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【マネしたい】2019年マザーズ上場企業のIR資料から考える「メッセージの伝わる棒グラフ」とは?

みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。

今回は「見映えの良いグラフシリーズ」第3弾ということで、成長著しい東京マザーズの上場企業に焦点をあて、IR資料から「メッセージの伝わる」棒グラフとはどのようなものかを考えていきたいと思います。

以前、2020年度に上場したマザーズ企業の棒グラフに焦点を当て、記事を作成しましたが、今回は2019年度の企業を中心に紹介していきたいと思います。

それでは早速、見ていきましょう!

WDBココ株式会社

WEBココ

WDBココ社は製薬企業をクライアントとして、医薬品にかかる臨床試験や承認審査のドキュメント作成サポートサービスやその過程で生じる安全性情報の処理を支援するサービスを行っています。

同社の棒グラフは汎用性の高い参考ポイントが凝縮されているので、下記の特徴をそのまま真似してしまって良いでしょう。

①灰色の使い方
当期の売上高を際立たせるために過去の数字は全て灰色で統一されています。これはメインカラーが何色でも、グラフが棒グラフでなくとも使える技術であるため、ぜひマスターしたいところです。

②不要な縦軸は削る
通常のグラフでは差し込まれている縦軸を削ることで、横軸の幅を確保することができ、合計8本のグラフを違和感なく表記することができています。

③文字サイズの違い
前期比について、「1,131」と「1,192」という文字サイズを大きくすることで、このスライドで対比すべき数字を明確にしています。

2021年3月期第2四半期決算説明会資料より引用

株式会社スペースマーケット

スペースマーケット

スペースマーケット社はWEBとスマホアプリで、マッサージ施術やホームパーティーなど様々な用途に対応した貸しスペースの検索・予約を可能にするプラットフォームを提供しております。棒グラフのGoodな点は以下の通りです。

①独自のオブジェクトでメッセージを強調
使用する色の数を抑える代わりとして、独自のオブジェクト(資料左側では「回復傾向」、右側では「過去最高」という記載のオブジェクト)を用いて、メッセージを補完しています。

②不要な縦軸は削る
WDBココ社同様、グラフの横幅を確保するために、縦軸が省略されております。この手法は良く使われますが、注意すべきポイントは、詳細な数字を記載しすぎると、雑多でまとまりの無い印象を与えるグラフとなってしまうことです。そのため、数字の記載についても必要最低限に抑える必要があります。

③自然な横軸の区切り方
四半期ごとに区切られたグラフの場合は、どうしてもグラフの本数が多くなってしまうので、上記のように薄い灰色の直線を挿入してあげることで、前期との比較がしやすくなります。

2020年12月期第3四半期決算説明資料より引用

セルソース株式会社

セルソース

セルソース社は、医療機関に対して、脂肪由来の幹細胞を抽出、培養を受託するサービスなどを提供するバイオ企業です。

①メッセージを極限まで絞った見せ方
同社は、グラフの配色に関して、単色に割り切った使い方をしてます。コーポレートカラーに統一することで、余計な色を使わず情報を伝達しています。メッセージに関しては、資料右側の「274百万円」を限りなく大きくして伝えることで、グラフの位置づけを具体的なデータに限定しています。

2020年10月期 決算説明資料より引用

BASE株式会社

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BASE社は、ECサイトの運営をサポートするプラットフォームを提供しており、グラフを参考にすべき企業の常連になっています。同社の特徴は以下の通りです。

①配色のメリハリ
WDBココ社でも解説したポイントですが、緑色を使うグラフを当期の数字のみに限定し、他の全てのグラフを灰色にすることで、緑色が際立ち、メリハリの利いたグラフとなっています。ベースカラーがそこまで強い色ではないため、灰色もWDBココ社に比べ淡い色使いになっている点にも注目したいですね。

②メッセージとその背景が即座に理解可能
資料で伝えるべきメッセージを明確にすることは、資料を作成する際に最も気をつけるべき点です。BASE社の資料は、「メッセージ」を補完する形でグラフが挿入されており、見せ方という観点で非常に参考になります。

③自然な横軸の区切り方
グラフの数が多い場合の横軸を1年ごとに区切ることで、前期との比較がしやすくなっています。アカデミックの世界でこれをやるとおそらく問題になるのですが、ビジネスの場合であればそこまで厳しい制約はないので、積極的にマネしていきたい技術ですね。

2020年12月期第3四半期決算説明会資料より引用

株式会社サイバー・バズ

サイバーバズ

サイバーバズ社は広告主企業に対して、自社メディアのインフルエンサーマーケティングやSNSマーケティングから得られるデータの活用を支援する企業です。資料において参考にすべき特徴は以下の通りです。

①灰色の使い方
どの企業でも頻出の特徴になります。特に同社のようにコーポレートカラーが濃い色である場合には、メリハリを出すのに非常に有力な手法になります。

②余計な数字を省略
縦軸を省略する方法が他の企業では見られましたが、同社の場合は、逆に縦軸を挿入する一方で、グラフ毎の詳細な数字を省略しています。グラフの数が少ない場合にはこちらの方法も有効になるでしょう。

③吹き出しによる読み間違い防止
他の資料を見ていると、数字がどのグラフと対応しているのかが明確でない場合があります。吹き出しには、スペースを取るというデメリットはありますが、読み手の読み間違いを防止し、メッセージの誤認識を防ぐことができるというメリットがあることも覚えておきましょう。

2020年9⽉期 通期決算説明資料より引用

まとめ

棒グラフは最も良く使われているグラフの一つです。他のグラフで参考にすべきものもありますが、灰色の有効活用縦軸の省略数字・メッセージは最低限必要なもののみを残すといった特徴が特に共通していることがわかりました。今回紹介した各社のデザインが皆様の資料作成の参考になれば幸いです。

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