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苦味調味 〜”やみつき”を作り出す魔法の味付け〜

苦味を制するものは、料理を制する”

シェフは、それくらい苦味の重要性を言ってきました。

苦味とは元々毒性のあるものを見極める判断基準であったため、我々が感じる味(甘味、酸味、塩味、うま味)の中で受容体が多く、より敏感に判断できるものです。

また、小さい子はより敏感で、苦味に嫌悪感を抱きます。しかし、体に悪いものを摂取しているわけではないため、成長過程の中で苦味への耐性がつき、ビールやコーヒー、ピーマンやゴーヤが好きになると言われています。

余談でありますが、すべての人が同じように苦味を感じるわけではないらしいです。ある”苦味”を感じる人と感じない人の割合は,人種間・地域ごとでかなり異なっています。

苦味を感じない人の割合

西アフリカ地域 およそ3%
中国地域 およそ6~23%
インド地域 およそ40%
ヨーロッパ地域 およそ30%
日本 およそ10%

引用元:苦味のお話 玉田 靖子

さて、sioはそんな苦味をとても大事な味として注目してきました。
僕が知る限り、苦味を美味しく調味するアプローチは2種類あります。

①苦味を使用し奥行きのある味わいに仕上げる

実際にsioの料理には苦味をうまく使用する料理があります。例えば、鮎を使用した一皿です。

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鮎の内蔵などから感じられる苦味に対して、きゅうりやヨーグルトの爽やかなソース。相性の良いおかひじきや枝豆のサラダを添えたものです。さらにいちじくを乗せることもあります。苦味を美味しく食べるためには、味わいのボリュームを出すことが重要です。旨味のボリュームがあると、苦味が乗せやすいと言います。

わかりやすいのがゴーヤチャンプルーです。ゴーヤチャンプルーは、豚肉やかつおぶしをたくさん使用するので旨味のボリュームが強いですが、そうすることでゴーヤの苦味を受け止めて美味しく召し上がることが出来ます。

②苦味を入れる必然性をつくる

パーラー大箸のととのうプリンがまさにそうです。

ととのうプリンの苦味と甘味のバランスについてはこちらのnoteで以前に書きました。

sioイズムのひとつに、サウナと水風呂の関係のように、過度なストレスを与え、それを逃す際の心地よさを味わってもらう、という料理の特徴があります。

味わいのバランスに必然性を作ることで、美味しくするという考え方です。ととのうプリンは、しっかりと濃厚な甘さとのコントラストを楽しんでもらうために、強烈に苦いカラメルを合わせています。そのギャップがととのう理由なのです。

苦味を得意としてきたシェフはさらなる挑戦をしました。

強烈なホップの苦味をどう調味していくか

2年前から味の監修を携わっているINHOPさん。健康に良いホップが持つ強烈な苦味を美味しさに変化できないか、というチャレンジをしてきました。はじめは感じたことないレベルで強烈な苦味で、悪戦苦闘したと聞いていますが、苦味は耐性が出来てくるのか、不思議と食べ馴染んでくると苦味の感じ方が弱まるような感覚すらあります。ホップを使用した商品開発は少しずつ、一歩ずつ形になっていきました。

そして、ついに先日、ITI(国際味覚審査機構)の優秀味覚賞をダブル受賞したようです。

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まず開発したのは、グレープフルーツ味のホップグミです。苦いイメージのグレープフルーツと重ねて、ホップを使用しました。爽やかな味の中に、はっきりとした苦味がありますが、それが後を引き永遠に食べたくなります。

こちらからホップイングミは購入できます

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次に開発したのは、ホップチョコ。カカオの渋味・苦味と重ねて、ホップを使用しました。ビターな味わいのチョコレートは甘さ控えめで苦味があるからこそ次を食べたくなります。これもまた手が止まりません。

こちらからホップインチョコは購入できます

苦味を使いこなすには違和感を感じない、食べ馴染んだことのある味わいに寄せるのが必要だったのでしょう。

ホップの魅力を少しずつ引き出してきました。実は、6月はそのホップを体感いただける場所があります。

究極のペアリングバーガーを原宿の名店にて

ハンバーガーとポテトのペアリングを考えました。ハンバーガーにはあえて苦味を加えずに、ポテトとペアリングすることで無限に食べることができます。

実はシェフが元々働いていたお店がTHE GRAET BURGERの前身のお店でした。今回のコラボにあたってのシェフの想いはこちらのnoteをご覧ください。

ふつうのハンバーガーは、本日6月1日からTHE GRAET BURGER原宿本店と、THE GRAET BURGER STAND渋谷ストリーム店で召し上がれます。

あとを引くやみつきな美味しさを作り出すには、苦味が不可欠です。

ぜひ一度体感ください。

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