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【2020年版】マザーズ上場企業のIR資料から考える「Excellent棒グラフ」とは?

みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。

これまで上場企業のIR資料を独自の採点基準で評価してきましたが、今回は少し趣向を変えて、著しい成長の見込まれる企業が集合するマザーズ市場に焦点を置いて、彼ら/彼女らの作成しているIR資料からExcellentな棒グラフとはどのようなものかを考えていきたいと思います。

なぜ棒グラフなのかと申しますと、シンプルに使用頻度が多いという理由からです。別の種類のグラフ・表についても定期的に発信していく予定です。それでは早速、見ていきましょう!

ナレッジ共有プラットフォーム「ビザスク」

ビザスク社というと、会社のロゴからも白黒でデザインされているイメージの印象が強いですが、棒グラフについても黒色が印象的です。加えて以下のような点が特徴的と言えるでしょう。

ビザスク


文字サイズの工夫
取扱高など各項目のサイズと比較して「CAGR 111%」の文字を大きくすることで、CAGRのみを強調しています。スライド全体の見やすさという視点からも、強調したい項目が即座に確認できる工夫と言えます。

配色の統一感

色の統一感はデザインにおいて、非常に重要な要素となります。同社の場合は、黒色、青色、灰色と系統の似た配色に統一することで、メリハリを残しつつも違和感のない見た目に仕上がっています。

空きスペースの利用
「CAGR 111%」と書かれた四角の枠や凡例のレベルがグラフの空きスペースに配置されていることで、全体の余白のバランスが整います。このように一直線に増加している棒グラフの場合は、空きスペースが生まれがちなので、それをどう利用するのかで、作り手の腕が試されそうですね。

2021年2月期 第2四半期 決算説明会資料より引用


空間デザインを専門にする「DRAFT Inc.」

大手企業から中小企業まで、空間デザインを設計する企業として着実に成長しているDRAFT社は以下のような点が特徴的です。

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前年同期比に絞った構成
通常、棒グラフは「時間の推移」を横軸として、長期的な視点で対象となる数値がどのように推移しているのかを見せるために使われますが、このスライドでのメッセージは「前期比で着実に伸びている」ことなので、メッセージによっては短い時間軸でも使えることが理解できます。

無駄な色は使わない
色に関しても数字に関しても、とにかく余計なものは省くことが重要です。今回のスライドでは、メインカラーが一色か使われていませんが、文字の大きさや白抜きなどを利用することで、地味な印象を与えていないことが一つのポイントと言えるでしょう。

縦軸は必要ない

前述のポイントにもつながりますが、縦軸が無くとも、数字がきちんと明記されていれば、内容は伝わります。むしろ縦軸の無いグラフのほうがシンプルで明快な印象を与えることは事実なので、グラフの作成中にごちゃごちゃした印象を受ける場合には、縦軸を無くせる可能性がないか検討してみてはいかがでしょうか。

※下記は、デザイン会社らしくあまりにも印象的な棒グラフだったので、掲載いたしました。ご参考までに。

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2020年12月期 第2四半期 決算説明資料より引用


デザイン会社の雄「GoodPatch」

同社については、別記事でも取り上げましたが、改めて見直しても非常に参考になる点が多いため、この記事でも取り上げたいと思います。


グッドパッチ

横軸の文字が少ない
他の棒グラフを見ていると、横軸の説明があまりにも長く、窮屈な印象を受けてしまうグラフが散見されます。同社は、「2020年上期」のような記載ではなく、2行に分けて「FY2020」と「1H」という形で表記することでまとまった印象を受けるグラフになっています。

配色がとにかくシンプル
繰り返しになりますが「余計な色は使わない」というポイントが同社においても徹底されています。左右のグラフで色調に少し変化を与えている点も、読み手に”飽き”を感じさせない工夫と言えるでしょう。

縦軸がない
こちらも繰り返しになるので、詳細は省きますが、やはりデザイン的に優れている企業のグラフには縦軸は無いことがほとんどであると言えます。

2020年8月期 通期決算説明資料より引用


社会福祉に特化した事業を行う「AHCグループ」

AHCグループ

文字の強調
左右のグラフにおいて、当期の数値を太字かつ赤色で強調することで「当期の業績が良かった」という点と「その数字がどの程度あったのか」という2点を同時に示すことができています。

配色が同系色かつシンプル
結局は「配色のシンプルさ=Excellent」とまとめてしまってもよい程、余計な色や余計な情報を載せることはPowerPointの資料においては悪だと言えそうですね。

2020年11月期 第2四半期 決算説明資料より引用


クリエイター向け物販プラットフォーム「クリーマ」

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落ち着いた印象の配色
クリエイター向けのプラットフォームを担っていることもあり、色彩が落ち着いた配色になっています。あまり派手すぎる印象の色は避け、上記のような落ち着いた色合いにすることで、スライド全体を見ても読み手にとって良い印象になるでしょう。

横軸も必要ない
縦軸が必要ないことはお伝えしましたが、上記の通り横軸を無くしてしまっても、情報としては受け取ることが十分に可能です。こちらも余計なものを無くす1つの手段だと思うので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

成長可能性に関する説明資料より引用

まとめ

棒グラフは最も良く使われるグラフの1つです。作成のポイントは、「配色も載せる情報もとにかくシンプルにすること」。マザーズの企業を見ていても、上記の特徴は共通していました。その他、細かなポイントはありますが、上記のポイントを押さえているとある程度の水準のグラフは作成できると思います。今回紹介した各社のデザインが何かの参考になれば幸いです。

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