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川越のおばちゃん

二〇一七年十二月十七日日曜日

はれ

祖父の四十九日。仏教では四十九日がこの世とのさようならの日であるとおはなししていた。身体から離れて、四十九日間行きたかったところ、会いたかったひと、懐かしいところへ旅をしていたのかな。そんな映像が浮かぶ。

帰り道、手書きでメニューが書いてあると思ったそこがおいしいな匂いをかんじて、川越に寄り道。ここと思ったお店は閉じていて、道なりには商店街。ひとゆく通り右を向いて左を向いて、気になったのは正面のお食事処ののぼり。そこは選択肢のなかで最もひとけのない通りだったけれど足が向かってた。辿ってついたところでお店のおかあさんが札を準備中にひっくり返す。こちらを向いて、「いいですよー」と招いてくれた。

気さくに話しかけてくださる気取らない声のとおるきもちいいおかあちゃん。「あら3才くらいかしら」「おりこうさんだねー」「アーンするところ見せてちょうだい。じょうず!」
「おりこうさんだからおまけだよー」とカレー風味のとりを焼いたものもくれる。

とてもきもちのよい方だった。母に気前のよさや気さくさや声のとおるきもたよさが母に似ていて、わたしは彼女のこういった部分が好きなんだなあと思った。呑み屋さんをやりたいとか車を持ちたいとか海の近くに暮らしたいとか、好き放題な母はひとつもそれらを叶えていない。好きなひとといることを最優先にしているけれど、やりたいも叶えたらいいなあとぼんやり思う。

晩ごはんは、水炊き鍋、ごはん (だっかなあ)。

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