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【激重コンセプト】香水専門店が「ラルリジューズ」をレビューします

こんにちは。ネット香水専門店CelesでSNS運用を担当している立井です。
ついに8月ですね。うだるような夏の日差し、信号待ちの間に逃げ込むビルの日陰、デパートのドアが開くたびに流れる冷房の風、気が付くと溶けているチョコモナカジャンボ。8月ですね。

さて、今回も最近Celesでリリースした香水のレビューをお届けします。
前回レビューしたのはモスキーノの「トイ2」。非常に使いやすそうな香りで、これからの暑い夏にもぴったりそうでした。気になる方はこちら。

(さやか)
フレッシュなグラニースミスアップル(青りんご)と洋ナシからスタートし、まろやかなマグノリアがメインとなって優しさを演出します。

(立井)
グラニースミス……アメリカのバンドにいそうですね。なんならスタンドにもいそうです。

(さやか)
(スタンド……?)

一番好きなのは4部です

私のような香水初心者の方にもわかりやすいような香りのレビューができているでしょうか。早く立派なレビュワーになりたい。
そんな今回は、7/31(日)にリリースしたセルジュ ルタンスの「ラルリジューズ」をレビューします。

Serge Lutens – La religieuse
(セルジュ ルタンス – ラルリジューズ)

ミニマルなデザインながら、薄い紫色が美しいボトルですね。私は推しのカラーが紫がちなので、すでにボトルから惹かれています。てか「ラルリジューズ(修道女)」てなに? 概念すぎませんか
これはいったいどんな香りなのでしょうか。


ブランド説明

例によって、まずはブランドのご紹介です。
今回ご紹介する香水のブランドはSerge Lutens(セルジュ ルタンス)。名前がオシャレすぎるので、私もSerge Tatei(セルジュ タテイ)になろうかな?

数多くのフレグランスと一線を画すセルジュ ルタンス。
香りはもちろん、香水のネーミングにも独特な世界観が現れています。

創業者のセルジュ・ルタンス氏は、フランス共和国文化芸術勲章コマンドゥールを受章したブランドのプロデューサー。
同時にファッションデザイナー、ヘアスタイリスト、写真家、映画監督、パフュームデザイナーという数多くの肩書きを持ち、別名「時を旅する人」「フランスの知性・哲人」とも。

彼の生み出す香りは、私たちにさまざまな世界を魅せてくれることでしょう。

確かに、セルジュ ルタンスの香水はどれも名前が独特です。今回「ラルリジューズ」と一緒にリリースした香水に「ダンドゥレ(乳歯)」がありましたが、一般人が香水に乳歯と名付けられますか? できて虫歯程度でしょう。セルジュ・ルタンス氏のアーティスティック・パワー(芸術力)を感じますね。


レビュー

それではレビューに入りましょう。今回は淡泊めでいきます。


コンセプト

先に告白します!今回はすごく重いです。


今回はすごく重いそうです。
「ラルリジューズ」のコンセプトは、その名の通り修道女

第二次世界大戦の最中、ナチス=ドイツがパリに進駐していた時代、非摘出子として生まれたルタンス氏。生まれた瞬間から、彼のそばには修道女がいました。彼は清らかな存在である修道女の中に、恐ろしいほど厳格で冷たさをもつ女性を感じ取っていました。
生まれてすぐに母と引き裂かれたルタンス氏はその心に黒い影を落とし、残酷さは人生と美しさの一部ととらえ、14歳のとき美容の世界へ飛び込み才能を開花させます。彼は修道女を雪にたとえました。

「雪の結晶のように空中に浮かぶ無垢なフローラルのノートと相反する動物的なジャコウネコ(シベット)。雪は白く清らかですが、踏みにじり汚したくなる。修道女は私自身です」

ホラーゲームのボスキャラを彷彿とさせる発言ですね。踏みにじり汚したくなる、このフレーズだけで中二病の立井が助かります。誰かセルジュ ルタンスの香水にインスパイアされたサイコホラーゲームを作ってください


香りについて

いよいよ本編、香りのレビューに移ります。

今回レビューするのはこちらの2人。

スタイリストの阿部さんです(香水強者)
朝シチューはOKという風潮を憎む立井です(香水初心者)

いつも通り、香水のプロに初心者の感想をぶつける形になります。何度でも言いますが、感想に優劣はないので、あえて初心者の「稚拙な」感想とはいいません。
さっそく香りを試していきましょう。


なんかどんよりした感じがしますね。埃をかぶった暗室みたいな……


わかります、どこかほの暗さが感じられますよね!
この香りはすごく不思議で、気分にかなり左右されるように感じます。自分の心の中にある邪悪さが香りにあらわれたかと思えば、愛にあふれている日は清らかに香り立ちます(なにいってんだ)


(いま遠回しに「お前は心の中が邪悪だ」と言われた……?)


なので、違う日に試してみたら全然違った印象を受けると思います。
私は体温が高いため、トップに一瞬肉感的なジャスミンが存在しますが、ドライダウンは穏やかで、自分の中の獣を飼い慣らしている感覚がある日が多いです。


もしかして結構な闇を暴露されていますか?
私の鼻ではあまりジャスミンを感じなかったので、また別の日にも試してみますね。私も自分の中に秘めた獣と相対することはできるのでしょうか……


何プッシュも重ねてみたら、立井さんも抑圧されたマグマのような欲望が解き放たれるかもしれませんよ。
また、もう少し大胆さが欲しいときにはこの香りが強い味方になると思います。


なるほど……とにもかくにも、日を改めるしかなさそうです。
ちなみに、私はこの香りにマニキュアっぽさを感じたのですが、これは何の香りなんでしょうか? マニキュアというかシンナーに近くて、この香りがする空間にいると頭が痛くなる系の感じなのですが。


人工的な香り、という意味なら、ジャコウネコ(シベット)かもしれません。ちょっとケミカルな要素は確かに感じられますね。


そうなんですかね……ケミカルではあるのですが、なんとなく指しているものが違うような気もします。
そういった意味で、すごくモヤモヤさせられる香りですね。ルタンス氏が修道女に感じていた感情を追体験させられているんでしょうか。


そうかもしれませんね。皆さんも、ぜひルタンス氏のように美と快楽を引き換えに悪魔に魂を売った気持ちで試してみてくださいね!(まじでなにいってんだ)
立井さんはモヤモヤすると仰っていましたが、私としてはルタンス様を通し芸術は不幸の産物なのだな……と思いを巡らす希望の時間を持てました。


イメンラエ「キリストの誘惑」(1663, ジョンポールIIコレクション美術館蔵)
↑ これは悪魔に誘惑されるキリストです


おすすめのシーンや使い方はありますか?


ひんやりした影を秘めた優美なジャスミンの香りは意外とナチュラルなので、デイリーにも特別なシーンにも向いています。
また、手首にまとうよりは、ひじの内側(注射を打つところ)にワンプッシュが一番心地よいです。
血液に循環させるイメージ←正気の遊びです


^^
皆さんも内なる自分と向き合ってみてください!



おわり

ということで、「ラルリジューズ」をレビューしてきました。
香りの感じ方が阿部さんとまったく違って面白かったです! といいつつそういうコンセプトの香りではなさそうな気もしますが、ぜひ皆さんも試してみて、今日の自分を香りで判断してみてください


さて、初心者の感想をお届けしました。香りという実体のないものを言葉で表現するのってすごく難しい……だからこそ、香りの魅力を届けるためには言葉の力を磨かなければいけませんね。
一方、「エモい」などのかんたんな言葉に一度落とし込んでしまうと、そのときに感じたはずの細かくていろいろな感情も「エモい」に成型されてしまい、どこかへ消えてなくなってしまいます。
この塩梅が難しい! 皆さんも、香りを試したときにすぐ正解が欲しくなるかもしれませんが、まずは自分の言葉で自分なりに感想をまとめてみてください。私もそうします。


それでは、次回の記事をお楽しみに。
皆さんもよき香水ライフを!


※このnoteは、Celes公式の見解ではありません。


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