twitter

世話人のイベント登壇予定
*林田全弘
月4回実施している、Youtubeライブ。
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