長時間労働もほどほどに

今働いている会社では、フロアに最後まで残っていた人が給湯室等の点検をしてから帰ることになっている。チェックシートが出入口付近に置かれているので、点検を終えたらそこに退勤時刻と名前を書く。
私はめったに最後の1人にならないので書く機会はほとんど無いが、出入口付近にあるので毎日このチェックシートは視界に入る。
全フロア大体同じ場所にあるので、たまたま別の部署に用事があるとそのフロアのチェックシートを見てしまう。

(あー、このフロアはだいたい●●さんが最後なんだなあ)とか、(ここはうちのフロアより帰るの早いなあ)とか、いろんな部署の残業事情が分かるので興味深い。

そしてたまに脳裏によぎるのは、就活時代別の企業で出会ったお兄さんのこと。
会社説明会の後、オフィスを見学してみましょうという話になった。社員のお兄さんの案内に従って、就活生数名と共にぞろぞろと社内を見学して回った。
その時、出入口付近で私は足を止めてしまった。
この企業も、今私が勤めている会社と同じように最終退勤時刻と名前を書くチェックシートが出入口付近に掲げられていた。
書かれている最終退勤時刻に、世間知らずの就活生だった私は戸惑った。

(最終退勤時刻、23時半………???あれ、さっきこの会社9時出勤とか言ってなかったっけ???)

追い討ちをかけるように、案内役のお兄さんは笑顔で私たち就活生に説明を始めた。

「ああ、それね!最後に職場を出た人が名前を書くようになってるんだ。セキュリティ対策はしっかりやってますよ」

いや、セキュリティ対策は出来てても長時間労働対策は出来てないんじゃないの??
社会人になったらこんな時間まで働くのが当たり前になるのかと、憂鬱な気分になった。
けれど、たぶんこの時に私が働きたい理由がひとつ増えたように思う。
私や私の大切な友人は、こんな長時間労働が当たり前の世界にこれから飛び込まなければいけないのかもしれない。
けれど、そんな世界嫌だ。
私はまあ、別に良いけど、私の大切な人たちが長時間労働で疲弊していくのは嫌だ。
これから私の友人の大半は労働者になる。労働者が健康に、安心して働ける環境を作りたい。労働者(と書いて大切な友人たちと読む)のために働きたいな。
そんな願いを抱いたオフィス見学だった。
残念ながらその願いを叶えるにはまだまだ力不足だけれど、この願いはこれからも忘れずにいたいと思う。
あと、最近はあんまり自己犠牲的な働き方はするもんじゃないなと思う。
自分のことも大事に、けれど周りの労働者(同僚とか)や大切な友人たちの健康と安心のために働きたい。

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