1.メッシュの前に、形状の話をしなければならぬ。 :メッシュ徒然
メッシュ関連の自己紹介も兼ねて。
そもそも、化学系プラントの基本設計を10年くらいやっていたところに、「流体解析ソフトのことを調べてくれない?」と声がかかり、ソフトのことを調べるはずだったのが、よく話を聞いてみると「解析用の形状とかメッシュを作成するのが死ぬほど大変なので、どうにかならないか」。
で、会社で標準だったAutoCADをよく見てみると、3Dも描ける。これでやればいいじゃん、と、3Dで描いてSTLで書き出してメッシュを作ってみせてあげたところ、「そりゃいいじゃん!やってよ!」みたいな感じで、いつの間にか机の位置も変わり、流体解析のチームに。雇用形態云々はここでは詳しく言わないが・・・
で、なんで形状を解析チームの人が作っているのかというと、製造業といえども、エンジ会社といえども、機器を作成しない、化学とか食品とか製剤とかの「プラントエンジニアリング」だけで仕事している会社には3DCADで形状を作るという必要はまずない。化学とか食品とか製剤とかのプラントを持っている会社では、製造業といっても、3DCADの必要性は限りなくゼロ。
プラントエンジニアリングは基本的に建設業なので、デフォルトのCADはAutoCAD、しかもメインは2次元。最近は、ウォークスルーとか干渉とかを見るために3DCADを入れているところも増えてきたけど、あくまで詳細設計とか最終フェーズに近づいた時点での確認とかプレゼン用なので、基本は2次元、ということでいいと思う。
ということなので、化学系(とか、類似の)製造業に解析ソフトとか3DCADを紹介しようという方は、世の中には製造業と言ってもいろんな種類の製造業があって、3DCADなんて、CADどころか3DPDFでもしり込みしちゃうような人もいる、ということを知っておいて損はないと思う。
ハウスメーカーとか、セミナーなんかではちゃんと3D機能は使うのだが、「AutoCAD使ってます」というと「あ、2次元ですよね」という答えが返ってくるし、AutoCADを長年使っている人でも、AutoCADで3次元描けることは知らない人が実はいっぱいいる・・・
ちなみに、その前職の会社ではAutoCADが標準で使われていたのだが、結構最近、この3D推進の世の動きの中で、設計では3D機能は必要ない、ということで、デフォルトがAutoCADLT(2D機能限定)になり、3D使えるAutoCADは本数限定の使用は申請、ということになった、ということを付け加えておく・・・
話は戻って、当然、解析チームに呼ばれた時には、AutoCADで3D描けるということは知らなかったのだけれども、新しい3DCADソフトなんて買ってもらえるわけないのだし、その当時出たばかりの某社の「Star-Design」というのは、社内通信速度が爆裂的に遅かったので使い物にもならなかった。というか、動かなかったお陰でAutoCADの3D機能でガンガン進められることになったので、何が幸いするのかわからない。
今あるソフトでなんとかならないか、というか、今あるソフトはAutoCADだけじゃん、というわけで、AutoCADのプルダウンメニューを「じーっ」と見ていたら、「あれ?もしかしたら3Dなんじゃね?」
ということで、発見しました。2次元だけと思っていたのは、実はZ=0のところに描いていただけの話で、Z座標を加えればきちんと3次元になるし、表示も普通の3次元の表示になる。
で、設計の仕事というのは、「CADで描くんでしょ?」といわれるが、それは寸法とか機器が決まってから別の人がする作業で、設計といってもプロセス設計とか基本設計とか、ケミカルエンジニアが関わる作業では、AutoCADのような寸法をきっちり入れるようなCADはぶっちゃけ、ぜんぜん必要ありません。
というわけで、プラント設計業務10余年にして初めてAutoCADを触ることになりますが、オペレーターの人に、2Dベースの線の書き方を教えてもらっただけで、まあ、あとはめでたく普通にできてしまいました。
というのが幸か不幸か、3D作図というのは実は誰でも普通にできるものじゃなかったらしいんですね。「図面に描いてあるから、その通りに書けばいいじゃん」と思うのですが。なので、人には「こうしたらいいよ」と教えることはできません。だって、図面に描いてあるものだから・・・
部署にいるAutoCADのオペレーターの人は、当然3Dはできませんし、3次元というのがイメージできないらしいです。なので、当然、私のところに形状作成の仕事がきます。この間まで、一応Pプロセスシミュレーター使ったり化工計算したり機器設計したり技術検討したりしてたんだけど。四日市にも台湾にも南アフリカにも私(一人の力じゃないけど)が基本設計したプラント建ってるよね?でも、何でもやります、松井工務店。まあ、機器とか図面は大好きなので、全然苦にはなりません。感覚としては、失敗しても痛くもかゆくもないプラモを作っている感じでしょうか。結構楽しい。
形状だけでは解析は始まりませんが、形状なくては始まるどころではありません。解析チームとしては、形状は自由自在にできるようになりました。
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