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話を聞いてるふり

子供の頃から「ちゃんと話聞いてる?」と怒られる事が多かった。

ちゃんと聞いてるのに、
なんで怒られているのか疑問だった。

ちゃんと聞こうとすると、
言っている事を頭の中で想像して
具体的に把握しないといけないから、
ぽかーんとした顔になって
聞いてないように思われるのだと気づいたのは
中学生の頃だ。

テニス部だった私は大会に出ていて、
試合の最中、顧問からの大事な話を聞いていた。

大事な話だから、
隅々まで想像した。

そして怒られた。

私は勝ちたくて話をちゃんと聞いていたから、
私以上に話をちゃんと聞けてるみんなは
純粋にすごいなと思ったし、
私はまた話をちゃんと
聞けていなかったのかと悲しくなった。

でも、話をちゃんと聞くって
どういうことだろう?

私は本当にちゃんと聞けていないのだろうか。

その代わりと言ったらなんだが、
ちゃんと聞いてる?と聞かれて
聞いてますと答えると、
大体じゃあ今の話を要約してと
言われる事が多い。

私はこれでミスをした事がない。

それどころか、
補足する事さえできる。

なのに、怒られる。

部活でミーティングをしていた時、
周りを見渡してみたことがある。

みんなどうやって話を聞いているのか
知りたかったからだ。

頷いたり、体を発表者に向けたり、
相槌を打ったりしている。

私みたいに想像をしている人はいない。

そうか、私は話を聞けていないのではなくて、
話を聞く姿勢が出来てないのかと思った。

それから、いかに話を聞いてるふりをするかに徹した。

悩み事を打ち明けられた時、
何かを教えてもらってる時、
話し手のクセのある言葉を見つけて
その使用回数を数えながら、
目は話し手に合わせて、
要所要所でなるほどーと言う、
言葉の合間には頷いてみせたりする。

誰よりも熱心に話を聞いていたと褒められる。

全く聞いていないのに。

今要約しろなんて言われても出来る自信がない。

なんせ私は今ほくろの数を数えてるんだから。

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