高校留学生必見のNCEAの改定のお話し
NCEAって何?
NCEAとは、National Certificates of Educational Achievementの略で、ニュージーランドの高校で最も一般的なカリキュラムです。
Level 1からLevel 3に分かれていて、それぞれ高校一年生レベルから高校三年生レベルに相当します。
各レベルの合格基準を満たすことにより次のレベルへ進めます。
Internal AssessmentとExternal Assessment
NCEAでは各教科内で幾つもの単元(Standard)に分かれていて、その単元(Standard)にCreditと呼ばれる単位がついています。
例えば、NCEA Level 2の数学だったら、
Calculus(微分積分)- 4 Credit (Extrenal)
Probability(確率)- 5 Credit (Extrenal)
Algebra(代数学)- 4 Credit (Extrenal)
Trigonometry(三角関数)- 3 Credit (Internal)
等々といった形です。
よく見るとInternalとExternalという言葉がついていますね。
これは各単元がどのように評価されるかを表します。
年間を通して学校内でのテストや課題をこなすことで単元を得られるのがInternal Credit、センター試験のような統一試験の結果で単元を得られるのがExternal Creditとなっています。ということは、高校三年間の間に毎年統一試験があり、一年を通しても課題があるということです。
各レベルで規定のCredit(単位)を合格することにより、単位を修めることが出来ます。
日本よりも「簡単」と誤解されることが多いニュージーランドですが、年間を通して気を抜けない為に、それほど簡単ではないのが事実です。
変更点
2019年5月14日現在の発表(http://www.conversation.education.govt.nz/assets/Uploads/NCEA-Change-Package-2019-Web.pdf)では以下のポイントが変更点となっています。
1. Make NCEA more accessible
2. Mana ōrite mo te mātauranga Māori
3. Strengthen literacy and numeracy requirements
4. Have fewer, larger standards
5. Simplify NCEA’s structure
6. Show clearer pathways to further education and employment
7. Keep NCEA Level 1 as an optional level
一番目は受験料の廃止。
二番目はマオリ語のサポートの強化。マオリ語で勉強できる科目を増やしつつ、英語の科目と同レベルの教育を受けられるようにしていく。
三番目は読み書きと数学力の強化。ニュージーランドでは「文系」と「理系」というわけ方はなく、どちらも最低必須Creditが設定されています。この読み書き能力と数学力で合格を得る為の条件に変更が加えられる予定です。今まではNCEAを勉強しながら取得していたこの二つのCreditが、変更後はNCEAの前に取得し、NCEAで勉強を始める為の条件となります。
四番目は単元の整理。現在、各科目には多くの単元があり、Internalの場合、学校側が教える単元を選択出来ます。優秀な教師は各単元の教え方や教える順番を上手く利用し、学生の理解を深められるというメリットがある反面、教師によっては教えやすく採点しやすい単元を選び学生の向上の妨げになるデメリットもあります。
これは教師や学校側だけではなく、各単元のCreditに大きな差があることも原因となっています。従って、学生の負担、教師の負担、学生同士の履修単元の差を埋める為に、一つの単元で広い分野を教えることで単元の数を減らしていく方針です。
五番目はNCEAシステムの簡略化。ここでは割愛しますが現在のシステムは各レベルが絡み合っている為にNCEA全体のシステムが不必要に複雑化しています。この部分の改善点として、各レベルで統一のシステムを導入する予定のようです。
六番目は進路の提示。これは自分が以前某大学の為に行った分析なのですが、どの科目をどのように(どの単元を)勉強すればどんな職業に就けるか、大学でどのような学部に進みどのような将来が待っているのかを提示出来るシステムを導入するようです。
最後はNCEAのLevel 1を可能な限り選択制にする。NCEA Level 1は浅く広く教える教科が多いため、賛否両論がありました。NCEA Level 1が最終学歴になる学生に関してはこのレベルは今後の人生においてとても重要な役割になる可能性があるのに対し、それ以降も勉強を続けていく学生には専門分野を学ぶ妨げにもつながっていました。従って、この両方の意見や立場を尊重する為に、Level 1は選択制にすることを視野に入れているようです。
変更点が開始されるのは2023年以降
NCEAの変更は高校一年生から一斉にスタートしなければならないため、実際に施行されるのは2023年となっていますので、現時点で高校生の方と保護者はご安心を♪
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?