【パワポ研の決算資料探訪19】とにかく見やすいAimingの決算説明資料
企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ19回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。
今回も見どころある企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「株式会社Aiming」。モバイルを中心としたオンラインゲームの開発、運営を行うベンチャー企業です。
それでは早速見ていきましょう。
表紙
黄色(コーポレートカラー)に白抜き文字、センターにロゴ。
オゴもHPも黄色中心に構成されていますので、コーポレートカラーは黄色でしょう。この後のスライドも、あまり例がない黄色づくしです。
目次
目次からも分かると思いますが、Aiming社の資料、全般的に文字がとても大きく見やすいです。
この文字を大きくするという工夫、一見簡単なようで難しい技の一つです。文字を大きくするということは、その分掲載できる情報量が減るため、短い文言や少ない画像で言いたいことを端的に解説する必要があります。
会社概要
「あなたの会社を一言で表してください」という問いにすっきりと答えられる人はなかなか少ないのではないでしょうか。この資料では、それを端的に実現しています。上部の文字が大きいため、図の説明よりもまずその一文が目に飛び込んできます。
もちろん、下部の図によるサポートは理解が深まってよいです。
注目すべきなのは、情報量を削りこんだ結果、上部の文言をそのまま図にしました、という体裁になっているため、下部の図は本質的には不要であるということです。(ややもすると)あってもなくてもよい情報のため、読者がさらっと流してしまっても、問題はありません。
サービス中のタイトル一覧
余計なことを書かずに、5つのゲームタイトルを並べています。本来なら細かい話をしたくなるところですが、(おそらく)ぐっとこらえて画像の掲載だけに留めています。投資家的には、この情報だけで十分です。
会社概要:沿革
本文も文字が大きいですね。ともすると、紙面半分に頑張れば収めることができる情報量かもしれませんが、余白を十分にとり紙面を広く使っています。技術的には難しい事では決してありませんが、余白を作るというのも思い切りが必要です。
市場環境:オンライゲーム市場
グラフはどうしても文字が小さくなる……と思うかもしれませんが、この事例のようにグラフの「概形」だけを重視したメッセージにすれば、細かい数値はこのように掲載する必要すらありません。もちろん軸には数値は記載されていますが、読み手は「なるほど、だんだん大きくなっているのね」程度しか認識していないのです。
市場環境:市場規模
この紙面も同じように、なんとなく「市場が大きい」ということは、図(ベン図)の雰囲気だけで分かります。細かい説明は、少なくともこの場では求められていません。
競争力の源泉:ゲームビジネスでの実績
このページも、オブジェクト(写真やテキストが書かれた図形など)が多いにも関わらず、その中の文字も含めて全て大きいです。パッと情報が目に入る、というのが重要です。
事業計画:成長イメージ
文字が大きいというか、情報量を絞った最たる例がこのスライドでしょうか。「イメージですよ」(=確固たるものではないですよ)と宣言することで、細かいことを記載しない念を押します。そしてほぼ矢印だけで、「右肩上がり」という前向きな「イメージ」だけを見せつけます。
決算概要:損益計算書
もちろん、文字が小さくならざるを得ないスライドも存在します。例えば、このように表を示さなくてはならないスライドは、どうしても文字(数値)が小さくなります。
しかし、タイトルとメッセージは相変わらず十分に大きいです。表の細かい部分は読み込まずとも、タイトルとメッセージのみ読めば物事が伝わります。
逆に言えば、タイトルとメッセージさえしっかりと作ってしまえば、多少それ以外の部分は手を抜いても意図は伝わります。(Aiming社の資料が手を抜いているという意味ではございません)。省力化を実現したいなら、「文字を大きく」というのはその第一歩となるでしょう。
まとめ
大きいことはよいことです。しかし上述の通り情報量が少なくなるため、思い切りが必要です。少しテクニックを覚えた人ほど、紙面にパンパンに情報を詰めたくなりますが、そこをぐっとこらえるのが肝要です。
なお、コーポレートカラーが黄色の企業はあまり見かけません。おそらくロゴを決める際に黄色にすることがあまりないのかもしれませんが、Aiming社のようにスライドはきれいに見えますので、おすすめできる色の一つです。他社との差別化にもなります。
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