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日記 一〇二号室

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夜ごはんときもちを記録した日記。 踊る阿呆に、見る阿呆。 踊ってころんでしょげて蹴っ飛ばしてうたって仰いで。 よきもあしきももらったものを消化して、ここに淡々と暮らしを綴る。 ち…
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2016年11月の記事一覧

クリームいろの酸素ボンベ

二〇一六年十一月二十九日火曜日 晴れ ふとした思いつきで連絡をする。すぐに返ってくるときは、そういうときだと会いにゆく。つくった柚子のジャムと柚子の味噌を新聞紙に包んで。制作三昧の日々だろうからとおせっかいまん母心、なんとなくサンドイッチも買ってゆく。 玄関をあけてくれたいくこさんをみて思い出した。ああ、つくるってそうだった。手をうごかすというのは、手をうごかすだけではないということ。それだけじゃなくってむき身状態。生まれたての赤子のごとくほわほわで、もうなにを言われた

安全基地と冒険

二〇一六年十一月二十八日月曜日 晴れ つめたい風ぴゅーぴゅー ねむくてねむくてねむくてねむくて。どろっとでろっと、音でいうとそんなふうに布団のなか。 こうえんにて、おむすびをたべるけれど思いの外つめたい北風。三鷹市星と森と絵本の家(どうしてもなまえが覚えられない。いまも、検索。)へ行くことにした、バスに乗って。シンプルでしずかに粛々と誠実にそこにいる場所。平屋の家を改築して、カテゴリーごとに本棚にならぶえほん・年ごとの展示をたのしむことができる。十二畳ほどある畳の部屋に

6B鉛筆でかいたやわらかい輪郭

二〇一六年十一月二十七日日曜日 晴れのち曇りのち雨 いつのまにか二度寝をしていた。この土日は、のんさんが目覚めたころ起きているのにいつのまにか眠っていて、帽さんとのんさんが朝食をたべおえたころ受けとって授乳をしながらそのまままた眠る、をしていた。起きたころには、帽さんは仕事へ出発していた。このごろ(わたしのなかで)流行っている化粧をして、床掃除をして、おひるごはんの準備をして授乳。よきタイミングであのこは、やって来た。6Bあたりの先がまあるくなった鉛筆でほんわりと描いたよ

テーマソングは突風

二〇一六年十一月二十六日土曜日 晴れ 風がつめたくて、日なたでも肩があがってしまう寒さ。北風小僧の寒太郎さんはついにここにいましょうというきもちになったみたい。 あたらしい日記を書く場に載せる自己紹介とタイトルをかんがえているこのごろ。さくっと、ぱっと決めたいところなのに、うむむ行ったり来たりすすまないな。キーワードをならべたり、ちいさく文を書いてみたり、していると、真心ブラザーズの突風が流れてくる。あのうたが、なによりも自己紹介だなと思う。時間がかかってもうまく言葉に

妖精のおばさま

二〇一六年十一月二十五日金曜日 晴れ 今朝のこうえんは、まあなんて幻想的。どこのお山に来たのかしらと、脳内再生北の国から。恥ずかしくたって隠れられない面と向かって赤面反射しておはようたいようがまあるくいる。川や土からのぼる湯気もあいまって照らされたわたしたちはすべて神々しい。霜の纏う草っぱらと雪のつもる草っぱらがずっとずっと向こうまでつづいてゆく。大陸とうみのようでどんなボートで漕いでゆこうかと思う。出勤している男性も、まっしろでおおきな犬さんのさんぽをしているおじいさん

ユキルンルン

二〇一六年十一月二十四日木曜日 雪しんしん きょうは(布団のぬくぬくが)とってもあったかいなあ、なぜかしらと、思いながらしばらく包まり、洗濯物干してくれていったんだなあ、と眺める。雪って予報だったけど、、と思い出して、帽さんはスイスイと無事着いたかなあと交通機関のことを思う。カーテンをあけると庭の(おやま)に積雪。風にふかれてふわふわと雪がふっていた。あらら、しっかり降っている。のんさんを呼んで、網戸越しに雪降る庭をみた。その表情は、とくべつ変わることはなかったのだけれど

柚子のある冬支度

二〇一六年十一月二十三日水曜日 曇り 帽さんのしたいことは、本棚の整理。わたしのしたいことは、柚子ジャムと柚子味噌と金柑黒糖煮をつくること。ということでおうちでのんびりと過ごす。のんさんは目覚めて、帽さんをぼうっとみつめて、ああ帽さんがいるとうれしそうにわたしに目で喋った。 るんるんのんさんは、お昼寝もせずにるんるん。柚子の皮、ふさ、果汁と種をわけて、皮やふさを刻む。地道で時間のかかる作業を途中でやめることなくつづけられることがうれしくなって、噛みしめるように大事にゆっ

ピュアバトミントン

二〇一六年十一月二十二日火曜日 晴れ (とてもとてもあたたかい。) お昼寝から起きたのんさんとおむすび持って公園へ。日向はぽかぽか。しらすと梅を和えて海苔で和えたおむすびをカゴから出し、見せると(それは!)ときもち目を見ひらいた。食いしんぼうばんざい。ちいさなちいさなのんさんおむすびをちいさなちいさなひと口で、ぱくりごくりぺろりと、三/四ほどたべた。 すこしはなれたところでバドミントンをはじめたカップル。くまさんのようなフォルムの男のひと。友人星野さんがふた回りほどおお

コーネリアス

二〇一六年十一月二十一日月曜日 曇りのち雨 日記を書く場所を変えようかしらと考えている。 ここにしてみようかな、というところはあるのだけれどタイトルが浮かばなくてまだここに書き続けている。 あるひとに、わたしは二つなまえを持っていくということを最近言っていただいた。そのひとつになったらと思うなまえを考えてみたりもしている、時々。 今月号のpopeye。大竹伸朗さんの話されていること、いま読めてよかったなと思う。帽さんも、今朝読んで言葉が頭の中をぐるぐるしながら過ごし

大竹伸朗さんとさつまいも

二〇一六年十一月二十日日曜日 曇り 六時ころ授乳で目を覚ます。携帯でいくつかの言葉を眺めて、日記を書いている。 なぜだかどうしてだか、生きている日々の残り時間のことを思った。代用をなくして、好きとやりたいこととだいすきなひとでぎゅうぎゅうにしなくてはと。そっちへもっと向かうために選ばなくては、思わなくては、はじめなくては、と。 結婚式のためにひさびさに揃えた化粧品。赤い紅も背伸びして浮くということもなくなった。朱色のネイルも、きもちをルンとさせる。こういうところから生

かんざしとカラオケ

二〇一六年十一月十九日土曜日 雨のち曇り 大学の先輩、たまきさんの結婚式。 新郎によるはじまりの挨拶。顔はたしかにたまきさんで、はてこんな声をしていたかしらと思う。物理的に距離が離れると疎遠になってしまうわたし。 日々のんさんと帽さんと笑うそれとはまた違う種類の、笑うをたくさんした。頬っぺたがいつもはゆかぬような高いところへハイペースに持ち上げられる。高速エレベーター。ゆみさん、おおしまさん、としひこさん、背中を追いつづけた、そこにそのひとたちがいるだけでもお。さいこーな

ひと差し指と小指のオメカシ

二〇一六年十一月十八日金曜日 晴れ きょうの二度寝は深く長く、目を覚ましたらのんさんのさかさ顏が真上にあった。 (おーい、朝だよ。おーい。おーい。)そんな表情で布団に潜るわたしの顔を覗く。目が合うと、ふわあとにんまりがおになり目に口に手をのばす。口の中だっておかまいなし。のんさんに線引きはなく、衝動と好奇心と確かめたいというきもち。 きのう、電車の中で近くに立っていた二十代半ばの男性二人組の方を、ひきつり笑いをしてひょっこり覗いていた。のんさんもようすをうかがうのだ