【宮本浩次】 百年後芸術祭@君津市民文化ホール 大ホール(5/4) 感想


 桜井和寿さんのステージに行った人が、みな口を揃えて「演出が良かった」と言っていたので期待しながら会場入り。去年のロマンスの夜以降新曲はなく、小林武史さんもインタビューで「昭和的なものと繋がりたい」的なことを言っていたので、おそらくカバー曲中心だろうとは思っていた。まさか新作?が聴けるとは。
 最初は浅沼圭さんやザ落花生ズによるパフォーマンス。スクリーンには原風景のようなものが映し出される。

『春なのに』
 良かった。何が良かったのかもうあまり思い出せないけど。 

『東京ブギウギ』
 一番はザ落花生ズが歌い、2番から宮本浩次がステージに飛び込んできた。相変わらず凄まじい音圧の声が聞こえたその瞬間、客席が爆発したように盛り上がった。宮本は客を煽るように歌うし、なにより歌ってて気持ちよさそう。「~東京ブギウギ」の前で音が上がるところとか。

『ロマンス』
 いつも通り「そんなとこまで行けるの!?」って場所まで縦横無尽にステージを目いっぱい使う。

『愛の戯れ』『飾りじゃないのよ涙は』
 2作目のカバーアルバムに入ってるうたは、歌う度にものにしてきてる感じがする。持ち歌として歌えているというか。(中森明菜の歌は当初「歌詞をなぞるように歌った」みたいなこと言ってた気がするので、ライブ感が増すのは当たり前かも)

『化粧』
 思えば最初の『赤いスイートピー』からちょっと違和感があった。いつもの深みや奥行ある歌声だけど、のどのあたりでカサカサこすれてる感じがした。このうたも歌い始めからカッサカサ。直前の『異邦人』で絶叫してたのも影響したのかな、あそこまで声出てないのは久しぶりにみた。
 Aメロ途中でやり直しを宣言。キーボードの小林武史にも謝ってたけど、小林も手の平を宮本に向け「大丈夫、気にするな」と。場をつなぐために声を出してたので、実質的な再調整は全くできていなかったと思う。2回目も同じくらいかすれていたのだが、なんとか歌いきっていた。
 「あーあー」のところは、にもかかわらずものすごく綺麗で響く声。『翳りゆく部屋』でも思ったがソロを始めてから鼻に通った声がどんどん上手くなってる。もしかしたらこの先も、数々の名曲をキー下げせず歌っていけるんじゃないかと期待してしまう。

『花~すべての人の心に花を~』
 宮本浩次が沖縄音階!いつか何かしら歌ってほしいと思っていた。こぶしの効いた歌声、最高!

『夜明けのうた』
 今回のライブで一番のハイライトを挙げるならこれ。疲れた感じの歌が後半続き、それらを受けて、また夜明けがやってきた。祈りの歌が、宮本浩次の歌声に乗せて天にまで届く。歌っている本人も泣いていたが、自分も同じく泣きそうになった。「ああ 夜明けはやってくる」の一行にどれほどの想いが込められてきたんだろう。

演出
 派手というより、「光ってこんなに綺麗なんだ」と気付かせてくれるような演出。最高。

 半年ぶりに見た宮本浩次は、58歳を迎えようとしている今でも相変わらず歌が上手く活動的だった。昔みたいにパワー全開とは行かないのかもしれないけど、彼の憧れるThe Rolling Stonesは80歳で大ヒット作を生み出しツアーで毎週ライブをしている。宮本浩次も、そして何よりエレファントカシマシも、日本のロックの生き証人としてシーンの前線で歌い続けてほしいな。
 今年はソロ活動5周年ということでソロのコンサートが(もしかするとツアーも)あると思うけど、宮本浩次をミュージシャンとして見る人がもっと増えてほしいなとは思う。
 
 エレファントカシマシと宮本浩次に幸あれ!

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