電卓のちょっと進んだ使い方――その2:ちょっと脇に置いておく(メモリー)

こんにちは。小林です。

前回(その1:グランドトータル)に引き続き、電卓の応用的な使い方をご紹介します。きょうは「メモリー機能」です。そう、いつ使うんだかわからない、M+, M-, MR/RM, MC/CMなどと書かれたキーを使います。

メーカーごとの特徴の話(おことわり)

メモリー機能はメーカーによってキー表記が若干異なります。この記事ではカシオ計算機の例にならいますので、シャープ、キヤノン製の電卓をお使いの方は次の通り読み替えてください。

‣ カシオ:M+, M-, MR, MC
‣ シャープ:M+, M-, RM, CM
‣ キヤノン:M+=, M-=, RM, CM

[MRC] や [R・CM] と表記されているものは、2つのキーが1つにくっついているだけで基本の機能は変わりません。[MC][CM] の機能を使いたいときには、キーを2回押してください。

使い方

次の表を考えます(よい子はセルを結合しないように)。営業成績の一覧と考えてください。

画像1

この空所(丸囲みの数字があるところ。個人ごとの小計、所属組織ごとの小計、その合計)を埋めることを考えます。

まずメモリーやGTをクリアして、A山さんの小計(①)を計算します。

[MC]    (Mが消える)
[AC]    0
[1][4][5] [+] [5][3][1] [+] [3][3][2] [=]    1,008  GT

同様に、B田さんとC原さんの小計を計算します。それぞれ1,023(②)、1,178(③)と求まります。

前回学んだように、このときGTキーを押せば営業1部の計(④)が求まるのでしたね。

[GT]    3,209  GT

ここで、D野さん、E川さんの小計を引き続き計算すると、D野さんとE川さんの小計もGTには積算されてしまいます。つまりGT機能だけでは⑧は求まるものの、改めて⑦を計算するための手戻りが発生してしまいます。

では、営業1部の計(④)を書き込んだところまで立ち戻ります。ここでGTに積まれている値をメモリーに積み込みます。 [M+] キーは画面に表示されている値をメモリーに加算します(計算が途中の時は、計算した結果をメモリーに加算します)。押した後に表示される値は、実際にメモリーに加算した値です。

[GT]    3,209  GT
[M+]    3,209  GT M

画面に小さくMの文字が表示されました。これは「メモリーの値がゼロではない」つまり何かしらの数字が積んであることを表しています。

ここで営業1部の計をメモリに逃がせたので、GTごとクリアしてしまいます。続けて、D野さんの小計(⑤)を計算します。

[AC]    0  M
[5][1][1] [+] [1][1] [+] [2][4][1] [=]    763  GT M

同様にE川さんの小計を計算し、916(⑥)と求まります。ここでGTキーを押せば営業2部の計(⑦)が1,679であることもわかります。

そしてこのGTをメモリーに加算します。

[GT]    1,679  GT M
[M+]    1,679  GT M

[M+] キーを押した後は、メモリーに加算された値が表示されるのでしたね(ここでは表示された値が加算されたので、直前と同じ表示になる)。

このとき、メモリーには営業1部の計(④)と営業2部の計(⑦)が足し合わされた値、つまり合計(⑧)が格納されています。メモリーの値を呼び出すには [MR] キーを使います。

[MR]    4,888  GT M

このように、GT機能とメモリー機能を併用することで、多少複雑な見取り算でも一切の手戻りなくそれぞれの計を出すことができました。

補遺

メモリの内容をクリアしたいときは、 [MC] キーを押します(Mの表示が消えます)。それ以外の内容(GTや計算途中の結果、表示中の数字)も全部吹っ飛んでよいのであれば、[リセット] または [CA] キーを押します。

実はクリア関係のキーも表記が各社異なります。ご紹介が遅れてしまいましたが、これも適宜読み替えてください。

‣ カシオ:C, AC, リセット(ゴハサン=御破算と書いてあるものもあり)
‣ シャープ:CE, C, CA
‣ キヤノン:CI, C, CA

左から順番に、「入力中の打ち損じを取り消したい・画面表示を0にしたい」「それに加えて、GTと計算中の内容も消したい」「さらに加えて、メモリーを含むすべてを消したい」時に使います。

リセットやCAキーは存在しない機種もあります。その場合はACまたはCキーとMCキーを順番に押せば、リセットと同様の効果が得られます。

[CE/C][CI/C] のように一つのキーで2つの機能を持つものがあります。これは1回押すとCEやCIとして、2回押すとCとして働きます。

まとめ

きょうは実用的なメモリー機能の使い方を紹介しました。メモリー機能は計算の順序に考慮が必要な計算(例えば 2×3 + 4÷2 のような)が用例としてよく紹介されますが、ご紹介したような使い方の方が実用的だと考えています。

メモリー機能を使うにあたっては「自分はいま、どういった値をメモリーに積んでいるか」を意識しながら使うことをおすすめします。今回は「営業部員全体の売上合計」の記憶に利用しました。これがぶれなければ、さまざまな場面で応用することができます。

次回は同じ表を使って、定数計算を紹介します。

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