【翻訳】ダニエル・ラドクリフによるJ.K.ローリング氏のジェンダー・アイデンティティに対するツイートへの返答

ツイート訳文:「自分の好きな服を着ればいい。自分の好きなふうに名乗ればいい。合意した大人の相手と寝ればいい。平和と安全のもとに最高の人生を生きるべきです。しかし、性別は変えられない(と言った)だけで女性を解雇できるの? #私はマヤ (・フォーステーター)を支持する #これは訓練にあらず


マヤ・フォーステーター氏はトランスジェンダーの性別変更に対してきわめて排他的であり、彼女のtwitter上での発言により勤務先から契約更新を拒否され、不服として裁判を申し立てたが、結果は職場側の勝訴。これにあたってローリング女史が上述のツイートを行い、トランスジェンダー界隈から大顰蹙を買い、今も火種は消えていない。

これをうけてのダニエル・ラドクリフの返答が英LGBTQサイトのトレバー・プロジェクトにて掲載された。


(翻訳)

DANIEL RADCLIFFE RESPONDS TO J.K. ROWLING’S TWEETS ON GENDER IDENTITY(ダニエル・ラドクリフによるJ.K.ローリング氏のジェンダー・アイデンティティに対するツイートへの返答)

2020年6月8日 ダニエル・ラドクリフ

一部の報道機関はこれをJ.K.ローリングと私の争いのように描きたがるとわかってはいますが、実際そういう事ではありませんし、今重要な事でもありません。ジョー(ローリング)には間違いなく私の人生にもたらしたものへの義理がありますが、過去10年にわたりトレバー・プロジェクトに貢献し続けてきた人間として今この瞬間に何か言わずにはいられないと思います。

トランスジェンダーの女性は女性です。それを打ち消す発言は、トランスジェンダーの人々のアイデンティティと尊厳を消し去るものであり、この問題に関してジョーや私よりもはるかに専門的な知識を持っているプロフェッショナルの医療団体からのアドバイスに反するものです。トレバー・プロジェクトによると、トランスジェンダーとノンバイナリーの若者の78%が、自分のジェンダー・アイデンティティが原因で差別の対象になっているとの報告があります。トランスジェンダーやノンバイナリーの人たちを支援し、彼らのアイデンティティを無効にせず、さらに害を及ぼさないようにするために、私たちはもっと努力しなければならないことは明らかです。

私はいまもってより良い味方になる方法を学んでいるところなので、もし私と一緒にトランスジェンダーとノンバイナリーのアイデンティティについてもっと学びたいなら、トレバー・プロジェクトの『トランスジェンダーとノンバイナリーの若者の味方になるためのガイド』をチェックしてみてください。これは性と性別の違いを含む、幅広いトピックをカバーし、トランスジェンダーとノンバイナリーの人々を支援する方法の一番いい方法を共有している入門的な教育資料です。

今、この本(注:『ハリー・ポッター』シリーズ)の経験がねじまげられた、または損なわれたと感じているすべての人々に、数々のコメントがあなたを苦しめたことを深くお詫びします。私はあなたがこれらの物語の中であなたにとって価値あるものを完全に失われないことを心から願っています。もしこれらの本が、愛は宇宙で最強の力であり、どんなことにも打ち勝つことができると教えてくれたのなら、強さは多様性の中にあると教えてくれたのなら、そして純血主義という独断的な考えが、弱い立場にあるグループへの抑圧につながると教えてくれたのなら、またあなたにとって特別な登場人物がトランス、ノンバイナリー、ジェンダー・フリュイドであると信じているのなら、あるいは彼らがゲイやバイセクシャルであると信じているのなら、そしてこれらの物語の中に、あなたの人生のどんな時にも共鳴し、あなたを助けてくれる何かを見つけたのなら、それはあなたとあなたが読んだ本との間にあるものであり、それは神聖なものです。そして私が思うに、何人たりともそれに触れることはできません。あなたにとってのものはあなたにとってのものであり、私はこれらのコメントが数限りなくある神聖なものを汚すことがないことを願っています。

いかなる時も愛を込めて
ダン

URL: https://www.thetrevorproject.org/2020/06/08/daniel-radcliffe-responds-to-j-k-rowlings-tweets-on-gender-identity/


(2020/06/11)

これをうけて、ローリング女史は自身のウェブサイトのブログに見解を更新された。やや長大なのでリンクだけ先に張っておきます。

10 JUNE 2020

J.K. Rowling Writes about Her Reasons for Speaking out on Sex and Gender Issues

URL : https://www.jkrowling.com/opinions/j-k-rowling-writes-about-her-reasons-for-speaking-out-on-sex-and-gender-issues/