見出し画像

プロゲーマーも必見?色々変わるらしいカプコンプロツアー2020を分析

 2019年のカプコンプロツアー(以下、CPTと表記)の最終戦、カプコンカップはアメリカのiDom選手の優勝で幕を閉じた。
 長かったシーズンは終わり、カプコンカップ終了後には早速シーズン5の調整が加えられ、その翌週には早くもRed Bull Kumite2019が開催され落ち着く暇もないストリートファイター5界隈。
 ついに新年2020年をむかえ、ようやくホッと一息がつけるようになったというこのタイミングで、色々変更点が加えられた2020シーズンのCPTについて少しまとめつつ、なぜこういった変更になったかを少し考えてみようと思う。

 2019年のカプコンカップにて発表された2020シーズンの大きな変更点といえば

・前期後期制の採用
・ワールドウォーリアーチャレンジという地域大会の拡充
・それに伴い出場選手数の増加

 の3点だろう。

 前期後期制は簡単だ、3月から7月の前期、7月から10月までの後期の2シーズンに区切り、前期のポイントトップ8名と後期のポイントトップ8名の計16名がカプコンカップへの出場権を得ることができる。前期終了時点でおそらく全選手の獲得ポイントはリセットされ、後期のスタートは全員0で始まるだろう。
 今までのグローバルポイントによる出場権獲得競争がこの部分に当て嵌まるだろう。

 昨年は32名のカプコンカップ出場者のうち26名はグローバルポイントの順位で出場権を得ている(32名より前年度優勝者、前日予選突破者、地域代表4枠の計6名を抜いた数)。しかし今回はグローバルポイントでは16名しか選ばれないという狭き門になった。
 ただ前期後期制ということもあり、前半戦のみ、後半戦のみの参加でも等しくチャンスを与えられるようになったという風にも見ることはできる。

 今回こういった大幅なテコ入れが加えられたのは、2019シーズンの異常事態をカプコンが鑑みたのではないかと考えている。

 その異常事態というのは、2019シーズンでカプコンカップ出場をギリギリ達成できなかった板橋ザンギエフ選手の持っていたグローバルポイントは830。この数字はプレミア大会を1度優勝した際に与えられる700ポイントを大きく上回る数字だ。つまりプレミア大会を優勝してもカプコンカップ本戦への出場は全く担保されなくなった。ポイントの一局集中が激しくなりすぎているのだ。

 2019シーズンではプレミア大会・スーパープレミア大会合わせて17回開催され、37回のランキング大会が開催された。世界各地で年間54回もの大会が開催され、ポイントを稼ぐために選手は世界各国を飛び回る羽目になった。
 いくらなんでもハードすぎる、可哀想と言ってもいいだろう。はっきり言って今のCPTのハードさを考慮すれば、彼らに与えられる賞金額はまだまだ少なすぎる。見ている我々ファンからすれば出場ラインの攻防は熱いものにはなるが、当の本人にとってはまさに地獄、プレミア大会を優勝しても決して楽ができない2019シーズンの状況をみてカプコンも見直しを決めたのだろう。

画像1

こちらが2020シーズンプレミア大会のスケジュール


画像2

こちらがランキング大会のスケジュール


 というわけでCPT該当大会の数が大幅に削減されることになった。プレミア大会が前期後期共に7大会ずつ14大会、ランキング大会が前期後期9大会ずつの18大会。ということで全体で32大会と昨年比で22もの削減を行った。地域ポイント制がなくなったためランキング大会の数が大幅に減っているのが要因だ。前期後期制の導入により1大会の重みが各段に増したというのも事実。おそらくプレミア大会を1つ優勝すれば余程のことがない限りカプコンカップに出場できるのではないだろうか。

 こう書くとまるで選手に寄り添ったすばらしいスケジュールという風に見えるかもしれないが、試合数が減ったということはポイントを得る機会も減っている。一度周り出したらサボれない、前期で出場権をとれなければ後期は捨てられる大会が無くなるのは間違いない。なんだかんだハードな一年になることは変わりなさそうだ。

 そして懸念材料が一つある。大会日程はすでに発表されているものの、新たなポイントの割り振りなどがまだ発表されていない。おそらくポイントの割り振りも変わるのではないかと私は踏んでいるのだが、さあいつ発表されるだろうか。
 そして前期で出場を決めた8名の後期での扱いはどのようになるのかも興味深い。もし前期で出場を決めたプレイヤーが後期大会で1位をとったならば、2位以降の出場が決まっていないプレイヤーにポイントが繰り下がるのか、はたまた取得ポイントは順位に応じたものしかもらえないのかという点はランキングを大きく左右するだろう。

 そしてプレミアスケジュールをよくご覧いただきたい。

 何かおかしい。

 EVOがCPTに含まれていないのだ。

 2020シーズンは7月10日のSONIC BOOMから8月15日のNEVER GIVE UP2020まで1ヶ月間の夏季休暇期間があるようだ。ただ夏季休暇と言ったものの選手によっては非常にハードになる。なんせ7月22日から24日にかけINTEL World Open in TOKYO2020とその翌週である7月31日からEVO2020が開幕するからにほかならない。   
 元々CPTに含まれていないINTELの負担の大きさを考えてか、続くEVOへの無理な参加を避けさせるためなのか、この決断を英断というべきかはまだわからないが、どうやら久しぶりに純粋な世界一決定戦としてのEVOになるようだ。
 もっともCPTから外れたとて、最も価値のある大会であることは揺るがないだろうし、参加を取りやめる選手が出るとも思えないが・・・
 もしシーズン途中での修正があるとしたらEVO終了後に行われるべきだろう、前期の結果を鑑みての調整が取れるだろうし、後半戦開幕まで2週間の時間もある、このタイミングしかない。

 さらに特色を感じさせるのが各大会の開催地だ。アメリカとカナダ以外の開催国は1度しか大会が予定されていない。ベルギー、フランス、
オーストラリア、ドミニカ、イギリス、中国、日本、ドイツ、シンガポール、プエルトリコ、韓国、台湾、タイ、コロンビア、スペイン、チリ、ブラジル、アイルランド、マレーシア、メキシコ、アラブ首長国連邦では1大会のみがCPT に認定されている。総計23か国、これを3月から10月までの間で消化するんだからF1も真っ青の強行日程だ。まさにワールドツアーといった趣、がんばれというほかない。開幕戦としてお馴染みだったFinal Roundもベルギー大会と日程が被っているためか今回CPTから外れているし、10月でCPTが終了するためカナダカップも日程に含まれていないため、お馴染みの大会をみる機会が減って少し寂しい感覚もある。日本人プレイヤー目線で考えれば、ランキング大会の一部はかなりの距離の遠征かつ治安も不安定な国もあるため、その辺りは避けたほうがいいかもしれない。

 一通りグローバルランキング関連の部分はおさらいできただろう。では謎が多いワールドウォーリアーチャレンジの部分だ。カプコンの発表によれば、現状グローバルポイントのついでになっている地域枠をもっと意味のあるものにしたい。そして各地域にいるプレイヤーにスポットを当てたいというところから地域ポイント制度を一新することに決めたのだろう。現時点ではここから22人がカプコンカップに進むという非常にウエイトの大きいものになっている。以前だと、アジア、欧州、北米、南米の4カテゴリーから1人ずつ計4人の選手が選ばれたが、今回は22人と爆増。まだ人数しか発表されていないので、どういったものになるか予想をたててみる。

 第一のケース、各カテゴリーの選出人数の増加。一番現実的なラインでの想定、アジア6枠、北米6枠、南米5枠、欧州5枠と地域枠での選出人数を増やすというケース。おそらくCPT終了後の11月に各カテゴリーで大会が行われ、そこで枠が決定するという形。おそらくこの大会には本戦出場がきまった16人は参加資格のない大会になるのではないだろうか。ただ出場枠が多いので大会形式も特殊な形になる可能性もある。もしかすると地域カテゴリーを増やすということもあるかもしれない。

第二のケース、開催地枠の選出。ただの偶然だとは思うが、22人の枠とCPTの大会が開かれる23カ国の数字が近い。開催国から1人ずつ代表選出なんてことがもしかしたら…ないとは思うけども…こういったオリンピック的な趣向はあまりCPTには向かないように思う。何よりレベル差が激しくなってしまう可能性もある。

 第三のケース、インテル最終予選参加チームから選出。こちらもただの偶然だと思いたいが、前述のインテル大会の最終予選参加チームが21チームとこれまた何の因果か22人という枠に近い数字になっている。流石にCPTと関係ない大会なのでそれがそのまま流れてくるとは考えにくいが、先述の開催国代表よりはまだレベルは保たれそうな感じはする。


 といったところだろうか、激戦区の枠を厚くして上位は今までグローバルで出ていたプレーヤーが獲得し、5、6あたりに普段CPTに出場していないようなプレーヤーが食い込んでくることに期待ということになるのではないだろうか。ちょっとしたRed Bull Kumiteへの憧れもどうやら持っていそうなのでプレイヤーの発掘もしていきたいのがカプコンの本音だろう。だが大会スケジュールを確認すると大会ごとに4つの開催地カテゴリーが表示されているのも気になる。もしかすると各地域カテゴリーで最低○ポイント獲得していないと11月の地域大会に参加権が与えられないというパターンも考えられる。そうなればCPTを回ったプレーヤーへのご褒美とも取れる。

 今わかってるのはおそらく11月開催だろうというところぐらいか、地域大会だから開催日が各カテゴリーで被っても問題無いというのはうまく日程組んだなと思う。

 前期後期の16名とウォーリアーチャレンジで22名、昨年覇者1名と前日予選1名の計40人という今年よりも8名も増えるカプコンカップ。
悪いこと言わないから、配信台を2つに分けてスマートに進行してほしいものだ。

 前期シーズンの開幕戦はベルギーのブリュッセルで3月20日から22日にかけて行われるプレミア大会Brussels Challengeだ。見たところもう参加申し込みも始まっており、5月のオーストラリアプレミアまで参加予約できるようだ。プロゲーマーの皆さんは早いうちに申し込みは済ませておいたほうが良いかと思う。下記URLからCPT公式に飛べるはずだ。
https://capcomprotour.com/schedule/

もう2ヶ月先にはシーズン開幕、一年とはあっという間か。
その前には1月24日からEVOJAPAN2020、さらに2月には新キャラセスの登場。そして今年はあるのかわからない開幕前の調整。
プロゲーマーに休まる時は無い、せめてお正月だけでも休んでほしいと切に願う。

追伸

 カプコンさんへ、CPTの公式サイトのリリースもすべて日本語版を用意してください。英語版しかないのはすごく疎外感があります。あなたは日本の企業のはずです。シーズン中に日本人選手へのアナウンスがいきわたっていないケースも散見されます。雑なことはやめましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?