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「みんなで沿岸部に人工的なレースを編む」 進捗状況2022年2〜4月

こんにちは!今回はプロジェクトの進捗状況を時系列にお伝えしていきます。

●2022年2月 展示『アーティストから見た亘理』にてプラン発表
会期:2月19日〜3月13日 会場:亘理町立郷土資料館企画展示室

チラシ

メンバー就任から半年のタイミングでアーティストチームによる展示を開催しました。内容はアーティストの紹介も兼ねて各アーティストの過去作品と、亘理で考えているプランなど。私は

・1月に亘理では初開催した「毛糸玉モンスターをつくろう!」の風景写真や成果品
・亘理駅前の貸看板の制作の様子と技法
・本作品「みんなで沿岸部に人工的なレースを編む」のプラン資料
・本作品のリサーチのために練習しているボビンレース編み成果物

を展示しました。

展示の様子

最終日付近には在廊し、来場者に直接説明させていただいたり、反応をいただきました。アンケートにもご期待いただくコメントがあり、とても嬉しかったです。


●2022年03月12日 現場検証①
場所:荒浜防波堤 人数:6人
素材の太さや作品の規模感を測るため、防波堤にてドローンを飛ばし上空から撮影しました。プロジェクトメンバーも協力してくれました。

ドローン

手持ちの白い極太毛糸を編んで幅約20cm、10cmにしたものを防波堤に置いてみます。この幅は企画書を作成する上で描いてみたイメージ図の、車や階段のサイズ感から適当に割り出した数値です。

これをまず防波堤の陸側(下記資料①地点)に波打つように置いてみます。 

なぜ陸側なのかというと、この作品を地上からも見てほしいからです。震災で何もないひらけた光景になってしまったわけなのですが、防波堤は高い斜面であり、その前面は広大な更地となっているため、この斜面をキャンバスとして捉えることができます。反対側に登りきって初めて波の音と海が姿を現わすのですが、震災前には感じることができた海を、また感じられるような作品でありたい。そんな想いもあります。 

ドローンによる撮影画像

見慣れた波打ち際も、上空から見るとまるで別物、その美しさに感嘆しました。作品を作るモチベーションがまた上がりました。作品はドローンでのスチール・映像にも残しますし、波との対比が重要な作品なので両者がうまく画面に収まるドローンの高度も検証。陸側だと海側より当然高度が必要なのでちょっと厳しいかもというのと、斜面になっていることで作品が見えにくのでは?とのことで念のため海側の斜面を降りた平らな場所(上記資料②地点)でも検証。 

海側に置いて検証
地上ではこんな感じ

今回実際の人間も作品の一部となるのでその見え方も同時に見てみるため、白い服を着用したり紐の上で寝転がんでみました。素材のサイズに対する上空からの見え方もなんとなく分かったり、風が天敵、いや風を味方にできないだろうかということも新たに浮かんだので、次の検証にいきます。


●2022年04月2日 現場検証②
場所:荒浜防波堤 人数:8人
前回は編んだものをなんとなく”編んだふうに”地面に置いての検証だったのを、今回は実際に編んでみたものを置いての検証でした。10cm幅と5cm幅に編んだ糸を一本の紐と見なし、それをさらに編んでみました。

編み図という編み物の設計図
それぞれの編目のサイズ感も計測
陸側斜面に置いてみる
海側斜面を降りたところに置いてみる
地上から見た様子

波打ち際のレースに近いレース模様になるには、素材の太さはこのままで編目のサイズを調整すればいいのか、素材の太さを変えて編目のサイズはこんな感じが良いのか、頭を悩ませます。
それにしても毛糸って本当に重い..本番ではこのようなニット感のある素材は使用しない想定です。これくらいのサイズになると運ぶにも一苦労ですし、レースという軽やかなイメージと実際の作業にギャップがあります。しかし立体感はあり、見栄えは良いかもしれません。
本番では、廃漁網由来の布の使用を想像しているのですが、こちらは軽い反面、2Dなのでペタンコで見栄えがどうなるか懸念です。そこで、布を筒状にして中に空気を送り3Dにするという構想も頭の中にはあります。中身は空気なので軽いうえにふわふわとしていて風船のようで、設営作業も楽しそうです。完成した作品だけでなく、作っていく人たちが楽しんで作れることも、良い作品になる条件というのは身を以て知っていることです。電源がない屋外であること、空気を送っても編んだ際に潰れてしまう箇所が出て空気の通り道が遮断されてしまう可能性など難点もありますが、海風の強いこの防波堤の風を集めて利用できないものか、と実験もしてみました。

2枚の布を両側縫い合わせたものが海風で膨らみ立体になった


●2022年04月4日 現場検証③
場所:荒浜防波堤 人数:1
2日前の検証でやり忘れがあったので再度の検証です。
上空からのビジュアルばかりに気をとられていて、地上からの視点を忘れていたため、更地や車道からの見え方を様々な地点にて観察しました。

こんなふうに置いてみました

進捗状況は次回投稿に続きます。


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