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パワースポットと脳の機能②

報酬系は、

実際に今の時点で快感を感じていなくても

想像上の快感・将来の快感を先取りして検討し

たとえ今はその行動が苦痛でも

将来の快感がその苦痛を上回ると判断すれば

そちらに向かうように指示する機能も持っています。


パワースポットに行くには、時間も費用もかかる、その日の天候が悪い、道中が未整備で足元が悪い、登りが多く険しい道のりである・・・

など、自分にとって障壁となる要素もあります。

しかし、それを乗り越えた先にある快感や心地よさを求めて、我々はその場に訪れ、実際にそれに見合った快感、報酬を受け取っているのです。

以前、ある神社を訪れた際のことです。

高齢の女性の方が、足が悪いので杖をつきながら、少し進んでは休みながら、それでも引き返さずに険しい登りの山道を登っている姿を拝見しました。

同じような状況に置かれたら、行くこと自体を断念する人も多いはずですが、

その方にとっては、それだけ厳しい負荷がかかっても、そこに向かわせるだけの素晴らしい何か(報酬)があるのです。

参考)報酬系と依存

少し話が脱線しますが、

特定の行為により報酬系が強く刺激され、強い快感を経験すると、
人はその行動を繰り返すようになります。

それを繰り返すうちに、その行為から逃れられなくなるという問題が起こります。

これが、いわゆる「依存」「嗜癖(しへき)」と呼ばれる状態です。

この依存状態にある人の脳の活動をfMRIという技術を使って見てみると、

普通の人なら快感を感じる行為に対して、報酬系が活動しない

ということがわかります。

そのため、報酬系が刺激されるようにさらに強い刺激を求めるようになり、行為がエスカレートするのです。

一時の強烈な快楽、甘い蜜を味わってしまえば、脳は決してその快楽を忘れず、強烈な「渇望感」「欲求」を感じさせて、それをするように我々を仕向けます。

過ぎたるはなお及ばざるが如し

ということわざがあります。

程度を過ぎることは足りないのと同じでよくない、何事もほどほどがよい

ということは、脳科学や心理学の視点からも明らかになっているのです。

写真:伏見稲荷大社 京都

参考文献)
岡野健一郎(2013)脳から見える心 臨床心理に生かす脳科学, 岩崎学術出版社.

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