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ピースの行方

二〇一七年六月二十二日木曜日


曇り


二リットルくらい入る四角いペットボトル(飲み口のあたりはカットして、ビニールテープが巻かれていた)を持ちながら川を歩く少年。「ザリガニ捕まえたの。みる?」とわたしのところへじゃぼじゃぼ歩いてきて、ペットボトルから出して見せてくれた。これはそんなにおおきい方じゃないらしい。
ペットボトルから出されたザリガニは両腕を上げて陽気にダブルペースしてるようにみえる。構造としてそう動いてしまうようで、健気でしゅかしゅかくしゃくしゃしたきもちになる。


のんさんは川に向かって石をじゃぽんじゃぽんと放り投げてあそぶ。ここ二週間ほどからっからに干上がっていた川に水が戻り、ひさしぶりにちゃぽんちゃぽんという音をきく。


少年のもとにともだちがふえてゆく。ザリガニ少年は三匹捕まえて、ともだちにみせる。彼はいきものが好きなようで、なんというかザリガニに対して愛があるのをかんじる。ザリガニ少年は訊く。「ザリガニすき?」頷く少年もいれば「腹をあてれば、戦うよ」と言っている少年、「ここ俺の隠れ場ね」と石を積んでいる少年。低学年男の子の会話はこんなにもあっちゃこっちゃでキャッチボールしていないものなのだな。「ザリガニ捕まえたのすごい?」となんどもなんども聞いていよいよ「ザリガニすきなひとー?」と訊くと「はあーい」とみんな手をあげる。
ザリガニ少年以外に託されたザリガニの生死が気にかかる。いきものの命を大切にね、というべきか、それを身をもって知るがよいのか、感じられる心なのか。


のんさんが石を放るのを見ながら、ザリガニを見ぬふりしてしまって心がざくざくしている。無事に生きているように。


夜ごはんは、きゅうりとささみの梅和えとかぼちゃのグラタン(あいこちゃんより)、くるみ和え(きゃべつ、人参)、あんかけ野菜炒め(大蒜、生姜、トマト、カリフラワー、きゃべつ、玉ねぎ、人参、ひき肉)、お味噌汁、ごはん。

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